厚生労働省より、
「ファクシミリ等による抗インフルエンザウイルス薬等の処方せんの取扱いについて」の事務連絡が出されています。
平成21年5月22日
厚生労働省
新型インフルエンザ対策推進本部 事務局
ファクシミリ等による抗インフルエンザウイルス薬等の処方せんの取扱いについて
国内において新型インフルエンザ感染者が増加していることを踏まえ、感染者が増加している地域においては、感染拡大を防止する観点から、慢性疾患等を有する定期受診患者等が発熱等の症状を認める場合に、電話による診療によりファクシミリ等による抗インフルエンザウイルス薬等の処方せんを発行すること等の対応が必要なことから、その取扱いに関する留意点を別添にまとめたので、貴管下の医療機関、薬局等に周知していただくようお願いします。
○2009年5月23日ファクシミリ等による抗インフルエンザウイルス薬等の処方せんの取扱いについて(PDF:187KB)
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/dl/infu090523-08.pdf
この件、日本病院薬剤師会にもでています。
JSHP:新型インフルエンザに関連する診療報酬の取扱について(平成21年5月27日)
流れはこんな感じで説明されています。
この元になった文書は、平成21年2月17日新型インフルエンザ及び鳥インフルエンザに関する関係省庁対策会議が開催され
「新型インフルエンザ対策ガイドライン」が策定されていますが、その中の「医療体制に関するガイドライン」にあります。
厚生労働省:医療体制に関するガイドライン:医療体制に関するガイドライン
それを読んでみると、該当の箇所をみつけましたので掲載しておきます。
厚生労働省:医療体制に関するガイドライン
3.第三段階(まん延期)における医療体制
3)全ての医療機関の対応
○ 慢性疾患等を有する定期受診患者については、事前にかかりつけの医師が了承し、その旨をカルテ等に記載しておくことで、発熱した際に、電話による診療により新型インフルエンザへの感染の有無について診断できた場合には、ファクシミリ等により抗インフルエンザウイルス薬等の処方せんを発行する。
流れはこんな感じで説明されています。
問題は「発熱した際に、電話による診療により新型インフルエンザへの感染の有無について診断できた場合には」のくだりです。
電話での診療により、新型インフルエンザに罹ったかどうかが判断できるのか、という点が少々疑問です。
感染拡大を防止するという意味で、感染者はなるべく病院に来ないでくれということなんでしょうけど、どうも腑に落ちない部分があります。
慢性疾患に罹っている方で、慢性疾患に対する薬を電話での軽い診察のみで、ファクス使って調剤するっていうのは、長期間症状が安定していればまあ妥当なことだと思います。
しかし、感染しているかどうかわからないのに、電話での診療だけで抗インフルエンザ薬を処方していいのでしょうか?
簡易キットでの検査なしで、「熱があるからインフルエンザだろうから、タミフル出しておきますね」って許されることなのでしょうか??
もしかしたら肺炎を併発していて、入院しなければ死んでしまうかもしれない状態であるってことは電話でわかるのでしょうか?
厚生労働省から出されている「ファクシミリ等による抗インフルエンザウイルス薬等の処方せんの取扱いについて」は、5月22日付で発出されていますので、感染者が増加している地域においてはもうすでに現在有効であるということです。
そのような処方や調剤をされた方はいらっしゃるのでしょうか・・・
この件、ちょっと前に新聞でも取り上げられています。
新型インフル:院内感染防止に電話診療など認める 厚労省
厚生労働省は新型インフルエンザ対策の一環として、院内感染を防ぐために医療機関に慢性疾患を持つ患者らの電話診療とファクスによる処方せん発行を認める通知を、都道府県などに出した。通知は22日付。電話診療などは政府の行動計画に基づくガイドラインで第3段階(まん延期)の対応としているが、兵庫、大阪など感染者が急増している地域での前倒しを認めた。
通知によると、定期受診をしている慢性疾患患者が通常服用している薬が必要になった時、医師は電話で状態を確認したうえで、希望する薬局に処方せんをファクスで送れるとした。こうした患者にインフルエンザ症状がある場合は、タミフルなどの抗インフルエンザ薬を処方することもでき、家族も含めた外出自粛が必要なことから、薬局が患者宅に薬を届ける。
感染の疑いがある患者を医療機関で診察する場合は、スタッフ全員のマスク着用や検体採取の際のゴーグルと手袋による防御の徹底も21日付で通知した。
厚労省は新型インフルエンザに感染すると重症化しやすい持病として、ぜんそく、糖尿病、先天性心疾患、自己免疫疾患などを挙げている。【清水健二】
毎日新聞 2009年5月24日 21時24分
6月から薬事法が改正されて、副作用がでにくいものを除いて、原則薬の通信販売ができなくなります。
感染拡大の防止という緊急回避的な事態のときは、通信販売と似たようなことがまあ仕方ないとして許されるのでしょうか。
電話で患者さんがひょっとしたらウソを言うかもわかりません。
タミフルをためておいて、ネット販売で転売することも想定されはしませんか。
また、処方せんのファックスを受け取った薬局でも、インフルエンザに罹った人を外に出さないためには薬局から患者さん宅へ薬を配達することも考えなくてはいけません。
薬局も宅配の人手の確保って難しくないでしょうか。
この件、いろいろ課題が多いかと思われます。
・・・とはいえ、もうすでに決まっているんですよね。
本当にこの運用でいいのだろうかという疑問・・・
【関係リンク】
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