Objective Structured Clinical Examination(客観的臨床能力試験)
従来の薬学教育4年制における実務実習は見学型の実習であり、調剤などを指導薬剤師のもとで見学していたのが実情です。実地能力を高めることを目的とした薬学教育6年制においては、5年次以降に病院薬局および薬局で参加型の長期実務実習を受けなければなりません。そこでは調剤や患者接遇における技術・態度について体験を通して学びます。
薬剤師の資格がない学生が参加型の実習を受けるためには、事前実務実習の段階で調剤や患者接遇に関する基本を学ぶ必要があります。そして、実務実習を受ける前に、調剤や患者接遇に関する技術や態度ならびに知識が修得できているかを判定します。技術や態度を判定するには、ペーパー試験では判断できません。そのために、与えられた課題に対する実技を、予め定められた観点から各行為の確実性をワンステップずつ判断して行くものです。この実技試験がOSCEと呼ばれるものです。
例えを挙げるならば、自動車教習所で第2段階に上がるため、実技試験と学科試験を受けて仮免許を与えられるか否かを判定されることと同じでしょうか。OSCEは実技試験、CBTは学科試験に相当すると言い換えても良いかもしれません。
●就実大学 病院薬剤実習センター:OSCEとは
http://www.shujitsu.ac.jp/web/department/pharm/faculty/OSCE.html
【日本保険薬局協会】ジェネリック医薬品普及で“お試し”を提案
日本保険薬局協会(NPhA)の漆畑稔専務理事は、ジェネリック(GE)薬の普及や、長期投薬患者の不安軽減のため、“お試し”システムを設ける方針を明らかにした。実現のためには保険制度上のインセンティブ付与や、GE薬の価格差に関する議論の必要性を訴えた。“お試し”に関し厚生労働省医政局経済課の武田俊彦課長は、「現に分割調剤は可能であり、制度上はあっても良いのではないか」と、一定の理解を示した。26日に都内で開かれたGE使用促進のための市民公開フォーラム後の記者会見で示したもの。
会見で武田氏は、厚労省が15日に発表した、後発医薬品の使用促進のための「アクションプログラム」(AP)に触れ、改めてGE薬の使用促進に官民挙げて取り組む姿勢を強調。中央社会保険医療協議会では処方せん様式再変更、薬局に対する各種コスト評価の検討などが、焦点となっていることを紹介し、「調剤報酬上の問題は、年末までには決められると承知している」と述べた。
また、漆畑氏は長期投薬が多い中で、「いきなり3カ月分のGE投薬というのは難しい」とし、「お試しで短期間分を渡し、一度納得してもらった後に、続ける。また飲みやすさなどに問題あれば、他の銘柄、あるいは低価格品への変更も可能」とする“お試しシステム”を提案し、これに対する保険制度上のインセンティブを求めた。
“お試し”の提案について武田氏は、「現状制度でも分割して調剤はできる。GE薬使用促進のため、お試し調剤があっても良いのではないか。現場の薬剤師と患者とがよく話し合ってもらえれば、何か不都合があるようには思っていない」と指摘。しかし、手間がかかるとの認識を述べ、「その評価をどうするかは、現在、中医協の診療報酬基本問題小委員会ので議題に上っている」と語った。
さらに、処方せん様式の再変更問題で“原則GE”との方向性について、「医師が処方せんに代替処方しないでくれ、と指示すれば尊重される。必ずしも医師の書いたものを無視することにはなっていない」とし、処方権侵害には当たらないとの考えを示した。
薬事日報HEADLINE NEWS 2007年10月29日
アルツハイマー病 高学歴ほど進行速く
高学歴の人ほど、アルツハイマー病による記憶能力低下は遅い時期に始まるが、いったん低下が始まると、病状の進行度は学歴の低い人に比べ速いことが、米アルバート・アインシュタイン大の研究で明らかになった。
23日付の米医学誌ニューロロジーで発表した。研究チームは「高学歴の人は“認知力の蓄え”があるために、ある一定レベルまで病状が進むまで症状が見えないのでは」と指摘している。
研究チームは、1980年代からニューヨーク市の高齢者488人に対し、記憶力のテストを定期的に実施。結果的にアルツハイマー病などの認知症と診断された117人について詳しく検討した。
その結果、教育を受けた期間が1年長いと、記憶能力の低下が始まる時期が約2か月半遅れたが、いったん記憶障害が始まると、記憶低下の速度が教育期間1年あたり4%速まっていた。研究チームは「今回の結果は、患者の症状が速く進むかゆっくり進むかを、アドバイスするのに重要になる」としている。
(2007年10月24日 読売新聞)
タミフル、異常行動との関連みられず…動物実験で中間発表
インフルエンザ治療薬「タミフル」と、服用した患者が起こす異常行動などとの因果関係について検討している厚生労働省の作業部会は24日、輸入・発売元の中外製薬に指示した動物実験の結果について「異常行動と関連づけられるデータは今のところない」とする中間結果を発表した。
心不全などによる突然死についても「関係している可能性は低い」とする見解を示した。
脳に運ぶ物質を選別している「血液脳関門」と呼ばれる部分が未熟な若いラットを使った実験などは、結果がまだ出ていないため、こうしたデータが出そろった後で、年内にも結論を下したいとしている。
同部会では、血液脳関門に、タミフルの薬効成分を通さないようにする仕組みがあることや、通常の150倍の濃度の薬効成分を使っても、脳内たんぱく質に異常が見られなかったことが報告された。また、米国での20万人以上を対象にしたタミフルと突然死に関する大規模調査の結果、「関連はない」と示唆する報告も提出された。
10月24日 読売新聞
7対1看護とは
調剤などの行為に対し、公的保険から医療機関や調剤薬局に支払われる「診療報酬」が2006年、四月に改定されました。
看護師、一人当たりの入院患者が少ないほど保険点数が上がり、報酬が高くなる仕組みになっています。
これまでは患者、10人に対して看護職、一人を配置する「10対1」が最高でしたが、このたびの改定で入院患者7人の区分が新設されました。
●介護福祉相談ネット:7対1看護とは
http://kaigosoudan.seesaa.net/article/21202761.html
ローズマリーにアルツハイマー予防効果 岩手大など発表
西洋料理などで使うハーブのローズマリーに多く含まれるカルノシン酸に、脳の神経細胞が細胞死するのを防ぐ効果があることを岩手大など日米合同研究チームが突き止め、22日発表する。アルツハイマー病やパーキンソン病の予防や治療をする新薬につながる成果だという。
米国では、医薬品への応用に向けたプロジェクトが始まった。成分を使ったサプリメントも製品化される予定だ。
岩手大の佐藤拓己准教授(神経工学)らは、マウスの右脳の動脈をクリップで2時間閉じて人工的に脳の神経細胞が死ぬ状況を作った。カルノシン酸を事前に注射したマウスとしないマウス各9匹で、24時間後に脳の変化を比べた。
注射しなかったマウスは右脳の52%が壊死(えし)していたが、注射したマウスでは壊死部分が34%にとどまり、カルノシン酸に強い脳細胞保護効果があることを実証した。
カルノシン酸が細胞死を抑える遺伝子を活性化することも解明し、認知症など脳神経細胞の細胞死に関連する病気の予防や治療に応用できる可能性を示した。
佐藤准教授は「認知力が衰え始める前に発症を予防できる可能性がある。神経回路を再生する力も高く、治療効果も期待できる」と話している。
asahi.com(朝日新聞)2007年10月22日
厚労省が後発医薬品の「お試し調剤」制度導入へ
先発医薬品と同じ成分・効果を持ちながら価格が安い後発医薬品(ジェネリック医薬品)の普及策の一環として、厚生労働省は17日、厚生労働相の諮問機関・中央社会保険医療協議会(中医協)に対し、「お試し調剤」(分割調剤)制度を導入する考えを示した。これは、患者に後発薬を「お試し期間」として1週間程度使ってもらい、問題がなければ、その後、本格的に使用してもらう制度。「お試し調剤」を実施した薬局には調剤報酬を上乗せする。平成20年度の診療報酬改定での実現を目指す。
長期保管ができない薬の分割調剤は現行制度でも行われているが、後発薬の普及を目的とした「お試し調剤」を厚労省が打ち出したのは初めて。ただ、「お試し」後の再調剤には調剤報酬が付かず、薬局側が「手間がかかるだけ」と敬遠することが予想されることから、来年度の改定で再調剤の調剤基本料を上乗せすることにした。
厚労省によると、「お試し調剤」の対象は、主に慢性疾患などで60日や90日といった長期の薬剤処方されている患者。医師の処方箋(せん)に基づき初めて後発薬を使う際に、患者の同意を得た上で、まず1週間程度分の後発薬を調剤する。「お試し」の結果、患者は後発薬を使い続けるか、先発薬に変更するかを選ぶことができ、それを踏まえて改めて薬局が調剤する。
一方、厚労省は、医師が処方箋で指定した後発薬が在庫切れだった場合、医師が処方箋に「医学的な理由から別銘柄への変更不可」などと明記しない限りは、薬剤師独自の判断で、同じ成分の別銘柄の後発薬への変更を認める考えも示した。医師が流通量の少ない銘柄を扱う特定の薬局と“癒着”するケースもあるためで、医師には別銘柄を調剤したことを後日通知する仕組みとする。
後発薬は、厚労省が18年10月に実施した調査では、医師が使用を認めたのは全体の17・1%で、このうち実際に調剤されたのは5・7%に過ぎなかった。政府は社会保障費の伸びを20年度予算で2200億円圧縮する考えで、後発薬の使用が拡大すれば医療費削減につながるとみて、数量シェアを24年度までに「30%以上」に拡大させる計画を立て、具体的な普及策の検討を進めている。
産経ニュース2007.10.17