バンドを演っていると最終的に『オリジナル指向(or嗜好or思考)』もしくは『カバー・バンド』のどっちかのスタイルに落ち着く。んでも「レパートリーはオリジナル曲のみ」ってバンドを演っている人たちだって、おそらく何曲かはカバー曲やコピー曲を今まで経験してるはず。若かりし頃とかに。もしあなたが「俺はギターを弾き始めた時から他人の曲なんて演奏したこと一回も無いんだぜ」って言うのなら。はい、あなたこそが真のオリジナルでしょう?って言ってあげるよ。ところでカバー曲、コピー曲ってふた通りの言い方があるのだけれども。「カバー」と「コピー」は同んなじ意味なのか?どう違うのか?って事なんだけれども。
一般的にコピーって言葉は「ナカムラ君、その用紙を午後の会議で使うから6枚コピーしといて」って上司から指図を受ける時のように『複写する』って意味合いだぁね。だから「曲をコピーする」ってのはレコードと全く同んなじように演奏するって事なんだろう。そっくり具合度数がメーターの目盛りになってるのさ。その曲やバンドが好きで「近づきたい」って気持ちで真似る場合もあるけど。もしかして自分の気持ちや思い入れなんてもの不用でも可能なのかも、コピーって。だって、それは、まるで、機械的な作業なんだから。そう、コピー・ロボットになればいいのさ。ガチャ ガチャ ガチャって。そして、その程度じゃそっくり具合度数が刻まれたメーターを振り切る事は不可能。残念ながら不可能。複写するつもりで真似てるだけじゃ元の曲に肩を並べる事は不可能なのさ。唯心論のど真ん中っから言ってやる。
一般的にカバーって言葉は「ナカムラ君、新入社員のあの娘、まだ作業に慣れてないからしっかりと業務をカバーしてやりなさい」って上司から指図を受ける時のように『補助する』って意味合いだぁね。またある時は本の表紙:ブック・カバーみたいに『覆う』って意味合いだぁね。基準になるモノがあってそれを外部からサポートするみたいな。だから「曲をカバーする」ってのはレコードの原曲と同一に演奏してもいいし、原曲からさらにデフォルメ、変換、アレンジ、などしたりして演奏するって事もオッケーなんだろう。原曲に対する気持ち度数がメーターの目盛りになってるのさ。憧れのバンドの曲を愛情込めて演る事もあるし、いわゆるギャグ感覚やパロディ感覚で演る事もカバーにはありえる。それもオッケー。いずれにしろ気持ちがそこには存在してるわけであり。唯心論のど真ん中っから言ってやる。
たとえばトリオ・バンドならメンバー3人の気持ちがそこに存在してて。そこには3人のそれぞれの温度があって。だから「この曲のカバーを演ろう」って誰かが言い出した時には、その人と他のメンバーとの気持ちの温度差は確実に出てくるわけで。だからバンドがカバー曲を演るという時、ここは大きな見所のひとつと言えるでしょう。選曲に始まり演奏に至るまで。センスがそのまんま出てくるのさ。そのバンドの在り方が手に取るように解かるかも。そしてそれを聴いたお客さんが「このカバー最高!原曲よりいいかも!」なんてな気持ちを抱く事ができたら、それは最高な事。演奏したバンドも最高だし、それをカッコいいって受け入れたお客さんも最高。唯心論のど真ん中っからの出来事。
JOAN JETTを知ってるかい?ジョーン・ジェットはオリジナル曲に加え数多くのカバー曲もレコーディングしているミュージシャン。“THE HIT LIST”なんてなタイトルの全曲カバーなアルバムも発売しちゃったぐらい。彼女のカバー選曲は王道っぽいしマニアックっぽいんだ。つまり、とても秀逸って事さ。音楽リスナー気質をくすぐると書くべきか。
ぶ厚い歴史の教科書のどこかのページを開いたとしよう。そのページの『歴史的な出来事』に興味を抱けば、自然とその出来事の前後の展開に視点が移っていく。ってなもんさ。ナニがあったからソレになり。ソレがあったからアレになった。ってなもんさ。音楽リスナーの多くはそんな聴き方、接し方をしている。ってなもんさ。
ジョーンのカバーってのは基本的にオリジナルに近い感じで演っているのが多い。それが彼女のスタイルなんじゃないかな。リスペクトの気持ちで原曲の雰囲気を損なわずにカバーするというスタイル。
2010年9月18日(土)にジョーン・ジェットのバースデイを祝う企画があるんだ。今年で3回目。どうやら出演者はすべて少なくとも数曲はジョーンのカバーを演奏することになっているらしい。さて今年のライブ。出演者のみなさんはどんなジョーン・ジェット・カバーを見せてくれるんだろう。
2010年9月18日(土) 東京:渋谷Club Crawl
Joan Jett Birthday Memorial Live “We Love Jett 2010”
出演: Number 3,THE SONIC GANG,JETT SETT,
THE ICHIROW ROCKS,淳吉郎
開場;18:00 開演;18:30
料金;前売\2300 当日\2800 1d別
1990年発表、JOAN JETTのアルバム“THE HIT LIST”。A面2曲目に『LOVE HURTS』収録。最初聴いた時「なんていい曲なんだろう」って思った。パーソナル・コンピューターも普及してない時代だったから検索もできず「オリジナルは誰なんだろう?」って思い続けてた。
2005年発表、菊花賞のアルバム“VOLUME FOUR”。全部で25種類(VOLUME TWENTY FIVEまで)ある菊花賞のライブ盤シリーズの第4弾。1枚目の17曲目に『LOVE HURTS』収録。曲が始まる前に菊が言うわけさ「ではグラム・パーソンズの曲でラブ・ハーツ」始まった曲がジョーンのバージョンで何回となく聴いた《あの曲》だったのさ!「グラム・パーソンズ、グラム・パーソンズ、グラム・パーソンズ」。大切な事は3回繰り返して言え、というおじいちゃんの教えをボクはこの時も実践したんだ。ぐらむ・ぱーそんず、グラム・パーソンズ、GRAM PARSONS。15年間、探し続けた答えが突然降りてきたのさ。
1974年発表、GRAM PARSONSのアルバム“GRIEVOUS ANGEL”。B面3曲目に『LOVE HURTS』収録。
でも、疑問がひとつ残ってて。作者の項に《BOULDLEAUX BRYANT》って書いてある。これはグラム・パーソンズのオリジナルじゃないってことか?そして今回は検索をしてしまいました。エヴァリー・ブラザーズの曲って事が判明。名前だけ知ってたエヴァリー・ブラザーズ。買うべきレコードが一枚増えたんだ。
LOVE HURTSをめぐる旅は続く。

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