10月19日、日曜日。天気は晴れ。
今日も東の空から“太陽”って名前のずんどこ野郎がいい気になりながら、陽気な笑顔を振りまきながら、昇ってきたんだろ。俺が前夜のDJパーチーから帰宅したのは今朝午前5時15分。つまり10月19日(日)午前5時15分って事さ。朝帰り。いい歳こいて朝帰り。夜行性の生き物ではないのに朝帰り。それは日曜日って奴が保障してくれているのだ。サラリーマン万歳!VIVA!月給取り。小鳥が鳴いている。朝の歌を唄ってる。
俺はポストに挟み込まれた新聞の朝刊版を腕に挟むとドアーを開けた。そしてそのままベッドに転がり込む。夢を見たいのさ。夢を見ていたい。有名になる夢を見てみたい。人の頭の上をナデナデしてあげたい。それはもしかしてボランティア?有名人が夢を与えるのは義務。堕落した人生論を振りかざした作家やミュージッシャンや映画監督がいたとして。その“夢と希望”がひとかけらも見当たらないように見える堕落した人生論にだってさえ夢と希望を抱く人がいるのだ。路上の石を蹴る人も居れば拾う人も居る。
起床したのは午後零時。ずんどこ野郎はもう南の空のまん真ん中に居座っていやがるぜ。天気は晴れ。
卵入りのチキンライスを召し上がる。冷凍食品を召し上がる。朝食は昼食になるし。昼食は朝食から来るし。同居する。それは意識の持ち方次第。初期パンクはネオ・モッズの重要な要素の一つ。ネオ・モッズは初期パンクから来る。同居する。それは意識の持ち方次第。部屋に流れる60S'ビート・ミュージック。
午後2時を経過。そろそろだ。時が来た。時間ですよ〜。別れの時がやってきたんだ。惜別?いや違うな。惜しむ気持ちが無い。グッドラック!って言うべきか。ごきげんよう!さよなら!って感じか。最後だし。もう会えないし。あいつと最後の記念写真を撮るべきだろう。多くの人が同んなじ状況に置かれたらおそらくそんな行動を取るに違いない。思い出を形に残す。記念碑を打ち建てる。解散コンサートを行う。解散コンサートを音源・映像として発表する。
でも解散コンサートの状況、雰囲気はその時、現場に居た人達だけがその瞬間に感じえるものだと思う。そしてそれは解散コンサートに限らず。清明画像なDVD化の時代。参加者以外は記録としての映像に酔いしれる。エド・サリバンショーのザ・ビートルズ。タミー・ショウのザ・ローリング・ストーンズ。ロックンロール・サーカスのザ・フー。ウッドストックのジミ・ヘンドリックス。モンタレーのオーティス・レディングとジャニス・ジョップリン。俺は最後の記念写真を撮影しなかった。思い出や記念は今まで撮ったその時々の写真があればそれでいい。単なる記録。
俺はハンドルを握る。スウィッチ・ボックスにキーを差し込む。ぶろろろん。爆発するエンジン。震える排気マフラー。アクセルは捻るためだけに存在する。加速する身体。顔面に風が当たる。ヘルメットのあご紐が揺れている。だって俺はバイク乗り。
19年間乗り続けていたバイクを手放す事にした。19年間?つまり1989年から2008年までの間って事さ。ザ・ローリング・ストーンズ初来日よりも早くそのバイクに俺は乗っているんだ。その年月はまさに青春の光。
ラスト・ラン?最後の走り?そんな記念碑的な事は性に合わねぇなぁ。でも実際には前日の土曜日にラスト・ランしていた。気分的な意味での。
高校時代のバンド仲間がお店を開いたらしい。今年の春先にそんな事を耳にした。なかなか都合がつかなくてね。お店だし訪問したからには何か買ってあげたい。彼は商売を始めたんだ。お店を経営してんのさ。サラリーマンの俺とはちょっと違う。すごい。最近、探してるものがうまい具合に彼の店にあるといいな。レーモン・クノー著『地下鉄のザジ』って本を探してんのさ。彼は“FAVORITE BOOKS”ってイカシタ名前の本屋を浜松市浜北区中条でやってるんだ!
店内で久々の再会の挨拶を交わし「60年代のディランみたいな髪型だね」って俺。「ジュンさんだけですよ、そうやって気付いてくれるのは」って彼。ザジは見つからず注文。そして彼が影響を受けたと話してくれた最近発刊のボブ・ディラン写真集も注文。注文申込書の【お名前】記入欄に彼は“ジュンキチさん”って記入したんだ。
青春の始まり高校生時代のバンド仲間が本屋を経営。俺は客として彼の店に。自分のサラリーの中からお買い物。それが彼と彼のカワイイ細身の奥様の生活の糧になる。
俺達は大人になったんだ。
ラスト・ラン。俺はこの土曜日の走りを【さらば青春の光】って名付けるぜ。いいだろ?
俺の大好きなギター弾きが弾いている。前のバンドの事なんて引きずらずに次のバンドでもやっぱりギターをかき鳴らしてる。そんな姿を見てるのが大好き。そして俺は新しいバイクを探してるんだ。新しいバンドに加入するように。モータウン・ビートみたいなシリンダーの定期的な揺れに身を任していたい。シングルでもツインでもマルチでも。ママの身体の定期的な揺れで赤子も眠る。すやすや。人間は依存の生き物って事さ。
もしかしたら俺はバイク乗りでもギター弾きでも音楽好きでもないかもしれない。単なるビート好きなのかも。
イタリア製の小型スクーターを探してる。VESPA VINTAGE ET3って名前のバイクさ。
そしてビートが続いてく。

発表年不詳。おそらく21世紀なってから。ネオ・モッズ・コンピ盤“THIS IS MOD”。アホな程ベスパの写真満載ジャケ(内ジャケもね)。収録バンドも最高!

発表年不詳。おそらく21世紀なってから。ネオ・モッズ・コンピ盤“WE ARE THE MODS! VOLUME:ONE”。ネオ・モッズ有名バンドの未発表テイクが入ってるって事でいいかもだけど・・・。

発表年不詳。おそらく1950年代後半(録音は1956年)。ソニー・クリスのアルバム“ゴー・マン!”。わかりました!行きますっ!。ジャケ買い。ジャズの曲って一曲当たりの長さがパンクの曲の4倍ぐらいなのが多いのに、この人の曲は同んなじくらい。これ自体がパンクに非常に近い事だ。

1973年発表、ザ・フーのアルバム“四重人格”。敬礼っ!はいっ!わかりましたっ!

1988年発表、ネオ・モッズ・コンピ盤“THE UNSUNG HEROES”。いいコンピ盤ですよ〜。シングル単品で買ったら高価な曲がギュっ!って缶詰状態。

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