いつもはNHKしか観ないアタシ。
受信料がどうのこうのという話ではなくて、民放のあのごちゃごちゃした感じがいつからか苦手になっちゃって。
暇に飽かせてぼんやりテレビを眺めてることも多いのだけれど、ただでさえ再放送が多いNHK、さすがに「これもう観たぞ」というのも多く、ネット配信でお茶を濁すことにする。
かといって、観たことないの映画に集中するのも面倒だったので、昔見た映画を再見しようかといくつか思いついたタイトルを入力していたら、今年お亡くなりになった大林宣彦監督の「さびしんぼう」が候補に挙がってきて。
「さびしんぼう」か。
高校の時、クラスメート3人で映画館に観に行ったな。
そのうちの一人が富田靖子のファンで。
今やホラー女優、というか、この人が出ていたらかなりエグい演技が期待できるということで、別の意味で人気を博している彼女だけれど、当時の彼女は確か映画「アイコ十六歳」でデビューして将来を嘱望される若手女優兼アイドルの一人だったように覚えている。
この作品は「転校生」や「時をかける少女」と並んで大林監督の「尾道三部作」の一つだけれど、このシリーズ(?)はどの作品も本当に「青春」というものを思い出させる。
特に転校生とこの作品に主演している尾美としのりがいいのよね。
男子高校生特有の無為なところと妙にオプティミスティックなところを兼ね備えていて。
ギャグ的なところは「時代」を感じさせるところもあったけれど、それでもアタシはまさにこの時代に高校生活を送っていた身。
同時代人として今回も泣き笑いさせてもらいました。
そしてその流れでNetFlixがアタシに「おすすめ」してきた映画「君の心に刻んだ名前(刻在你心底的名字)」を観る。
これは1980年代後半の台湾を舞台にした高校生ゲイカップルを描いたもので。
戒厳令が解除された直後で監視社会とでもいえる台湾とそこまでではない日本と。
でもゲイであることに希望を見いだせないことは共通していて。
最初は二人でいられること、二人で過ごせることだけで天にも昇るような気持ちになっていたのに、将来のことを考えると二人の未来に悲観的になり、泣いたり喚いたり喧嘩したり。
今思うと、二人とも怖かったのよね。
社会的に排除されることが。
アタシと彼とどちらがフォビアが強かったのだろうか。
彼が意識的にアタシを避けようとしていたこともあった。
同性愛に染まっていくことの恐怖感を彼が電話で打ち明けてきたこともあった。
そしてそれから30年余を経た今も、彼は同窓会に来ることはなく、連絡を取ったクラスメートに二度と連絡を取らないでほしいと頼んでいる。
風の報せでは彼は勤務先では出世して家族にも恵まれているらしい。
それはよかった。
彼に幸あれ。
それはそう思うけれども、もしあの時代にアタシ達の周りの環境がもっと同性愛に寛容であったなら。
そしてアタシ達がもっと未来に対して前向きな気持ちを持てていたら。
もう一度彼とあの頃のことをしみじみ話せたらな。
そんな思いに駆られた映画でした。

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