ぜんそく薬「きちんと服用」半数=理解不十分、認識にギャップも−患者と医師の調査
4月30日5時20分配信 時事通信
ぜんそく治療の吸入ステロイド薬をきちんと服用している患者は約半数にとどまることが、大田健帝京大教授とアストラゼネカ社の大規模実態調査で分かった。背景に、病態に対する認識不足が浮かび上がった。
調査は昨年7月から10月にかけて、ぜんそく治療に従事する全国の医師とその患者を対象に実施、有効回答数は医師約4800人、患者約2万4000人。医師のうち日本アレルギー学会、日本呼吸器学会の会員はともに1割台で、専門医でない人が大半だった。
患者の吸入ステロイド薬の服薬状況は、「順守」47.0%、「まれに」「時々」忘れる人が44.7%。「あまり守っていない」も8.3%いた。
症状がよくコントロールできているのは約半数。服薬を守っていない人や時々忘れる人では、コントロール不十分の割合が高かった。
服薬順守できない理由は「発作が始まったら吸入すればよいと思った」が50.3%で最多、次いで「毎日服薬するのが面倒」(40.1%)だった。
ぜんそくの病態について「気管支が狭くなる」は医師、患者とも8割以上が正しく認識していたが、「気道の炎症が原因」は医師90.1%、患者 44.3%、「気道が過敏になるのが原因」は医師75.2%、患者44.1%と理解にギャップがあった。
病態の説明に関しても、医師は98.2%が「説明している」と答えたのに対し、「説明してくれた」と答えた患者は75.5%にとどまった。
最終更新:4月30日5時20分
新型インフル、機内検疫には限界あり 厚労省調査
asahi.com(朝日新聞)2010年4月28日8時13分
新型の豚インフルエンザ対策で政府が検疫を強化した昨年4月28日〜6月18日に国内で新型インフルと確認された人のうち、海外に渡航したことのある人が154人だったことが、厚生労働省の調査でわかった。厚労省は、検疫を受けた時に、発症していたのに見つからなかった人、感染しているが発症していない潜伏期間だった人といういわゆる「検疫すり抜け」の人が大半だったとみている。
厚労省研究班で機内検疫の効果を分析している加来浩器(かく・こうき)防衛医大防衛医学研究センター准教授は「検疫は理論、技術、量いずれの面でも限界がある」との結論をまとめている。
成田、関西、中部の3空港では昨年4月28日〜5月21日、メキシコ、米国、カナダから到着した航空機内に担当者が乗り込んで検疫をした。厚労省によると、全対象者21万人余のうち、630人を簡易検査キットで調べ、そのうち8人が陽性になり、遺伝子検査で4人が新型と確定した。機内検疫の終了後、6月18日までに、3カ国からの帰国者のうち新たに新型感染が確認された人は6人にとどまった。
加来准教授は実際に機内検疫に参加した。体温を感知する測定器(サーモグラフィー)が飲酒や日焼けに反応することがあるほか、乗客が発熱していても、冷たいおしぼりで顔をふくと発熱を見抜けない弱点があったという。
加来准教授によると、検疫では一人ひとりの乗客に質問票に記入してもらったが、ある乗客は「具合が悪いところはなし」と記したのに、同行者の感染を知ると、「実は熱っぽい」と言い出した。「同行者1人」と申告した別の発熱患者が「本当は36人」と発言を翻し、検疫官があわてて同行者らを追いかけたこともあった。(熊井洋美)
109医薬品「早期承認を」 厚労省検討会が必要性認定
asahi.com(朝日新聞)2010年4月28日9時38分
日本で承認されていない医薬品の導入を検討する厚生労働省の検討会議は27日、抗がん剤のジェムザールなど109医薬品について「必要性が高い」として早期に承認すべきだとの評価結果を公表した。厚労省は今後、製薬会社に開発を要請し、早ければ来年夏にも一部が承認される見通し。
海外で認められた薬が国内で認められるまでに遅れが出る「ドラッグ・ラグ」の解消を目指してできた「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」による認定は初めて。
早期承認を求めて学会や患者団体から寄せられた374件のうち、今回認められた未承認薬は50品目。国内で承認されているが、別の病気への適用が認められていない適応外薬は59品目。
アルツハイマー病の攻撃的な行動を抑えるリスパダールなど30品目は、安全上の問題などから必要性が認められなかった。海外での承認や保険適応がない医薬品103品目は検討対象から外す。
医薬品を製造販売するには薬事法などで定められた臨床試験(治験)をし、データを提出して厚労相の承認を得る必要があるが、国内で承認されるまでの期間は米国よりも2年半程度遅いとされる。
厚労省は必要性が認められた医薬品について5月中旬にも製薬会社に開発を依頼。製薬会社は国内で追加試験が必要ないと判断されたものについて6カ月以内にリポートをまとめ、検討会議に出す。
ジェムザールの早期承認を訴えてきた卵巣がん体験者の会「スマイリー」代表の片木美穂さん(36)は「一歩前進だ。(承認薬の少なさは)患者にとって命の選択肢が削られるということ。海外で認められている薬は日本でも使えるようにしていくべきだ」と話した。(月舘彩子)
厚労省は5月中に、製薬企業に承認申請手続きに入るよう要請する。国内外の臨床試験(治験)結果などから追加の治験が不要と判断された品目については早ければ来年5月にも承認される見通し。厚労省が昨年6〜8月、米英独仏のいずれかでの承認を条件に初の公募を実施していた。
毎日新聞 2010年4月27日 東京夕刊
興和と日東電工、張るタイプのアルツハイマー治療薬開発
興和は日東電工とアルツハイマー型認知症治療薬を共同開発する。皮膚に張るタイプで飲み込む力が弱った高齢患者でも使いやすいほか、張り忘れを防げる。早期に開発を始め、2017年の承認申請を目指す。
アルツハイマー型認知症は高齢化に伴い患者数が増えているが、治療薬はエーザイの製品のみ。使い勝手を高めた製品を投入して需要取り込みを狙う。
[2010年4月21日/日経産業新聞]
「異動取り消してやる」と後輩から現金 厚労省室長退職
asahi.com(朝日新聞社)2010年4月13日13時52分
厚生労働省は13日、同僚にニセの人事情報を流して現金100万円をだまし取ったとして、同省統計情報部統計企画調整室長(56)を停職3カ月の懲戒処分にしたと発表した。地方への不本意な異動を取り消す名目で、現金を要求した。室長は同日付で官房付になり、依願退職した。
統計情報部によると、現金をだまし取られたのは、室長と同じ部に所属する1年後輩の男性職員(55)。室長は3月16日昼、同省周辺の喫茶店に後輩職員を呼び出し、「次の人事異動で地方に行く可能性がある」と虚偽の情報を伝えた。室長が「私のつてを使えば、現金100万円で回避できる」と持ちかけると、後輩職員は翌日、現金100万円を室長に手渡した。
室長に人事権はないが、かつて人事担当をしていた。その後、後輩職員から相談を受けた同部内の同期職員が、今月7日に幹部に通報。事実関係を認めた室長は後輩職員に謝罪し、8日になって現金を全額返却した。
試験データ不正問題、田辺三菱製薬と子会社を業務停止に
asahi.com(朝日新聞社)2010年4月13日23時59分
厚生労働省は13日、やけどや大量出血のショック時に使われるアルブミン製剤の承認申請に必要な試験データを不正に差し替えたり、捏造(ねつぞう)したりした行為が薬事法違反に当たるとして、田辺三菱製薬(大阪市)を17日から業務停止25日間、製造した子会社バイファ(北海道千歳市)を14日から同30日間の処分にした、と発表した。
厚労省によると、承認をめぐる不正で大手製薬会社を業務停止にするのは極めて異例。田辺三菱は直接製造していないが、薬の有効性や安全性に責任を負う立場にあることを重くみた。
厚労省の調べによると、問題の製剤は、遺伝子組み換え人血清アルブミン製剤「メドウェイ注5%」と「同25%」。製造販売承認申請の際、同省に提出した試験データのうち、アレルギーの反応試験で品質不適合となったサンプルを適合するものと取り換えるなど、1999年から09年にかけての計16項目の薬事法違反が明らかになった。
違反とまでは言えないが、不正な行為も15項目判明。田辺三菱の研究所職員がバ社の研究者に「都合のいいデータを採用して報告するように」などと助言したこともあったといい、不正を誘発する指示だったと認定した。
処分により、田辺三菱は処方箋(せん)が必要な第1種医薬品の多くを出荷できなくなるが、関節リウマチの治療薬「レミケード」など他の薬で代えられない7品目は除かれた。第2種医薬品(大衆薬)131品目なども販売できる。
メドウェイは、世界初の遺伝子組み換えアルブミン製剤として、バ社と旧ミドリ十字(後の田辺三菱)が97年に承認を申請。田辺三菱が07年に厚労相の承認を取得、08年5月に発売した。田辺三菱はデータの差し替えを09年3月に公表。同製剤(5%)の承認取り下げを厚労省に届け出て、5%と25%の双方を自主回収した。
田辺三菱の土屋裕弘社長は同夜、東京都内で記者会見を開き、「生命にかかわる医薬品企業では、あってはならない不適切な行為で、深くおわびする」と謝罪した。同席したバ社の藤井武彦社長も「職業人としての自覚と心得をおろそかにしていた」と述べた。
製造販売業者である田辺三菱製薬(株)の業務停止にあたっては、既に販売された医薬品の安全管理業務をその対象から除くとともに、代替性が無く保健衛生上重要なものであって、安定供給がなされない場合、医療現場に混乱を生じさせる恐れがある医薬品(セレジスト(セレジスト錠5)、タナドーパ(タナドーパ顆粒75%)、デノシン(デノシン点滴静注用500mg)、ノックビン(ノックビン原末)、バリキサ(バリキサ錠450mg)、リーゼ(リーゼ錠5mg、10mg、顆粒10%)及びレミケード(レミケード点滴静注用100))についても対象から除くこととするという行政処分ですし、ここに書かれていない他の田辺三菱製薬の薬、例えばヘルベッサー錠やラジカット注などの薬は、問屋に2か月分程度の在庫があるようなので、薬の供給に関しては問題がないだろうということです。
厚生労働省:薬事法違反業者に対する行政処分について(2010年4月13日)
従来のアルブミン製剤は、ヒトの血漿を原料としており、日本ではその半数を海外からの輸入に頼っていた。国内では、日本赤十字社が献血で集めた血液を原料に生産しているが、献血量が減少している昨今、将来的な安定供給が危ぶまれている。また、現在の処理技術では、未知のウイルス等の感染の可能性を完全に否定できないなど、安全性確保の面でも問題が残されている。
その点、今回承認されたアルブミン製剤は、血漿を使用せずにピキア酵母により産生・精製した製剤であるため、安定供給が可能であり、感染のリスクが少ないといったメリットがある。臨床効果についても、従来のアルブミン製剤との比較試験で、同等であったことが報告されている。
世界初の治療用「遺伝子組み換えアルブミン製剤」:日経メディカル オンライン 2007年 11月29日より抜粋
アルツハイマー:脳の老人斑なくても発症
アルツハイマー病の特徴の一つとされる脳の「老人斑(アミロイド斑)」がなくてもアルツハイマー病の症状が起きることを、大阪市立大などの研究チームがマウスで実証した。老人斑を抑制するだけでは有効な予防や治療にならない可能性がある。米神経科学会誌(電子版)に掲載された。
老人斑はアミロイドベータ(Aβ)というたんぱく質が繊維状につながったもので、アルツハイマー病の原因の一つと考えられている。だが、実際の患者の症状の重さと老人斑の数が比例しなかったり、老人斑がなくても発症するケースがヒトで報告されている。
富山貴美(とみやまたかみ)・大阪市立大准教授(脳神経科学)らは、患者の脳では老人斑だけでなくAβの分子が数個〜数十個集まった「重合体」も蓄積されていることに着目した。
そこで重合体はできるが老人斑はできない遺伝子改変マウスを作製。8カ月ごろからAβの重合体が目立って増えた。それに伴い、記憶中枢である海馬では神経細胞が減少し、平均寿命に近い24カ月(ヒトの80歳程度)では普通のマウスの半分近くになった。
プール内の休憩場所を覚えさせる記憶テストでも、8カ月の遺伝子改変マウスは同月齢の普通のマウスが1週間程度で覚える課題をこなせなかった。チームはこうした症状から、老人斑のないマウスもアルツハイマー病を発症したと結論づけた。【大場あい】
毎日新聞 2010年4月13日 15時00分(最終更新 4月13日 15時00分)
新型インフル、漢方が予防効果? 帝京大准教授が発表へ
asahi.com(朝日新聞)2010年4月11日5時39分
新型の豚インフルエンザの発症予防に漢方薬が役立ちそうだと、帝京大医学部の新見正則・准教授(外科)が11日、東京で開催中の日本内科学会総会・講演会で発表する。
有効性がわかったのは、胃腸の働きをよくして、体力を回復する効果があるとされる補中益気湯(ほちゅうえっきとう)。
昨秋、東京にある病院の職員358人(平均41歳)の協力を得た。半数の人に補中益気湯を4〜8週間毎日飲んでもらい、残り半数は飲まなかった。8週間後までに、飲まなかった人で7人が新型インフルと診断された。飲んだ人では1人だけだった。ただ、薬が合わず、途中でやめた人が14人いた。
新見さんは「アレルギーなどがあってワクチンが使いにくい人もいる。漢方薬で予防するという選択肢があってもいい」と話している。
タミフル耐性季節性インフル、国産新薬 治療に効果
国産初のインフルエンザ治療薬ラニナミビル(第一三共)が、タミフルが効きにくい季節性インフルエンザの治療に著しい効果を示すことが、けいゆう病院(横浜市)の菅谷憲夫・小児科部長らの研究で分かった。成果は米国微生物学会誌の最新号に掲載された。
原則5日間服用する必要のあるタミフルと異なり、吸引型治療薬のラニナミビルは1回の使用で効果が持続する。
研究チームは、2008年12月〜09年3月、タミフルが効きにくいタイプのAソ連型ウイルスに感染した3〜9歳の小児に対し、症状がでてから36時間以内にタミフル(32人)、ラニナミビル20ミリ・グラム(40人)、40ミリ・グラム(40人)をそれぞれ服用させた。
その結果、ラニナミビル服用群は平均44・3時間〜49・6時間で発熱やせきなどの症状を抑えたが、タミフル服用群は症状が緩和するまで平均110・5時間もかかった。
ラニナミビルは、インフルエンザウイルスが増殖するのを防ぐ。副作用は下痢などが見られる。現在承認申請中で、菅谷部長は「新型インフルエンザでもタミフルが効きにくいタイプが出現しており、ラニナミビルを早く承認すべきだ」と話している。
(2010年4月9日 読売新聞)
大洋薬品工業:社長が辞任 誤配合の薬販売で
ジェネリック医薬品大手の大洋薬品工業(名古屋市)が高山工場(岐阜県高山市)で誤った配合量の薬を製造・販売し、業務停止命令を受けた問題で、同社は8日、新谷重樹社長(68)が代表権のある会長に就任し、後任に島田誠専務(60)を充てる方針を明らかにした。事実上の引責辞任で、9月末をめどに交代する。
新谷氏は1974年から約36年間社長を務めてきた。後任の島田専務は、外資系製薬会社「ファルマシア」など3社を経て08年入社。今月発足した再発防止委員会の委員長を務めている。9月末ごろまでに同委員会が主導して改革のめどをつけたうえ、社長に就任して信頼回復の指揮を執る。
毎日新聞 2010年4月8日 20時51分
組織の風通しが悪くなったことが、今回の問題の一因とみて、信頼回復に向け、組織風土を刷新するには、トップ交代が必要と判断した。と書かれていました。