日本病院薬剤師会が11月21日付で
疑義照会の徹底及び医薬品安全管理手順書等の緊急点検についてという文書を出しています。
今般起こったサクシンとサクシゾンの処方違いによる医療事故について、日病薬が動いたということですね。
2008/11/20「サクシゾンとサクシンの間違い」
書かれているのは次の3点です。
1 筋弛緩薬に関する疑義照会を徹底して下さい
2 オーダリング等における薬剤名称表示を工夫して下さい
3 名称類似医薬品の取扱等について
4 医薬品安全管理手順書等の緊急点検をして下さい
まず1番目の項。
1 筋弛緩薬に関する疑義照会を徹底して下さい
筋弛緩薬が、通常注射オーダされることがない、あるいは注射オーダ頻度が少ない診療科の医師から処方された場合には、他の薬剤とのオーダーエラーが発生している可能性を考慮し、処方医に対して疑義照会を徹底して行って下さい。なおその際には、処方意図を確認する等、具体的な疑義内容を示して照会を行うことが重要です。
サクシンは基本的に手術室で使われる薬です。
挿管するときにも使うけどあまりないことなので、病棟でオーダーがでたら疑義照会すべきでしょうね。
疑わしきは疑義照会するのが薬剤師の責務だと思います。
2番目の項。
2 オーダリング等における薬剤名称表示を工夫して下さい
オーダリングや電子カルテ等、病院情報システムを利用して処方が行われている施設においては、名称の前に下記の例のように筋弛緩薬等の文字を付加して、当該薬剤が筋弛緩薬であることを明示する、あるいは索引名の頭にハイリスク薬である記号等を付加して他の薬剤と同時に検索されないことにする等の工夫を行って下さい。
例. ★筋弛緩薬★サクシン注○○mg(筋弛緩薬であること、規格を明記すること)
今回のミスは、サクシンとサクシゾンが間違えそうだからという理由でサクシゾンを削除したからもう安心であるという盲点をつかれてしまったような感じがします。
サクシゾンが採用されていないのに、サクシゾンをオーダーしようとするということが想定できなかったということです。
間違えそうな薬、たとえばアマリールとアルマール、タキソールとタキソテールについては、オーダリングシステムで医薬品マスターを作る際に、差別できるように工夫されているものと思います。
医薬品マスターで
アマリール(糖尿病薬) アルマール(降圧薬)
タキソール(パクリタキセル) タキソテール(ドセタキセル)
などといった表記にするか、本当にそれでいいのとワーニングを表示して注意喚起するなどの対応が考えられます。
ただあまりワーニングを表示させると、医師にうっとうしがられ、何も見ずに「OK」を機械的にクリックするだけになって、あまり効果がないような気がします。
うちの病院では、オーダリングシステムで「筋弛緩薬 サクシン注40mg」の表示に急遽変更しています。
3番目の項。
3 名称類似医薬品の取扱等について
名称類似等医薬品関連の医療事故を防止するための対策については、これまでも当委員会から注意喚起をしてきましたが(参考文献参照)、名称類似の薬剤選択のエラーを防止する為に、一方を採用中止にする方法は、医療機関が単独で行える方法ではありますが、オーダリングシステムの薬剤選択や警告画面で注意喚起されないで、確定画面に展開する等の事例が見受けられます。また、医師が異動した為に、採用薬剤名や規格を十分に把握されていない可能性もありますので、この対策方法は抜本的なものではないことを再確認して下さい。
また、薬剤選択については、できれば五十音方式ではなく、薬効別選択方式、あるいは医師別に使用薬剤を登録する方式など、各医療機関で使用しているシステムの薬剤選択機能を再確認して、その活用についてあらためて検討を行って下さい。
オーダリングで医薬品を選択する方法はいろいろあると思いますが、一般的にはカタカナ2文字もしくは3文字での検索が主ではないかと。
医師別に使える医薬品を設定するのは、システム的には可能でしょうが、実現はなかなか難しいかと思います。
他科の薬をださなくてはならないシーンもあることでしょう。
またサクシンを特定の医師しかオーダーできないようにしたとしたら、当直医が慣れない挿管をすることも考えられうることです。
薬効で医薬品を選択する方法は、オーダーミスの有用な防止策にはなると思いますが、薬効マスターを適切に設定することが必要です。
JANコードや厚生省コードは、厳密な薬効別にはなっていません。
例えば、カルシウム拮抗剤がまとまっているわけではありませんので、その設定もマスター管理が煩雑になってしまうことになってしまうかと思われます。
やはり効果が大きく、比較的簡単に実行できるのは、オーダリングでの表記を「筋弛緩薬 サクシン注40mg」などといったものに変更することでしょう。
サクシンが筋弛緩薬であるということがオーダーした瞬間に認識でき、また看護師にもわかってもらえるというメリットがあります。
やはりどんなアホでもわかる
「fool proofという考え方」に立って、物事を考えなくてはいけないのかと。
・・・でもそうやって考えると、それぞれの職種の専門性や職能は??と考えてしまいます。