わが国の専門家委員らのコンセンサスにより,高齢患者における不適切な薬剤処方の基準が示された.したがって,この基準は法的な拘束力を有する,あるいは厳格に遵守されなければならないというものではない.
(中略)
この基準はすべてを網羅する基準ではなく,また絶対的な基準でもなく,掲載された薬剤は使用禁止というものでもない.掲載された薬剤は,高齢患者において副作用が著しく,代表的であり,ほかに代替薬剤があるので,その薬剤の使用を避けることが望ましいとわが国の専門家委員らが判断した薬剤である.
ある指針や基準を使用することは,薬剤処方が単純化され過ぎて処方時における医師の自由が制限されるといった批判が出されるかもしれない.あるいは筆者らが開発した日本版に記載された薬剤のいくつかについて,異議を唱える人もいるかもしれない.しかしながら,高齢患者に薬剤処方を行う際に,論理的で妥当性をもつ基準を使用すれば,高齢患者に効率的にかつ安全に薬剤を処方することができ,これまで見過ごされてきた多くの薬剤療法に関連する健康障害を減らすことができる.
高齢患者における不適切な薬剤処方の基準 -Beers Criteriaの日本語版の開発
日医雑誌 第137巻 第1号
A 上記@の議題には、成分記号(一般名が付されている場合にはその名称を含む。)、治験依頼者名又は自ら治験を実施する者の氏名、開発の相及び対象疾患名(第V相試験に限る。)が含まれること。
なお、議題の例としては、「○○○株式会社の依頼による肺がん患者を対象としたABC−123(一般名)の第V相試験」などが考えられること。
医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令の一部を改正する省令の施行等に関する留意事項について
薬食審査発第0326001号
平成20年3月26日
厚生労働省医薬食品局審査管理課長
http://www.jmacct.med.or.jp/report/files/gcp080326.pdf
海外に遅れる承認
海外に比べ承認販売が遅れる「ドラッグラグ」。なぜ起きるのか−。
厚労省の承認審査が遅いとの指摘もある。が、国立がんセンター中央病院の藤原康弘・臨床検査部長は「むしろ製薬会社がなかなか申請を出さないことが要因だ」と話す。
医薬産業政策研究所の石橋慶太主任研究員は00〜06年、欧米で先行して承認販売された抗がん剤を含む医薬品97品目を調査した。その結果、ドラッグラグは約4年。欧米より治験や審査期間も長いが、製薬企業による国内の治験着手には2〜3年差があった。
研究所の別の調査では、世界で売り上げ上位100の医薬品が初めて市場に出て、薬がその国で売られるまでの時間は、米国が最も遠くて平均505日。日本は3倍近い1417日もかかっていた。
米食品医薬品局で審査官の経験を持つ川上浩司・京都大教授は、日本では、大学などが国の研究費などで実施する臨床研究と、企業などが承認を受けるために行う治験に分かれていることを問題視する。「臨床研究で有効性が確認されても治験をやり直さなければならない。米国は一本化されている」と指摘する。
朝日新聞2008年4月21日朝刊より「抗がん剤 3つの課題」