国内未承認薬、使用拡大容認へ 重病で代替治療ない場合
厚生労働省は29日、重病で代替治療がない患者への特例措置として、国内で承認されていない薬の使用を認める制度を新設する方針を決めた。治療目的での個人輸入は現在も容認しているが、製薬会社を経由した輸入も認める方向。実現には数年かかる見通しで、患者の負担軽減策も検討する。
今後、「コンパッショネート・ユース(人道的使用)制度」を設けて未承認薬の限定的な使用を制度化している欧米の例を参考に、対象とする薬の範囲や費用負担のあり方などを詰める。
厚労省によると、新制度の対象には(1)国内で治験中か治験済み(2)欧米で治験中か治験済み(3)欧米で承認済み――の薬を想定。国内承認が遅れている抗がん剤や、採算が合わずに治験が止まっている難病の薬などが対象になるとみられる。
対象薬となれば、製薬会社による未承認薬の輸入が解禁される。輸入などの費用は原則患者負担となるが、薬剤費以外の医療費を保険適用とすることなども検討していく。
製薬会社や医師には副作用の報告を求めるものの、公的な副作用被害救済制度の対象にはならない見込みだ。
asahi.com(朝日新聞)2007年06月29日
薬剤師人員数が業務の充実に反映
病院薬剤師の業務および人員配置の実態調査結果が、26日に開かれた「病院における薬剤師の業務および人員配置に関する検討会」で報告された。実態調査では、薬剤師の人員が多い病院ほど、医療安全対策や患者への服薬指導といった業務が充実していることや、24時間対応には10人以上の薬剤師が必要なことなどが明らかになった。
調査は、日本病院薬剤師会が委託を受けて行ったもので、06年6月分のデータとして4714施設から回答が寄せられ(回答率70・32%)、うち集計可能であった4474施設について解析された。
その結果によると、▽注射薬の処方せんによる調剤▽医療の安全確保のための処方鑑査の充実▽癌化学療法への関与▽患者情報に基づく服薬指導と薬学的ケアの実施(病棟における医薬品関連業務への関与)▽夜間休日における薬剤師の勤務体制▽入院患者の持参薬管理−−など、いずれの項目でも、病床規模や薬剤師数が多いほど実施率が高い傾向となった。
特に夜間では、薬剤師数10人以上の施設では7割以上が24時間対応しているのに対し、9人以下の施設では1割未満に落ち込むなど、24時間対応には最低でも10人以上の薬剤師が必要なことが明らかになった。
2007年06月27日 薬事日報HEADLINE NEWS
http://www.yakuji.co.jp/entry3559.html
15歳未満、親拒んでも輸血…5学会指針案
信仰より救命優先
信仰上の理由で輸血を拒否する「エホバの証人」信者への輸血について、日本輸血・細胞治療学会など関連5学会の合同委員会(座長=大戸斉・福島県立医大教授)は、15歳未満の患者に対しては、信者である親が拒否しても救命を優先して輸血を行うとする指針の素案をまとめた。
「信教の自由」と「生命の尊重」のどちらを優先するかで悩む医療現場の要請に応えて検討を始め、「自己決定能力が未熟な15歳未満への輸血拒否は、親権の乱用に当たる」と判断した。
合同委員会はこのほか、日本外科学会、日本小児科学会、日本麻酔科学会、日本産科婦人科学会の国内主要学会で組織。年内に共通指針としてまとめる。
エホバの証人への対応はこれまで、日本輸血・細胞治療学会(当時は日本輸血学会)が1998年、18歳以上の患者は本人の意思を尊重し、12歳未満の場合は、家族が反対しても輸血を含む救命を優先するとの指針をまとめていた。しかし12〜17歳については、発育途上で判断能力に個人差があるとして対応策を示していなかった。
今回の素案では、治療法に対してある程度の自己決定ができる年齢を、義務教育を終える15歳に設定した。15〜17歳の患者については、本人と親の双方が拒めば輸血は行わないが、それ以外、例えば本人が希望して親が拒否したり、逆に信者である本人が拒み親が希望したりした場合などは輸血を行う。
15歳未満の患者に対しては、本人の意思にかかわらず、親が拒んでも治療上の必要があれば輸血する。18歳以上については、これまでの指針通り、親の意向にかかわらず本人の意思を尊重する。
大戸教授によると、エホバの証人信者が子への輸血を拒否する事例は、大学病院など全国100以上の病院で少なくとも毎年数例は起きていると推定される。
(2007年6月24日 読売新聞)
アルツハイマー治療薬 緑内障の進行抑制
日本人の緑内障の7割を占める「正常眼圧緑内障」の進行を、アルツハイマー病の治療薬で抑えることに、東京医科歯科大の研究グループが、動物実験で成功した。
緑内障による失明の予防などにつながる研究成果で、22日の米医学誌電子版に掲載される。
緑内障は、視神経が損傷し、視野が次第に狭くなる病気。日本人の失明の原因のトップで、国内の患者数は約400万人。眼球の圧力(眼圧)が高くなると発症するタイプと、正常眼圧で起こるタイプがある。
同大の田中光一教授(分子神経科学)らは、マウスの網膜に、視神経に光の情報を伝えるアミノ酸の一種、グルタミン酸が異常に蓄積すると、視神経が損傷することに着目。余分なグルタミン酸を排除する機能をなくすと、マウスは、人間と同じ正常眼圧の緑内障を起こすことがわかった。
このモデルマウスに、欧米で認可されているアルツハイマー病治療薬(メマンチン)を1日1回、1週間注射すると、何もしないマウスは網膜の視神経の細胞が20%失われたのに対し、注射したマウスは3%の損傷に抑えられた。
(2007年6月22日 読売新聞)
「がん」という言葉
これは初めに断っておかなければいけないことだったのかもしれないが、「がん」と「癌」はその意味するところが微妙に異なる。本稿でもそれを意識して使い分けてきた。「がん」は英語のcancerに相当し、「癌(癌腫)」はcarcinomaに相当する。「がん」は「癌腫」・「肉腫(sarcoma)」や白血病・リンパ腫などの血液系の病気も含む悪性疾患一般の総称として用いられることが多い。対して「癌(癌腫)」は、肺癌・胃癌・大腸癌・乳癌など上皮性の悪性腫瘍のみに限定して用いられ、肉腫や白血病・悪性リンパ腫は含まれない。
従って悪性腫瘍に罹った人の総称としては、「がん患者」がふさわしいのである。
東大のがん治療医が癌になって 加藤大基・中川恵一 著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4990346114
悪性腫瘍はがんとも呼ばれるが、悪性腫瘍とがんを同じ意味で使う事には異論もある。なぜなら腫瘍という言葉は塊(固形がん)を表しているが、白血病などの一部のがんは塊を作らない場合があるからである。またがんは悪性新生物とも呼ばれる。これはもともとmalignant neoplasmの訳語として作られた言葉で、malignant「悪性の」、neo「新しく」、plasm「形成されたもの」を意味する。したがって時々見かける「悪性の新しい生物」という解釈は厳密には誤りである。(平仮名の)がんには(漢字の)癌(=癌腫)、肉腫、白血病および悪性リンパ腫等が含まれる。一方、漢字の癌は癌腫と同じ意味であり、肉腫や白血病等は含まれない。
●Wikipedia:悪性腫瘍 言葉の定義
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%8C#.E8.A8.80.E8.91.89.E3.81.AE.E5.AE.9A.E7.BE.A9