3日間旅をすりゃぁ自然と荷物も増えてくるってもんさ。あっちゃこっちゃで買い物するからね。個人的にも、そしていわゆるお土産的なものとかも。「荷物が多くちゃぁ移動しづれぇ」ってんで一足お先に帰国させる事に決定っ。国際宅急便で送るのさ。ハママツへ。ロンドンから。三越ロンドン店内にあるクロネコ・ヤマトを使って。ニャぁ。
22日分の文章にも記してあるけど11年前にイギリスへ初旅行。’98年フランスW杯ん時。そして実はその4年後に2度目の旅行をしてるんだ。’02年日韓W杯ん時。どちらの時もクロネコを使ってる。
ロンドン市内のB&Bをチェックアウトしたくさんの荷物を「よいしょ、よいしょ」って運びながら三越に到着。クロネコ・カウンターへ。ニャぁ。いろんな説明やら発送手続きを終えて発送品のチェック。実はここからが違っていた。以前とは。ほとんどの品物にチェックが入ったんだ。たとえば「レコードとかCDの音源タイトルを明記せよ」とか。ん〜〜〜生活しづらい時代になったもんさ。一方じゃぁインターネットで検索すりゃぁ、なんでもかんでも簡単に見つけたりゲットできる時代なのに。他方じゃぁチェックだらけだ。監視の目が光ってる。キラっ!ピカぁーっ!もしかすると、お手軽に利用してるインターネットの世界だってそのずぅ〜っと底の方から監視されてるのかも。ボクは。そしてアナタも。ピーっ!ピーっ!ピーっ!って。
ボクらはちょっとだけ軽くなった手荷物を抱えて駅のホームに向かった。BRIGHTON(ブライトン)へ行くのさ!イェイっ!
午後2時過ぎにブライトン着。雨雲が空を覆っている。駅から南へ繁華街を通過しながら20分ほど歩くと海が見えてきた。ブライトン・ビーチだ。海岸沿いの道路を東へ向かって救急車が走ってゆく。サイレンを鳴らしながら。階段を下りビーチへ降りる。繁華街を通った時も思ったけど肌寒い9月後半の平日ってのに観光客が多い。リゾート地って言うんだ、きっとここは。モッズとロッカーズはどっちも目立ちたがり屋だから人が集まるブライトンを目指したんだろう。
「あぁ〜のど渇いたね」「うん、わたしも」「ビールを飲もう」「うん、そうしよう」ベンチに腰掛け、ビール飲みながら、考えているところ、これからナニをしようかな。ふと気付く「そうだ!ここで靴紐を交換しよう!通称『モッド・ファーザー・ポール・ウェラー』の故郷で購入した靴紐を通称『モッズの聖地・ブライトン』で交換するのさ!たった今、おいらが履いている通称『モッズが履くべき定番シューズ』クラークスのデザート・ブーツのヒモをね!決まりだね!イェイっ!でも気をつけろ!モッズであるためのキーワードがあるぜ!“クール”さ。クールに靴紐を交換さ。カッコよくやらなきゃぁな。ん?クール?・・・ひょっとして・・・もしや・・・あいつがまた現れるんじゃぁあるまいな。知らん間にあのクールなイケ面イギリス野郎がベンチに現れやがって、クールに俺の横に座りやがって、クールに靴紐を交換しやがる可能性大だ。いや特大だ。ビック・マックより特大だ。元大関:小錦よりも特大だ・・・」気付くとボクは靴紐を交換し終わっていた。クールに変えることができていたのだろうか?続けてまた、ひらめいた。電光石火でひらめいた。ピカっ。「よし!このボロボロの古いヒモをブライトンの海に投げ捨てよう!いや、捨てるんじゃぁない。混ぜるのさ、海に。エセ・モッドたる自分が歩んだ足跡(そくせき)の一端を担ったこのヒモを・・・このブライトンの・・・ビーチから・・・」
45分後、ボクらはブライトン駅に戻った。次の場所へ移動するのさ。映画“さらば青春の光”の最後のシーン。ジミーがエースのベスパを崖から落とすシーン。あの崖に行くんだ。過去2回の旅行でもブライトンへは行ったけどあそこは行った事がなかった。EASTBOURNE(イーストボーン)って街の南西にあるSEVEN SISTERS(セブン・シスターズ)って名前の白い崖の海岸なんだ。
イーストボーン駅に午後5時頃到着。そっからバスで海岸に一番近いバス停まで。20分ぐらいで到着。下車。んだけど、なーんにも海らしきものは見えない「ほんとに海、近いの?草原だよ、ここ」。テクテク歩きました。クルマ進入禁止のサイクリング・ロードみたいな散歩道みたいな道路がずぅ〜っと続いてたから。1時間近く(!)歩いてようやく到着。あの場所へ。“さらば青春の光”だけでなく幾多の映画にも使われてるという観光名所なのに売店もなにもま〜ったく無し。おまけに午後6時頃なんつー夕方、誰もいやしない。ボクらふたりだけのものだったのさ。そこは。キャピっ!
バスで街ん中へ戻る。この日はどこに泊まろうか悩んだふたり。このままイーストボーンって街でホテルを探そうか。どうしよう。もう辺り真っ暗だぜ。明日の予定を考える。「でも、今日のうちにあの街まで行っといた方がいいと思う」「いいわよ」RYE(ライ)という小っちゃな町。完全超無謀な行動だと思った。が実行。
夜10時過ぎ、ライのホテルにチェックイン。そしてこの夜はイギリス入国後、初めてビールを飲まない夜となったんだ。
“ブライトン・ピア”って呼ばれてる海に向かって突き出てるあの橋の上の遊園地みたいな奴を撮りたかったわけじゃぁないんだ。
セブン・シスターズへ向かう道すがらの風景。ねっ!これが海に向かってる地域の景色とは想像し難いら?普通の草原だよね。
「ねぇねぇ、見てよあのふたり。なんにも喋らないで黙ったまんま荷物引きながら歩いてるわ。たぶんオトコの方が海岸まで行った時にナニかを打ち明けるはずよ。もしかして・・・あのふたり・・・」「バッカだなぁ〜おめぇは。どぉー考えたってあいつらはハネムーンだよ。黙っていたって通じ合ってんのさ。誰も居ない海岸へ着いたらあいつらきっと・・・ウヒヒヒヒ」「バカっ!あんたったら、ホントにスケベね、モォ〜」
映画“さらば青春の光”のラストシーンを思い出しながら嗚咽する淳吉郎氏。
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