便秘治療薬の副作用?高齢者2人死亡 厚労省が注意喚起
便秘や胃炎の治療などに使われる医療用医薬品「酸化マグネシウム」を飲んだ高齢者らが、意識を失うなど高マグネシウム血症を起こし、2人が死亡していたことが27日、わかった。厚生労働省は、薬の添付文書に「重大な副作用」として記すよう販売企業に指示、長期投与する場合は経過をよくみるよう医師に注意を促す文書を出した。
酸化マグネシウムは便通を良くしたり、胃酸を抑えたりする薬。副作用として高マグネシウム血症があり、意識障害や呼吸抑制、不整脈などが起きうることは知られていたが、死亡など重篤例がわかり、措置をとった。
05年4月から今年8月までに、高マグネシウム血症を起こしたと報告された15例を詳細に検討し、判明した。死亡した2人はいずれも長期服用者とみられる。厚労省は、長期投与の場合、患者の血中マグネシウム濃度を測るなど十分観察するよう医師に呼びかける。
同薬は国内で50年以上使われ、販売企業は約20社、推計使用者数は年間延べ約4500万人。同じ成分が大衆薬にも含まれるため、厚労省は、該当製品を副作用リスクの高い医薬品として分類変更し、販売時規制を強化する方針。
asahi.com(朝日新聞)2008年11月27日
《使用上の注意(下線部追加改訂部分)》
[重要な基本的注意]
本剤の投与により,高マグネシウム血症があらわれることがあるので,長期投与する場合には定期的に血清マグネシウム濃度を測定するなど特に注意すること。
高マグネシウム血症:本剤の投与により,高マグネシウム血症があらわれ,呼吸抑制,意識障害,不整脈,心停止に至ることがある。
[副作用(重大な副作用)]
悪心・嘔吐,口渇,血圧低下,徐脈,皮膚潮紅,筋力低下,傾眠等の症状の発現に注意するとともに,血清マグネシウム濃度の測定を行うなど十分な観察を行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
過量投与
1. **徴候、症状
血清マグネシウム濃度が高値になるにつれ、深部腱反射の消失、呼吸抑制、意識障害、房室ブロックや伝導障害等の不整脈、心停止等があらわれることがある。(初期症状は「副作用 重大な副作用」の項参照)
2. **処置
大量服用後の間もない場合には、催吐並びに胃洗浄を行う。中毒症状があらわれた場合には、心電図並びに血清マグネシウム濃度の測定等により患者の状態を十分に観察し、症状に応じて適切な処置を行うこと(治療にはグルコン酸カルシウム静注が有効であるとの報告がある)。
なお、マグネシウムを除去するために血液透析が有効である。
1 筋弛緩薬に関する疑義照会を徹底して下さい
筋弛緩薬が、通常注射オーダされることがない、あるいは注射オーダ頻度が少ない診療科の医師から処方された場合には、他の薬剤とのオーダーエラーが発生している可能性を考慮し、処方医に対して疑義照会を徹底して行って下さい。なおその際には、処方意図を確認する等、具体的な疑義内容を示して照会を行うことが重要です。
2 オーダリング等における薬剤名称表示を工夫して下さい
オーダリングや電子カルテ等、病院情報システムを利用して処方が行われている施設においては、名称の前に下記の例のように筋弛緩薬等の文字を付加して、当該薬剤が筋弛緩薬であることを明示する、あるいは索引名の頭にハイリスク薬である記号等を付加して他の薬剤と同時に検索されないことにする等の工夫を行って下さい。
例. ★筋弛緩薬★サクシン注○○mg(筋弛緩薬であること、規格を明記すること)
3 名称類似医薬品の取扱等について
名称類似等医薬品関連の医療事故を防止するための対策については、これまでも当委員会から注意喚起をしてきましたが(参考文献参照)、名称類似の薬剤選択のエラーを防止する為に、一方を採用中止にする方法は、医療機関が単独で行える方法ではありますが、オーダリングシステムの薬剤選択や警告画面で注意喚起されないで、確定画面に展開する等の事例が見受けられます。また、医師が異動した為に、採用薬剤名や規格を十分に把握されていない可能性もありますので、この対策方法は抜本的なものではないことを再確認して下さい。
また、薬剤選択については、できれば五十音方式ではなく、薬効別選択方式、あるいは医師別に使用薬剤を登録する方式など、各医療機関で使用しているシステムの薬剤選択機能を再確認して、その活用についてあらためて検討を行って下さい。
【薬剤師関連ニュース】バイタルサインや採血など新たな業務展開で協議
−理事会開く 日本病院薬剤師会 (薬事日報 2008年7月30日)
【「基本的に賛成」を確認−要件やモデル事業が課題】
日本病院薬剤師会は26日、都内で2008年度第3回理事会を開き、バイタルサインなど薬剤師による新たな業務展開について、公式な会議の場で初めて日病薬としての統一スタンスを協議した。執行部らは基本姿勢として新たな業務展開に賛成を示し、反対意見はなかった。一方で、全ての薬剤師がバイタルサインや採血を行えるのではなく、一定の要件を満たした薬剤師がこれらの業務を行うことができるようにすべきなどとされた。
08.07.30、【薬剤師関連ニュース】バイタルサインや採血など新たな業務展開で協議−理事会開く 日本病院薬剤師会 (薬事日報 2008年7月30日)|薬剤師求人・薬剤師 転職・薬剤師 派遣のことならクラシスのyaku-job(ヤクジョブ)
【薬剤師関連ニュース】堀内会長が講演−バイタルサインチェック、
病棟業務に積極的導入を 日本病院薬剤師会 (薬事日報 2008年4月11日)
【副作用の早期発見に有用】
日本病院薬剤師会の堀内龍也会長は5日、京都市内で会長就任後初めて講演し、日病薬の今後の活動方針を説明した。病院薬剤師が新たに取り組むべき業務の一つとして、病棟で薬剤師が聴診器を手に患者の脈拍や呼吸、血圧、体温などバイタルサインをチェックする活動を提示。それによって副作用の発現を早期に発見し、医療安全に貢献すべきと強調した。このほか、細胞毒性のある抗癌剤の混合調製時や錠剤粉砕時に医療従事者が被曝しないよう、安全な体制整備が必要などと話した。
「新しく求められる薬剤部業務」の一つとして堀内会長は、「病棟に常駐する薬剤師が、バイタルサインチェックによる副作用の早期発見と対処を行うことが重要」と述べ、前任の群馬大学病院では今年1月からその活動を開始したことを紹介した。
「バイタルサインで患者さんの変化を発見することは、誰がやってもいい分野」とし、看護師はバイタルサインを突破口に独自の看護診断の確立を目指していると解説。薬剤師も積極的に取り組むべき領域であることを強調した。
既にいくつかの薬系大学では、等身大のモデル人形を用いて患者のバイタルサインをチェックする実習が行われている。そこで得た知識を生かすためにも、医療現場で業務を確立する必要があるとした。
今後は、バイタルサインを読み取り、評価するための研修を日病薬として実施したいとし、将来は「この実績により、薬剤師がベッドサイドへ聴診器を持って出かけることを当たり前にする。実績を積み上げて診療報酬に反映させたい」と話した。
08.04.11、【薬剤師関連ニュース】堀内会長が講演−バイタルサインチェック、病棟業務に積極的導入を 日本病院薬剤師会 (薬事日報 2008年4月11日)|薬剤師 求人・薬剤師 転職・薬剤師 派遣のことならクラシスのyaku-job(ヤクジョブ)
◇「薬剤師に採血や聴診器を」 CBニュース(2008.6.12)
6月12日に開かれた厚生労働省の「第3回薬剤師需給の将来動向に関する検討会」は、危機感にあふれた議論となった。2008年春の薬剤師国家試験の合格者が初めて1万人を超え、さらにこれからも増加が間違いない状況。「薬剤師余り」がすぐそこに見えている中で、議論は「薬剤師の職能拡大」へと向かった。
厚労省検討会で「薬剤師にも採血やバイタルチェックを」と:保健師のまとめブログ
医療人として何ができるか
◆ある漢方医から「漢方薬局の薬剤師さんは、漢方処方を考える際に脈証や腹証などの行為ができないことを知らなかった」と聞かされた。薬剤師向けの漢方講演会で腹証の方法などを解説した際に、指摘を受けて初めて認識したという
◆腹証や脈証は漢方の随証治療の基本だが、患者に触れる行為が医師法に抵触するとして薬局では「患者に触れてはいけない」との考えが一般的だ。このため漢方薬局の薬剤師などは、鍼灸師の資格を取得することで患者に対応しているケースも少なくないとも聞く
◆一方、開局薬剤師も在宅医療推進により、患者と直接、接する機会が増加している。訪問中、患者の容体急変の事態に遭遇した時、「法的に患者に触れられない。何もできない」というのでは、医療人としては失格だ
◆現在、病院薬剤師によるバイタルサインチェックなどの業務拡大論議がクローズアップされ、一部の医療機関では取り組みがスタートしている。こうした行為は、診療報酬や法的根拠以前に、医療人として何ができるかを最優先に考えれば必然性は高まる。薬剤師職能拡大に向けてオール薬剤師の意識改革が必要だ。
薬のことなら薬事日報ウェブサイト - 医療人として何ができるか
日本BI 神戸医薬研究所を開所、日本拠点を強化
日本ベーリンガーインゲルハイム(BI)は研究開発拠点を兵庫県川西市から神戸市のポートアイランドに移転し、17日付で本格的な操業を開始した。外資系製薬企業の研究所が日本から相次いで撤退する中で、BIは唯一日本に研究拠点を置くことになる。ドイツBI取締役会副会長・医薬研究開発担当取締役のアンドレアス・バーナー氏は、18日に同研究所で行われた記者発表会で、「(われわれは)日本を重要な拠点としてとらえている」と強調。日本に研究所を置くことで、日本市場のニーズに対応した製品の提供が可能になるとともに、日本人研究者がグローバル研究開発に寄与する場を提供できるとして、「(BIと日本が)相互に利益が得られる」と説明した。
日刊薬業ヘッドラインニュース【ニュース配信日 2008.11.20】
解熱剤と間違って筋弛緩剤を投与された患者死亡、徳島
徳島県鳴門市撫養(むや)町黒崎の健康保険鳴門病院(増田和彦病院長)は19日、誤って抗炎症剤ではなく筋弛緩(きんしかん)剤を点滴で投与された70代の男性患者が死亡した、と発表した。当直医が電子カルテに薬剤の名称を記入した際に誤表示され、そのまま薬剤師が用意してしまったのが原因で、蘇生を試みたが意識が戻らなかったという。病院から届け出を受けた県警は業務上過失致死の疑いもあるとみて、医師ら関係者から事情を聴いている。
同病院によると、この男性患者は肺炎と胸膜炎で入院していた。17日午後9時ごろ、39度を超える発熱があったため、看護師が当直医に連絡。当直の30代の女性医師は、患者のアレルギー体質を考慮して抗炎症剤の副腎皮質ホルモン「サクシゾン」の投与を決め、電子カルテのパソコン端末に記入。その際、最初の3文字(サクシ)だけを入力して薬剤名を検索したが、同病院でサクシゾンは扱っていなかったため、画面には筋弛緩剤の「サクシン」だけが表示された。
病院によると、医師は画面を見たが「サクシゾン」のことと思いこんだという。薬剤師は、投与の量が200ミリグラムと少なかったため不自然と思わず用意。点滴での投与を担当した看護師は、医師に「本当にサクシンでいいのですか」と口頭で確認したが、医師は「(点滴の時間設定を)20分でお願いします」とだけ答えたという。患者は投与から約2時間半後、意識不明の状態で見つかり、約2時間にわたって人工呼吸などを施したが死亡した。
同病院は、両方の薬品名が紛らわしいため、5年ほど前にサクシゾンの常備をやめていた。だが、女性医師は半年前に同病院に勤めだしたため、知らなかった。処方した薬剤が正しいかどうかの医師による確認は義務づけていなかったという。
記者会見した増田病院長は「カルテの入力だけで薬剤師に薬をオーダーしているのに、相互チェックの仕組みがなかった。医師の思いこみから、看護師による確認に気付かなかったのも誤りの原因。大変申し訳ない」と謝罪。電子カルテの表示の改善など再発防止に努める、と話した。
asahi.com(朝日新聞)2008年11月19日
サクシンの添付文書
用法・用量
通常成人は下記用量を用いる。
間歇的投与法
スキサメトニウム塩化物水和物の脱水物として、1回10〜60mgを静脈内注射する。この用量で筋弛緩が得られないときは、筋弛緩が得られるまで適宜増量する。
持続点滴用法
持続性効果を求める場合は、0.1〜0.2%となるように生理食塩液又は5%ブドウ糖液に溶かし、持続注入する。
通常2.5mg/分ぐらいの速さで注入する。
また、乳幼児及び小児に対する投与法として静脈内注射の場合1mg/kgを、静脈内注射が不可能な場合は2〜3mg/kgを筋肉内注射する。