先日から夜に目が覚めては、やれ蛇が出た、やれ老婆が出てきたと連夜騒いでいる父。
たまにとはいえ今に始まった症状ではないし、特に手術後にはもっと激しい幻覚に襲われていたのではあるけれども、もしかしたら痴呆症の前兆かもしれないし、それに毎晩付き合わされている母も眠れないので、思い切って心療内科の診察へ。
幸いボケの兆候はありませんとのことで、じゃあ何?ってことなんだけど、長らく飲んでいるパニック症候群の予防薬の副作用でしょうとのこと。
有り体に云えば抗不安薬なわけだけれど、代わりに処方された薬を飲んだら、やおら精力的になる父。
ちょっと散歩してみたり、このところ見向きもしなかったパソコンを開けてみたり、抗がん剤の解説書を紐解いてみたり。
何より堪え性がなくすぐに怒鳴っていた父が母の話にじっくり耳を傾けているのを見て、薬ってすごいなあと。
今の父の性格も、昔ながらのものに拍車が掛かっただけのもののように思っていたけれど、昔はそれなりに我慢強かったり好奇心があったりしたことを思い出しました。
しかし前の薬。
もう飲み始めてから20年近くなるのかしら。
要はもう耐性ができて薬効がなかったってことよね。
このことにもっと早く気づいていたら、もっと今より体力が残っていた時点でもっといろんなところに連れ出してやれただろうし、それになにより彼ももっと精力的にいろんな趣味に打ち込めただろうと思うと、少々忸怩たる想いが残ります。
しかしここが精神的な問題の難しいところだわよね。
本人が恥ずかしがって、あるいはそんな自分を情けなく思うことによって、病院に行くことを億劫がるから、何か到底我慢できなくなるまで、問題を先送りにしてしまうのよね。
でも今回のことも一種の僥倖だと思った方がいいのよね。
遅まきながらでも家族に平穏が訪れているわけだから。
ってことで幸せな退屈です(笑)。