タミフル減「備蓄に不安」 新型インフル対策で専門家 「スクランブル」
「いつ発生してもおかしくない」と言われる新型インフルエンザ対策の柱として、政府が進めているタミフルなど抗ウイルス薬の備蓄。これに対し「今のやり方が緊急時に機能するのか」と不安視する声が専門家から上がり始めている。
理由は、異常行動への懸念から激減したタミフルの流通量。日本の計画はタミフルの大量流通を前提に、通常のインフルエンザ治療に使われなかった「流通在庫」を、非常時の備蓄の一部としてあてにしているためだ。
厚生労働省は「問題なし」との姿勢だが、国の危機管理の在り方が議論になる可能性もある。
▽16%が在庫頼み
「危機管理策として問題ではないか」と指摘するのは、インフルエンザに詳しい菅谷憲夫(すがや・のりお)けいゆう病院小児科部長だ。
政府の新型インフルエンザ対策行動計画は、新型の大流行時に必要なタミフルの量を国民の2割弱、2500万人分と想定。うち2100万人分は、国と都道府県が分担し3月までに備蓄を終えるが、必要量の16%に当たる残り400万人分は、通常のインフルエンザ治療用に市場へ出回るタミフルで賄うとした。
これまでは、輸入販売元の中外製薬が実際の販売量を大きく上回る1200万人分を供給できる態勢を取っており、その余裕も現実的に見えた。
ところが昨年3月、事情は急変した。服用後の飛び降りなど異常行動の報告が相次いだのを受け、厚労省が10代患者へのタミフル使用を原則中止。この影響で昨冬(2006-07年)のタミフル販売量が大きく落ち込み、中外製薬は今冬(07?08年)の供給量を従来の半分の600万人分に激減させた。
▽追加輸入も
菅谷部長は「今冬のインフルエンザ流行の規模が大きくなったら、備蓄分は確保できない恐れがある」と指摘する。
だが中外製薬広報は「400万人分は当社が供給を約束するものではないが、国の方針なのでできる限り協力する。仮に今シーズン必要になっても、追加輸入などの措置を取れば確保は可能だ」と説明している。
世界保健機関(WHO)西太平洋地域事務局で感染症対策に携わった押谷仁(おしたに・ひとし)東北大教授は「需要が急増したらなくなってしまう流通在庫を、非常時の備えに組み込むのは本来おかしい」と指摘。
そのうえで「日本の計画では、新型流行でパニックが起き、流通も混乱した際に薬を必要な人にどう届けるかの具体的なシステムが検討されていない。まず配分システムを詳細に検討し、結果に基づき現実的な必要量を見積もる作業が求められる」と話している。
共同通信社【2008年1月29日】
2007/11/5「タミフルは半分しか作らないってさ」
http://hello.ap.teacup.com/d-inf/1279.html
でご紹介したように、今シーズンのタミフルの供給計画は、昨シーズンの半分の600万人分となっています。
確かに
パンデミックが起きた場合、その一部を市場に出回っているものをアテにするとまずいんじゃないかと思います。
国と都道府県に備蓄してあるとされているタミフルは、新型インフルエンザだけのためにとってあり、普通のインフルエンザの治療には使われないのと引き替えに、安価に供給しているとのことです。
2006/2/3「備蓄タミフルは新型専用 安価と引き換え、使用制限 発生なければ5年で廃棄」
http://hello.ap.teacup.com/d-inf/496.html
そっちの備蓄も、パンデミックが起きていざ使おうとなったときに期限切れだったということにならないように、使用期限は常にちゃんと確認しておく必要がありますよね。