Aより
《サーキットの狼》という漫画が一世を風靡したのは昭和50年代初頭だったか。スーパー・カーという言葉が生まれた。
どんなものよりもスゲぇからスーパーなのだ。“スーパー・ビッグ”なんつーネーミングな100円モナカ・アイスを喰うとスーパーに身体がひんやりするぜ。美味くて、メガ・サイズで、安けりゃぁ言うことないら。「の〜ぷろ〜ぶれ〜ん」って英国片田舎でのパブのカウンターで老人二人が黒ビール片手にしゃべりあう風景。
特別なモノには特別な理由がある。格別な奴には格別な理由があるだに。“カリスマ”なんて言葉を授かった輩に俗世間の俗な人間が群れている。おいっ!お前っ!カリスマ気取りかぁ?ボケっ!しかしホントにスーパーな輩には凡人はどうだ?憧れてその道に進んでもカリスマな輩の歴史にはひれ伏すばかりって感じな凡人だけど、スーパーな輩には「ぶっ飛んでてわけわからん、付いて行けん」んな感じ。常識ってのは多数決。毎年“常用漢字”が辞書に追加されてくみたいに。スーパーってのは常識を超越してるって事なのだ。『スーパーマン』は映画の世界か?虚構の世界か?フィクションか?そして、そんな“常識”もいつしか“スーパー”な世界に近づいているんだ。“狂った世界”って事さ、現在のこの星。追い越し車線を走るランボルギーニを走行車線から追い抜くクルマがスズキの軽ワゴンである風景。
山田は漫画好きだったからやっぱり《サーキットの狼》も購読していた。彼の発想が実は飛び抜けていたんだ。その思いつきが。その立ち位置が。スーパーな輩のお住まいの右3軒目ぐらいの立ち位置。方角だったら西方3軒目ぐらいね。方角って結構需要なんだぜ、意識の世界では。暮れなずむ西空は落ち着く感じ。飲み物なら九州・久留米産の麦焼酎をお湯割りで。って感じ。
クルマのナンバー・プレート番号を書込むのであった、山田は。コクヨの帳面に。もちろんスーパー・カーの。次第にこれには全ての外車を含み国産車においてはビンテージな名車に限り番号記帳を許される事となった。なぁ〜なぁ〜な世界での規制がだんだんユルめられるように。「いいねぇ」平民はそれを目指しそれを喜ぶ。
ナンバー・プレートの番号、記して何がある?何の得がある?結果的には全く意味の無い行動だったのかもしれない。お悩み相談室の論者が人生そのものの行程の重要性を説くように山田はただその行為を楽しんでいたようだ。“結果よりも重要なのはそこに行き着くまでの道程、行程。それがあなたのその後の道筋に力をもたらすのです”らしいぜ?
山田に影響された川村もせっせとナンバー・プレート番号を帳面に記し続ける事になる。
そしてブームも去り二人とも小学校を卒業した。
山田川村ご両人は中学生になると学校側の方針により半ば強制的に部活動を始めたんだ。
Cへ続く
1978年発表、オムニバス盤“HOPE&ANCHOR FRONT ROW FESTIVAL”。ロンドン北部にあるパブ、ホープ・アンド・アンカー。この盤にはウィルコ・ジョンソン・バンドやパイレーツやサバーバン・スタッズ、XTC、999、セインツ、X-RAY-SPEX、オンリー・ワンズ、ストラングラーズなどのバンドが収録されてるよー。
1980年発表、オムニバス盤“THE LONDON R&B SESSIONS”。この盤にはルー・ルイス・リフォーマー、ウィルコ・ジョンソン・ソリッドセンダーズ、パイレーツ、ビショップスなどのバンドが収録されてるよー。
1989年発表、The ピーズのアルバム“グレイテスト・ヒッツVol.1”。11曲目に『カリスマきどりだBaby』収録。
1970年発表、DAVID BOWIEのアルバム“世界を売った男”。B面5曲目に『THE SUPERMEN』収録。
「淳吉郎は英国旅しただら?ホープ&アンカー行かなかったの?」「うん、行ったよ、もちろん!」「どぉだった?」「ステージはねぇ地下にあるの。1階はいわゆるパブなんだ」「へぇ〜!んで?」「ライブ演ってたから観たよ」「どんな?」「いわゆる地元のバンドと思われるアマチュア・バンド」「やっぱりロックのメッカ、ロンドンなんだからアマチュアもスゴイんでしょ?」「ん〜〜いや・・・別にそぉとは感じんかったよ。俺等ザ・スリックスだって演らせてもらえるかも・・・って思っちゃったぐらいさ」「・・・なんかあんた最近いい気に成り過ぎてない?だったら行ってみりゃぁいいんじゃん!どぉよ?」「・・・すみません・・・地道に地元・浜松で頑張ります・・・」
ボクはホープ&アンカーにてギネス・ビールを飲みながら地元バンドのGIGを楽しんだのです。2002年の出来事さ。

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