「よし!渡英初日は買い物だぜ!」
予約したホテルに午前中に寄っておいて旅行カバンを預けて手ぶらでロンドン市内に出かけた。
とりあえず寄ってみたいお店はチェックしておいたんだけど場所がなかなか見つからなかったり、見つかっても予想とは違うものだったり(予算以上の値段とか)で難航した。ナンコー。「でもまぁいいじゃん」って気持ちでいたんだ。まだまだ時間はあるし。ってね。自分の生活ん中で期待通りに物事が進んだり、予想通りに話が展開してったらどんなに楽だろう。って思う。着火したとたんにスルスルと上空に登って光りを散らす花火みたいに。そしてどんなに苦しいだろう。とも思う。だって苦しみが来る予感がしてて実際にそんな風になっちゃうんだよ。砂の上のお城はやがて崩れてゆく。
思惑通りに行かないから文学も映画も音楽も存在するんだ。欲望を形に変えてるんだ。フィクションの世界で安心するんだ。フィクションの世界で絶望するんだ。背に腹は変えられないし腹に背も変えられないのさ。Tシャツを前後逆に着て笑われるんだ。最新ファッションつって流行するんだ。
人生論が鳴門海峡のうずしおみたいに頭ん中でグルグルになってしまったボクは「自分の存在価値はどこにあるか?」なんてなテーマを掲げながらカーナビー・ストリートに行った。あすこに行けば答えが見つかるかもしれない。なんて思ったり?
まずmerc(メルク)という店に行った。以前行った時も感じたんだけど、なんかブランドの匂いがプンプンするんだ、ここは。《誰々御用達のお店》みたいな雰囲気が。苦手なんだよ、ボクは。こーゆーのが。店内に入るとバーゲンみたいなのをちょうどやっていて。いい値段でいいデザイン柄のシャツをいいサイズで発見。「んんん〜〜〜」って。ボクの場合は背が低いんでこの《サイズ選び》ってのがすんげーポイントなのだ。「いやぁ〜予想もしない時に登場しやがったな!」ってな感じ。嬉しいんだけどね。とりあえずもう1、2軒まわってから決めようと思いました。そして次に行ったのがSherry's。入店したらニッポン人の男のコが働いていた。顔付きはどことなくコレクターズの加藤ひさしさんに似てる。どうやら大学を休学してロンドンに来ているらしい。Sherry'sでどうしても働きたくてオーナーに何度もお願いしてやっと念願が叶ったと話していた。若いというのはスゴイね。気合いだけで扉を開けてしまう事があるんだ。ここでは先程見つけたシャツに匹敵するブツがなかったんで彼にそのままお別れを告げる。もう一店行ったけどここでも同様。そしてmercに戻って件のブツを買いました。今回はまるでヒラヒラとシャツが翼のような袖をはためかせて降りてきたような買い物だったんだ。
夕方はライブを観に行った。事前のインターネット調査で偶然見つけたライブ。なんとスモール・フェイセズのトリビュート企画!今年で13回目なんだって!全9バンド出演って書いてある。開演16:00だって!終演23:00だって!最初から観たかったけど、なんやかんややってたら遅れちゃった。18:30頃現地到着。スモール・フェイセズつったらモッズ・バンドの代表格じゃん。んだからちょっとだけ期待してたんだ。お客さんがベスパやランブレッタに乗って衣装まとって来てないかな?って。モッズ雑誌で見るようなね。そして会場に着いたボクら・・・我が目を疑った!「いるっ!いるっ!いるぜーっ!」駐車場に10台ぐらいのモッズ的なデコレイトしたスクーターが並んでるではないか!そしてパーカーを着た人達もうろついている!「モっ!モっ!モっ!モッズだぁーーーーっ!ほんまもんのロンドンのモッズだぁーーーーっ!」よく見るとみんなおじちゃんだ。80年代のネオ・モッズ時代の人たちかもしんない。どうやら、もう帰るみたいだ。奥様がシチューをこしらえて夕飯を待ってるのかもしんない。日曜日だもん。みんながエンジンをキック・スタートしだした。ブゥブゥブゥブゥブゥブゥブー。走り去るバイク。
「あぁーーーっ!やっべーーーっ!」興奮しすぎて写真撮るの忘れてました・・・
入場する。ライブはすでに4バンドくらい終了してたみたい。出順表が受付に貼ってあったんでどんなバンドが出るんだろう?って見てみた。どうせロンドンのアマチュアが出るんだろうぐらいに思ってた・・・んだが、7番目ぐらいに書いてあるバンド名に我が目は釘付け。釘がないのにくっ付いたんだ。目ん玉が。クギクギ。SMALL WORLDと書いてあった。そう!80年代初頭のロンドンのモッズ・バンドである。10年前にDETOURというネオ・モッズ・レーベルから2枚組みの編集盤が発表、数年前にもニッポンの1977RECORDSってレーベルからシングルが再発されたりしたバンドさ。なかなかいい曲を当時から演ってるバンドでボクのお気に入りだったのさ。そのバンドがトリビュート企画に出る!「自分らのオリジナル曲も数曲は演るんだろな」とかいろいろ考えながら彼らの出番を待つ。それまで2〜3のバンドが演奏した。どれもいわゆるアマチュア・レベルだった。まぁトリビュートなんてそのバンドに対する気持ちがあれば参加していいわけであるからとやかくは言えないね。でもなんか物足りなさを感じた。だってボクは今、ロンドンにいるんだぜ!ガツンとやってくれよ!キャセイパシフィックの狭いエコノミー席でやってきたんだから。ニッポンからここまで。イケ面野郎からくやし汁飲まされ続けてここに立ってんだから。
そしていよいよSMALL WORLDの登場。メンバーみんな50歳前後の風貌。アラフィフ。
始まった♪ぎゃぁ〜ん♪1曲目から全開!結局スモール・フェイセズの曲のみで30分ほど演奏したんだ。たるいMCもなく演奏中心で演っていた。やはり当時演っていたバンドだけあって演奏力も高い。そしてその気持ちが、SMALL FACESに対する尊敬の気持ちとか憧れの気持ちとかがギンギンに伝わってきた。選曲も王道からマニアックな曲まであったしね。なんか演奏観ててボクは泣けてきたよ。「そうだよ!そうだよ!」って。「俺も負けられん!」って。
イベントの最後に出たのがSMALL FACESの完コピ・バンド。演奏は上手いし場内も大盛り上がり。ヴォーカル&ギターの人なんてスティーブ・マリオットそっくりだしね。しかし残念ながらこのバンド、つまらなかったんだ、ボクには。「だからなんなの?」って感じ。来ないんだ“こっち”へ。退屈だし眠くなったんでホテルに帰ったよ。
予想以上にモッドなイメージの一日を過ごしました。
1999年発表、DETOURによるSMALL WORLDの編集盤。全28曲収録!イェ〜イっ!
2001年発表、1977RECORDSによるSMALL WORLDのシングル。
出た〜〜〜っ!淳吉郎撮影、今回のステージ。
出た〜〜〜っ!本日9月29日に航空便にて到着したmerc製シャツ!店頭でデザインとサイズだけ確認。さっき部屋でシャツを拡げてビツクリ〜〜〜っ!長袖のつもりで買ったのに実は半袖だった〜〜〜っ!だーかーらー言ったでしょ。思い通りに物事が進むわけないって・・・悲しい・・・グシュン・・・

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