トレリーフ(ゾニサミド)の収載予定薬価を聞いてびっくりしました。
トレリーフの収載予定薬価は、25mg1錠が1084.90円。薬価は、類似の作用機序(B型モノアミン酸化酵素阻害作用)を持つエフピー(塩酸セレギリン)との類似薬効比較方式で算定された。なお、エクセグランの薬価は100mg錠1錠が38.5円、20%散1gが70.5円。後発品のエクセミドでは 100mg錠1錠が24.2円、20%散1gが44.4円となっている。
「エクセグラン」が添付文書で適応外使用を“禁止”:DIオンライン(要登録)
エクセグランの薬価を知っているだけに、トレリーフがなぜそんな薬価になるの?という感じがしますが、理由は記事に書いてあるとおりです。
同じ成分なのに、エクセグランは量が多く入っていて安く、トレリーフは少なくて高いという一見矛盾しているような気もしますが・・・
トレリーフ薬価の算定根拠はこちらが参考になります。
新医薬品の薬価収載品目について(日本病院薬剤師会:09.02.26)
患者さんの立場からすると、パーキンソン病の人でも安いエクセグランを使いたくなる気がしますが、それは禁じられています。
エクセグランの添付文書を見ると、トレリーフの承認に伴い次の文言が追記されています。
**用法・用量に関連する使用上の注意
ゾニサミドをパーキンソン病(本剤の承認外効能・効果)の治療目的で投与する場合には,パーキンソン病の効能・効果を有する製剤(トレリーフ)を用法・用量どおりに投与すること.
との記載があります。
パーキンソン病に対するゾニサミドの治験に関しては、何度も追加試験を求められて当局にいじめられたという経緯があり、ようやく承認されたと聞いていますので、若干薬価が高くても致し方ないような気もしますが、でも、なかなかバランスが難しいですね。
いままで適応外でパーキンソン病の患者さんにエクセグランを使っていたのに、それが使えなくなって、薬価の高いトレリーフに変えざるを得ないということになります。その結果、患者さんの負担が増えてしまうということになります。
でも言ってみれば、いままでパーキンソン病にエクセグランを処方していたのは適応外なので、本当のことを言ったら、エクセグランの分だけではなくて、治療にかかるお金が全額自己負担になるはずだったですが、たぶん、そんなことにはなっていなかったと思われますので、金銭的な問題はなんだか複雑です。
同一成分で適応症により薬品名を変えている例としては、リウマトレックスカプセル2mgとメソトレキセート錠2.5mgの例があります。
リウマトレックスカプセル2mg:344.30円
メソトレキセート錠2.5mg:45.90円
(薬価は2009年3月現在)
メソトレキセートは白血病の薬ですが、リウマチに効果があるということでずっと使われていましたが、リウマトレックスが承認されたときに患者さんの金銭的な負担が増えましたが、エクセグランとトレリーフのように2桁は違わないです。
ひょっとして患者さんにとってみれば、金銭的な負担だけを考えればトレリーフは要らない薬である・・・ととられかねない。
ただそこには、安全性の問題があって、もしパーキンソンでエクセグランを使い続けていて、なにか重篤な副作用が出た場合でも、副作用被害救済の対象にはならないということがあります。
患者さんに納得していただくのは難しいかと思いますが、指示に従うより他なさそうです。
特に病院での院外処方せんの場合、保険調剤薬局で負担額を患者さんに伝えるときに苦労しそうな気がします・・・
きっと処方医は、金銭的なことまで患者さんに説明しないでしょうから。
トレリーフの薬価を聞いて、ちょっとびっくりしましたので書いてみました・・・