ゴールデンウィーク初日。
今日は二期会のオペラ「フィガロの結婚」を上野の東京文化会館にて観賞。
会場の前では募金箱を持った若者が声を振り絞って義捐金を呼び掛けていたけれど、会社やら先日のチャリティコンサートで万単位のお金を落としているので、今日のところはちょっとご勘弁。実際のところ義捐金の1割しかまだ被災者に届いていないって噂だし。
この先、さらにお金を積むかどうかはまだ分からないけど、もし払うとしてもこの先はもっと具体的な活動にお金をつぎ込みたいと思います。例えば慰問コンサートの費用負担(援助)だとかね。
さて肝心のオペラ。
やっぱり寝ちゃいました(^_^;)。
もう200年以上にも亘って上演され続けている歌劇なので、名作には違いないだろうし、「もう飛ぶまいぞ、この蝶々」とか「恋とはどんなものかしら?」と云ったアリア、序曲は、特にクラシックに造詣が深くない人でもきっと聞き覚えはあると思う。
ただね、やっぱり脚本が古臭い。
というか、今日改めて思ったけど、「笑い」の感覚というものは、極めてローカルなもの。
アメリカンコメディーがなかなか日本でヒットしないように、所変われば品変わる。いわんや時代をや。
やっぱりオペラは近い時代のものの方が共感しやすいなと改めて思いました。
歌手陣ではスザンナ役の嘉目真木子さんが出色の出来。
先日のチャリティーコンサートではあまり印象に残らなかったのですが、演技・舞台姿含め、今日の白眉だったと思います。音程の確かさ・声の通りも見事。
タイトルロールの山下浩司さんは手堅いイメージ。
タイトルこそ「フィガロ」の結婚ですが、実際の主役は事実上スザンナと伯爵夫人なので、ご婦人方に花を持たせたと考えると、リーズナブルな立ち居振る舞いです。
伯爵役与那城敬さんの安定感はもうベテランの域。日本の演劇的に云うと「座長」の風格でしょうか。
昨年の新国立劇場「愛の妙薬」ベルコーレ役といい、今日の伯爵役といい、「キザだし、イヤな奴なんだけど、今一つ詰めが甘くて、どこか憎めない」みたいな役柄はもう十八番になりつつあるのかな。
所作も美しく、改めて惚れぼれとするエロ伯爵ぶりでした。
そして今日のもう一つの収穫はケルビーノ役の下園理恵さん。
若い少年役ながらメゾが演じるので、どうしても見た目的に軽快さがなくなってしまう難しい役柄ですが、その少年かと見まごうようなスラリとしたスタイルと身のこなしで、まさにそこにケルビーノがいるという存在感でした。
M to Fのトランスセクシャルの人が、性転換はしたものの立ち居振る舞いが男のままで困った、という話はいろんなところで耳にする話ですが(クシャミがオッサン臭いとか)、育ち方・育てられた環境により男と女の身体動作は通常かなり異なってしまっているものなので、彼女の勉強熱心さに感嘆しました。
音程的に若干不安定なところがあったのは減点ポイントではありましたが、彼女のお陰で、劇としてのリアリティが飛躍的に高まったのは、特筆すべきことだと思います。
デニス・ラッセル・デイヴィスの指揮は時としてもたつき。
オケや歌手との合わせがもう少し(かなり?)必要なんじゃないかと思いました。
最後の花火が廉かったのも残念。
♪オペラブッファ全4幕「フィガロの結婚」
・字幕付き原語(イタリア語)上演
・原作:P.A.C.d.ボーマルシェ
・台本:ロレンツォ・ダ・ポンテ
・作曲:ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
・会場: 東京文化会館 大ホール(JR上野駅公園口前)
・公演日: 2011年4月29日(金・祝)14:00
・スタッフ
指揮: デニス・ラッセル・デイヴィス
演出: 宮本亜門
装置: 二―ル・パテル
衣裳: 前田文子
照明: 大島祐夫
振付: 麻咲梨乃
演出助手: 澤田康子
舞台監督: 大仁田雅彦
公演監督: 中村 健
・キャスト
アルマヴィーヴァ伯爵 与那城 敬
伯爵夫人 増田のり子
伯爵の小姓 ケルビーノ 下園理恵
フィガロ 山下浩司
フィガロの許婚 スザンナ 嘉目真木子
セヴィリアの医者 バルトロ 三戸大久
女中頭 マルチェリーナ 諸田広美
音楽教師 ドン・バジリオ 坂本貴輝
判事 ドン・クルツィオ 森田有生
園丁アントニオ 原田 圭
アントニオの娘バルバリーナ 馬原裕子
花娘1 三宅理恵
花娘2 醍醐 園佳
・合唱:二期会合唱団
・管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

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