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行きつけのライブ・ハウスから戻ってきた。ボクは。酔っぱらいながら戻ってきたんだ、ボクは。
その日はどんなバンドのGIGを観たのかも覚えてないなぁ。夜半すぎ。日めくりカレンダーを一枚めくるかめくらんか迷う時間帯だったと思う。部屋に戻ってパーソナル・コンピューターの扉を開けてスウィッチを入れた。【アウトルック・エクスプレス】なんつー名前の急行列車が停車してた。友人から速達が届いてた『ジョー・ストラマー死んだみたい・・・』。ぐるぅ〜ぐるぅ〜って。回転木馬が。メリーゴーラウンドが。廻り始めた。記憶の中か?現実か?幻想か?夢か?よく見ると木馬がいるではないか。ボクの視界ん中に馬がいる。そいつに誰かが乗ってるじゃん。赤いティーシャツとスリムなブラック・ジーンズ。白いラバー・ソウル履いてるよ。「ジョーが乗ってるのか?」って思ったけど。違ったみたい。自分が持つジョーに対する憧憬が乗っていたみたい。ボクが持つ彼への憧憬。だって、数分したらジョーがウィンクしながら木馬で駆け去って行ったんだぜ。憧憬って思うしかないら?ボクは手を振った「バイバイ・ジョー・シーユー」って。だって、いつか会えるし。
すぐさま別の大事なロック仲間に速達を投函。「へぃっ!プリーズ・ミスター・ポストマンさん。この大事な知らせをあいつ等に届けておくれ。大至急だぜっ!」ってなもんさ。『ジョー・ストラマー死んだみたい・・・』。ってメールをしたんだ。
西暦2002年12月22日か23日。とにかく深夜の出来事だったんだ。
『他人と同んなじはイヤだ』と言っている人間に限って・・・。実は他人と同んなじだったりする。違う仮面を着けて踊ってる。それだけ。仮面舞踏会で踊ってる。同んなじ踊りを踊ってる。ステップの向きが違うだけ。歩幅が違うだけ。三面鏡をくっ付けて。三角ん中で踊ってみようよ。気持ち次第で万華鏡。でも同んなじ踊りを踊ってる。奴も彼奴(キャツ)もあいつもこいつも。キミもボクも。踊ってる。もしかしたら、着けてる仮面のデザインも同んなじなのかもね。
新入社員歓迎会なんてなイベントで「今夜は無礼講で行こう」なんて言ってる上司に限って・・・。実は礼儀を重んじていたりする。酒で酔っぱらいながら重んじていたりする。んだ。自動車教習所の教官みたいに片手に帳面広げてさ。採点してる。ボク等はどぉしよう???うんこしようっ!【ゴメン。間違えました。パソコンのキーボードがクシャミをしたようです】。うん。こぉ〜しよう!
「奴がトイレ行ってる間に鉛筆を折ってやれっ!奴のペンソーを」「えぇっ?シャーペンだったらどぉすんっすか?」「バカヤロっ!なんでもかんでも訊いてくるなっ!簡単じゃねぇ〜かっ!」「シャーペン折るんすね?」「バッカだなぁ〜。痛いだろ?それじゃぁおめぇ〜の指が。抜くんだよ。シャーシンを」「カメラのフィルムを抜くんすね?写真を撮れない様に・・・」「そぉそぉそぉ彼奴のキャメラのフイルムをすぅ〜ってね、抜きましてね・・・こらぁ〜なぁにぬかしてんねん!われは!シャープの芯だよっ!シャープペンシルに使う芯径0.5ミリメートルの変え芯の事だよ。シャーシンってのは」「はぁ」「芯が無いシャーペンを『あれぇ〜っ?さっきまであったのになぁ〜』ってカチャカチャやってる奴を見ながら笑ってやるんだよ。それに帳面があっても、そこに筆記する物がなきゃぁ意味が無い。でしょ?」「なるほど・・・」
豊富なバックボーンを感じる知識、例えば音楽知識、みたいなものがあったとしても、自分で演らなきゃぁダメさ。そぉ思ってんだ。俺は。『語るより演れっ!』って事かな。昔話に花を咲かす前に、とりあえずでもいいから『次に咲かしたい花の彩り(イロドリ)だけでも教えてくれっ!』って事かな。たった独りでコッソリ描いてもいいはず。いつかそれを発表したくなるから。イメージだけで、まだ見ぬ世界を想像していた時代があるはず。誰でも。想像だけでマスターベイションしてた時代さ。あの時代の爆発力ってスゴかったんだから。あの年頃の瞬発力ってスゴかったんだから。誰でもね。
自己満足から全ては始まるんです。そっから道が二つに分かれるんだけどね。分岐点が登場。選んでいこうっ!
職安(職業安定所。現在で言うならハローワークね)へと繋がる通りをみんなが歩いてるんだ。「入ろうか?通過しようか?」って。迷路だね。やっぱり。直線なのに。職安通りは。
浩利自身は無自覚であったが、彼は職場やバンド関連の仲間の中では、よく 「インパクトがある」「独特の雰囲気」「ちょっと他人と違う」と言われていた。浜松の目抜き通りにある百貨店(今は潰れてしまっているんだけど)の真ん前にあるバス停で来たるべきバスを待っている最中にも「あのぉ〜この前のライブ、観ました。めっちゃくちゃカッコよかったです。握手してください」なんて全然知らない高校生から話しかけられた事もあった。そんな男なんだ。浩利は。要するに目立つんである。浩利は。要するに顔が覚えられやすいんである。浩利は。程なくして浩利は自分が他人に与えるインパクトというものを意識し始めた。自意識が芽生えた時点で、彼のソウル・トレインは終着駅に向かって走り始めたんだ。自意識が芽生えた時点で、キミのソウル・トレインは終着駅に向かって走り始めるんだ。白無垢の衣装なんて、すぐに汚れてしまうもの。なんだ。汚れたものを洗浄するなら、汚れたまんまで着続けたい。新しい白色カラーな出来事が上から塗りつぶしてくれるかもしれないんだよ。それで忌まわしい過去はチャラか?残念ながら全ては記憶されてるんだよ。残念だね。人間の脳みそなんてものこそが、まったくもって忌まわしい。多分、重要なのは思い出に浸るか?って事より、新たに進むか?って事でね。行き先不明でも、とりあえず行っちまえっ!って事さ。見切り発車の列車なんだから。切符なんて要らないんだぜ!いつかどこかでその列車の車掌さんに出会ったら「ありがとう!」ってお礼だけはしようっ!礼儀は大切。ボク等の生命線は“酸素”と“二酸化炭素”と“礼儀”でできてるんだ。そぉ思ってる。それができればミラミッドの三角体と同んなじっくらいな歴史を司る(ツカサドル)事が可能なはず。お墓ができて、いつまで経っても、いろんな人が、お花を供えてくれるんだ。生前のキミに全然無関係なのに、そんな出来事に興味を持った誰かが、新しいお花を供えてくれるかもしれない。
“酸素”と“二酸化炭素”と“礼儀”。20数年前の楽曲を今も演り続けていて「ロックンロー」なんて言ってるバンドなんて二酸化炭素なんだよ、ボクにとって。
今年もクリスマスがやって来た。ヤァヤァヤァ!西暦2003年の出来事だ。
浩利の車ん中で流れるザ・クラッシュ。「奴等はカッコつけてた。そのうちのひとりは心を撃つようなレス・ポール弾いてたんだぜ」 ジョー・ストラマーが唄う ”すべての若きパンクスども ”を聴きながら。「はい、プレゼント。メリークリスマス!エッちゃん」「なにっ!これっ!」「えっ?わからんけ?ヒマワリだよ」「自分で描いたの?ヒマワリ」「うん。【冬咲き向日葵】ってのが店で売ってたから、それ買って、それ見ながら自分で描いた。リキテックスのアクリル絵の具だよ。絵なら枯れないもんね」「・・・・」「どうした?」「あたし、3年前をプレゼントしてほしかった。3年前の浩利だったら、生きたヒマワリをくれたはず・・・」。
浩利がグラスに落したインクは綺麗だったのか。グラスん中でインクが自由自在に広がっていくあの景色。
もしかしてそれは、吹きすさぶ突風ん中での二人きりの【風の中の誓い】に似てるのかもしれない。風向きはいつでも変わるしね。だったら誓いもいつでも変わるはず。
【答えは風の中】かは解からんけども。
結論なんて二人だけのもの。
★★★★★★・・・おわり
1986年発売、YAMAZEN&DYNAMITEのアルバム《DANGER》。B面4曲目に【風の中の誓い】収録。
今週、土曜日:7月28日にYAMAZENこと山善こと山部善次郎がギター片手に浜松にやってくるんだ。彼の盟友:石井啓介もキーボード片手にやってくる。そんな彼等の浜松初GIG。気になる前座はTHE SLICKS。ロック・バー・ルクレチアにて。開場は19:00。開演は19:30。予約¥2000;当日¥2500(1d¥500別)。よろしくね〜。

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