細い棒を片手に。まぁ〜るぅ〜い円盤を片手に。そろりそろりと舞台に登場。それは芸達者な男達。いや、男。二人組み、一人が、こんだけ演ってもギャラは同んなじ。ボケ突っ込みが漫才の妙技だとしたら、ギャグだけで押し通す漫才コンビは芸達者か?うなずきトリオがうなずきながらコメントするよ。「俺達だって日夜、うなずき訓練してんだよっ!」「おまえのうなずきよりも100倍うなずきスピード速いぜっ!うなぎ喰う前にうなずけっ!」「人生、うなずいて上司の指図に従わなきゃぁならん時があるんだぜっ!アンダー・マイ・サム。俺の指図でうなずけっ!」ってね。三者三様。
ところでアンダー・マイ・サム。UNDER MY THUMB。サムってサム・クックじゃぁないよ。サム・ムーアじゃぁないよ。親指の事なんだってさ。”親指の下で”って事か?”親指の元に”って事か?ザ・ローリング・ストーンズが『アンダー・マイ・サム』って邦題なのに、それをちゃっかりカバーしてるザ・フーのカバー曲邦題タイトルは『俺の指図で』なんだってさ。大体さ、大体だよ、『OKっ!気分上々っ!』って時は親指、上に挙げるよね。『気分悪いぜっ!最悪だぜっ!ベイベーっ!』って時は親指、下に向けるよね。だけど『俺の指図で』。親指はお父さん指だな。親指の下って事は、息子だぁ。俺の息子は元気だぜ。俺の息子の指図に従えっ!よぉ〜ネェちゃんっ!って事だ。
ソウルトレイン脱線。復線。
細い棒を片手に。まぁ〜るぅ〜い円盤を片手に。廻りだしたよ。円盤が。クルクル。「あぁ〜もう、ぼく眼が廻っちゃうよぉ〜」なんてチビッコ達が大喝采。
大喝采に気を良くした芸達者な男。今度は別の円盤を持ち出した。廻りだしたよ。円盤が。クルクル。すごいスピードだ。ピッチを上げてるぜ。回転数上げてるぜ。チビッコ達を楽しませなきゃぁなっ。観客を踊らさせなきゃぁなっ。
自分の踊りを踊ればいいのに、煽られて踊るバカがいる。踊らさせるバカがいる。スピード上げて。33rpmで充分。45rpmで充分。リスペクトの欠片もないんじゃないか?
ディスク・ジョッキーと呼ばれていたラジオの時代。トランジスタ・ラジオからは、遠いベイ・エリアから、遠いリバプールからの曲が流れていたんだ。ディスク・ジョッキーの兄貴、姉貴の軽快な語りと共にね。そうやって夜を過ごした人達がいっぱい、いっぱい居たんだ。
DJなんて言葉、居心地悪いぜ。親指、下に向ける感じだよ。


《左》1966年発売、THE ROLLING STONESのアルバム「AFTER−MATH」。A面4曲目に『UNDER MY THUMB』収録。《真ん中》1967年発売、THE WHOのシングル「ラスト・タイム/俺の指図で」。こんな7インチ・シングル持ってるわけないんで、所有するMODガイド・ブックよりジャケを写メ転写。やべぇ”写メ”なんつーダぁッセー現代語、使用しちゃった。《右》1980年発売、RC SUCCESSIONのシングル「トランジスタ・ラジオ」。
気分がいいんで、もう一発、行くっ!「もう一発、行くかぁ〜いっ?」「イエェ〜っ!」「も、も、も、もう一発、行くかぁ〜いっ?」「イエェ〜っ!」「イエェ〜っ!って言えぇ〜っ!」「イエェ〜っ!」
1980年発売、TH eROCKERSのアルバム「WHO TH eROCKERS」。A面1曲目に『HEY DJ!』収録。

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