列車に乗ってると妙な気分になる。なるんだよ。いい気分になる。いっつもそう。クルマやバイクに乗ってるのとは違うんだよね。
「自分で運転してないから?」
いやぁ、キミキミ、違うよ。そぉじゃぁないんです。バスやタクシーでは、そんな気分にはならない。だってバスやタクシーから見える景色って同んなじ事が多いから。そうだら?
自宅から目的の場所へ。目的の場所から自宅へ。ってね。お酒がまつわるの。そんな場合。でしょ?お酒にまつわるストーリーがそこに隠されてるんです。ヒュ〜ゥっ!
だけど、お酒に酔っ払ってるいい気分とはちょっと違った気分だな、列車に乗ってるっつーのは。
☆
いつだったか?10年前くらいか?東海道本線に乗っていた。そんな日があった。オレンジ色のボディーの時代さ。3月頃だったと思う。静岡市に向かっていたんだと思う。
大井川を渡った頃かな?お茶畑が拡がりはじめたんだ。午前9時頃だったと思う。お茶畑の細道をサンポ、朝の散歩をしている犬と飼い主を車窓から発見。
ゆぅ〜っくりっ、ゆぅ〜っくりっ、雑種のワンちゃんと60歳前後のおじちゃんはねぇ、歩いてたの。ワンちゃんは草木の匂いを嗅ぎながら、おしっこのタイミング計ってる。おじちゃんはそれを見てる。
なんなんだろう?今でも脳裏に焼きついてるんだ。たったそんだけの風景が。
記憶なんてそんなもの。個人的なの。いっくらボクと “物事について、計測や判断する物差しの目盛りの幅(人はそれを【価値観】と呼ぶ)” が似ているキミやアイツだったとしても、あの光景だけは伝えれないね。そう思う。残念だなぁ〜。もしかして同んなじ列車に乗っていてね、同んなじ光景を眺めていたとしてもね、同んなじような事を感じていたかなぁ?キミとアイツとボクは。
あん時の列車は、どこ行きだったんだろう。ホントに『静岡行き』だったんだろうか。どっか違うところに、目的とは違うとこにボクは連れて行かれた記憶がある。んだ。時計が歪(ゆが)んでる。時計が歪(ひず)んでる。記憶の固執か?サルバトール・ダリか?
でも確実に。午前9時45分頃に。ボクは静岡駅で降車してた。静岡市に向かって走るその列車に乗っていたって事。天竜川を越えて。大井川を越えて。安倍川を越えて。河を渡った。Meeting Across The River。
☆☆
玉遊びの名手がボール片手に遊んでる。
多摩川・中流域の河川敷で。
たまたま通りかかって。名手はじっとしていられなくなった。なぜなら。グラウンドの隅に溜まっている玉を見つけたから。放置された玉にだって魂(たましい)宿ってる?
名手は叫んだ。同日に多摩川・下流域の河川敷で開催中『多摩川流域少年野球団大会』の決勝戦で戦っているチビッコ達にも確かに聞えたであろう大絶叫で。「たまらんねぇ〜っ!」って。『玉って物こそ自由な物』って顔付きで。叫んだんだ。
玉ってまったく自由?うん、そぉかもね。だから狙いを定めて打った(ヒット・ア・ターゲットな)つもりでも、的を外しちゃったりする事がある。名手だって魔術師だって外しちゃう事があるんだ。まるで玉に魂が宿ってるみたいさ。手を離れた瞬間に。手を放した瞬間に。勝手に歩いていってしまう。やっぱり、玉に魂が宿ってるみたいだね。
写真でも絵でも文章でも歌でも。発表した瞬間に歩いてく。やっぱり宿ってるんだろう。魂ってやつが。
そんな個人的な記憶を記録に残したり、想像を創造したい。だから人間ってやつぁ〜写真を撮ったり、絵を描いたり、文章に起こしたり、唄ってみたりするんだと思う。そんでそれを他人に向けて公開しちゃったりしてね。
表現活動のスタートかな?スタートだろう。おめでと。
This Train Bound For Glory。栄光に向かって走るこの列車に乗ってゆこう。
1987年発売、忌野清志郎のアルバム『RAZOR SHARP』。A面1曲目に【WATTATA(河を渡った)】収録。
1975年発売、BRUCE SPRINGSTEENのアルバム『BORN TO RUN』。邦題「明日なき暴走」。すごい邦題タイトル。俺だったら「♪ボ〜ン♪と鐘が鳴ったら走れよっ!」にするなぁ〜。B面3曲目に【MEETING ACROSS THE RIVER】収録。邦題「川向こうでの会見」。ダッセぇ〜なぁ〜っ!俺だったら「川の向こう側で会おうよ」にするなぁ〜。
1978年発売、THE BISHOPSのライブ盤『LIVE!』。A面4曲目に【Train, Train】収録。

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