英国製の新型ワクチン、一部にごり 厚労省部会で審査へ
asahi.com(朝日新聞)2009年12月26日16時36分
新型の豚インフルエンザのワクチン輸入に向けた審査データの中に、グラクソ・スミスクライン社(英国、GSK)の製品で、原因不明の凝集物(にごり)が生じる海外事例や、国内の動物実験で予想以上の副作用死が出た例があることが、関係者の話でわかった。
26日の厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品部会(吉田茂昭部会長)に報告された。国内での臨床試験や海外での使用実績と合わせて、総合的な安全性をどう評価するかが焦点になる。
審査の対象は、カナダで使われているGSK社の「アレパンリックス」と、スイスで接種中のノバルティス社(スイス)の「セルトゥラ」。
このうち、GSKワクチンについては11月に、カナダで一部の製品群に副作用(副反応)報告が多かったことが報告されていたが、同省はほかにも、製品の一部に、ワクチンの中に本来はみられないはずのにごりがある事例が報告されていることを把握した。
また、国立感染症研究所(東京都)で実施した同製品の安全性検査で、濃度を濃くしてマウスなどの小動物で数例試したところ、死亡例が相次いだ。GSKが実施した動物実験では、報告されていないという。ただ、国内ですでに実施中の人への臨床試験では突出した副反応は報告されていない。海外では小児から成人まで推定1千万人以上に使っているが、カナダの特定の製品群以外での副反応問題は報告されていないという。
同省では部会の審査後に審査データを公表し、意見公募をする。部会の結論や一般の意見をふまえ、同審議会の薬事分科会で改めて議論し、1月中にも、特例承認するかどうかを最終的に決める。
この記事をどのように受け取ればいいのでしょうか。
事実を伝えているようにもみえますが、ネガティブキャンペーンのような気がしないでもありません。
初めから日本国内製造は安全で、海外のものは危ないというイメージを国民全体に植え付けたいのでしょうか。
国内製造分のワクチンのことも同様に調査して報道すべきであると思いますが、とりたててGSK社のものだけを報道するのはどうなんでしょう。
この記事をみせられて、安全ですとの判定がでたとしても、この記事を知っている人は誰も接種したがらないのではないでしょうか。
なんとなく初めからメディアの意図している考えがあって、それを押しつけようとしているようなところがありはしないかと思ってしまいます。
・・・すみません、考え過ぎかもわかりませんね。
と昨夜(2009年12月26日)書いて一晩寝かせてから本日(2009年12月27日)アップしようかと思ってたら、今朝の新聞にこのニュースの続報がでていましたので追加します。
輸入インフルワクチン、条件付き承認で一致 厚労省部会
asahi.com(朝日新聞)2009年12月27日1時36分
新型の豚インフルエンザのワクチンについて、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会の医薬品部会(吉田茂昭・部会長)は26日、海外2社の製品を輸入するため、「条件つきで特例承認してもさしつかえない」という意見をまとめた。今後、来年1月にも上部の審議会薬事分科会で議論したうえで、厚労相が最終的に判断する。
特例承認は、通常は1年以上かかる承認審査を簡略化できる薬事法上の手続きで過去に適用例はない。審査対象は、グラクソ・スミスクライン社(英国、GSK)とノバルティス社(スイス)のワクチン。いずれも、国内産と製法は異なり、安全性の確認が焦点になっていた。
この日の部会で、国内での臨床試験の中間報告があった。GSK社製は全世代で、ノバルティス社製は18〜49歳で、それぞれ1回の接種で効果が確認できたという。
一方、GSK社製のワクチンについては、一部の製品に凝集物(にごり)が見つかったり、国内での動物実験で予想外の副作用死が出たりした点も明らかにされた。
専門家らが審議した結果、凝集物については原因不明だが、ワクチンでは原材料のウイルスたんぱくが関係して生じることがあり、「安全性にかかわる問題ではない」と判断。動物実験については、品質管理に向けた検査で、通常量より濃い濃度を大量におなかに投与したことが死亡原因ではないかと指摘。
承認の条件として、両製品とも臨床試験の今後の結果を速やかに公表することや、国内産ワクチンと異なる点を医師が接種を受ける人に十分に説明するよう求めた。安全を期すために妊婦に接種を勧めないことや、小児や持病がある人は医師と相談の上、慎重に接種することも確認した。
さらに、GSK社製には、安全性や品質にかかわる新たな情報は速やかに報告するよう求めた。ノバルティス社製については品質管理などで追加情報を求めた。
最終判断は1月に入ってからということになりますが、GSK社とノバルティス社の製品を特例承認するという方向性が決まったということです。
一般的に薬を製造するときだけではなく、輸入するときも厚労省の承認が必要となります。
その際は、海外だけのデータだけではなく日本国内での臨床試験データが必須ですが、特例承認での承認となると、国内での臨床試験(治験)のデータは必要ないということになります。
実際には、GSK社もノバルティス社も日本国内における治験を開始しているそうですが、その結果を待っていると時間がかかるために、承認条件として国内データは使わないということなんだと思います。
国内での臨床試験のデータや実際に接種したあとのデータを速やかに公表することと、医師の説明が必須だということです。
承認の条件として、両製品とも臨床試験の今後の結果を速やかに公表することや、国内産ワクチンと異なる点を医師が接種を受ける人に十分に説明するよう求めた。安全を期すために妊婦に接種を勧めないことや、小児や持病がある人は医師と相談の上、慎重に接種することも確認した。
さらに、GSK社製には、安全性や品質にかかわる新たな情報は速やかに報告するよう求めた。ノバルティス社製については品質管理などで追加情報を求めた。
臨床データの速やかな公表はいいとしても、医師が国内製造のものと違う点を説明しなくてはいけないという点は、実際の現場では非常に手間かと思います。そこら辺、実際の運用は今後の議論になろうかと思います。
机の上で考えるのは簡単ですが、それをそのまま現場でやろうとすると無理があるような気がします。
【関係ページ】
2009/12/8「GSK新型インフルワクチン副作用、限定ロットのみの認識」
http://hello.ap.teacup.com/d-inf/2029.html
2009/12/2「グラクソ発表:新型ワクチン副作用「因果関係見出されない」」
http://hello.ap.teacup.com/d-inf/2024.html
2009/11/23「GSK社製の新型インフルワクチンで副作用報告」
http://hello.ap.teacup.com/d-inf/2013.html