短い春休みも終わり、進級だ。新学年だ。あなたは晴れて昇格したんだ。
「あいつと、また同んなじクラスになれるのかな?」とかね「あの娘と今度は一緒のクラスになれるのかな?」とかね。期待に胸を躍らす4月初旬なのだ。
「自己紹介をしましょう」なんてね、担任の先生が言うんだ。自慢大会の始まりだ。『ぼくはレコードを何百枚持ってます』とかね『私は書道何段、そろばん何段、華道何段、柔道何段』とかね、そんな女子は居るはずない。そんな文武両道な奴が居るはず無い。いいや、居るかも知れぬ。偶数を割り切るように判断してはならぬ。相手は人間なんだ。
そこで登場、不良っぽい男子。『ハンパな事が大嫌い』簡潔明瞭。さすが不良。中途半端なんて発音しないんだ。ハンパって言うのさ。何事も白黒はっきりさせたいのだ。何事もパンダなのだ。パトロール・カーなのだ。オセロ・ゲームなのだ。餅入りおしるこなのだ。彼にとって。
そんな彼にも出来ない事があるんだ。割り切れないんだ。1を3で割っても答えは0.333〜。10を3で割っても答えは3.333〜。電卓使用でも同んなじ回答。晴れのち雨ときどき曇り。降水確率30パーセント。降るか降らぬか言語上の確率50パーセントでも。


ロックンロールで育った僕等は、偶数に慣れている。ツー・ビート、フォー・ビート、エイト・ビート、ジュウロク・ビートに。ビートたけしの歌声は甲本ヒロトの歌声と同一線上にある。
そんな僕等でも、知らぬ間に奇数に馴染んでる。三拍子に。ワルツの調べにのっておれは娘と舞った。
《左》1980年発売、THE CLASHのアルバム「SANDINISTA!」。B面2曲目に『叛乱ワルツ』収録。この時期のクラッシュが、パンクかどうかなんて俺には、どうでもいい事。でもこの『叛乱ワルツ』、俺ん中のクラッシュ・ソングス・5本の指に入るんだ。このLPのインナースリーブ(歌詞カード)、レコードだと、どカッコいいの。CDだと、どうなってんのかな。《真ん中》1992年発売、THE BLANKEY JET CITYのシングル『悪いひとたち』。この盤は、いわゆる初回自主盤。発売、んで即購入。ハァっじめて聴いた時「うわぁ〜うわぁ〜うわぁ〜」って唸(うな)ったんだ。《右》1967年発売、JIMI HENDRIX EXPERIENCEのアルバム「ARE YOU EXPERIENCED」。A面2曲目に『MANIC DEPRESSION』収録。この曲、ジミヘン作った時「3拍子で作るぜっ!」って意識してたのかなぁ。偶然かなぁ。いつか出会ったら訊いてみたいなぁ。英語、勉強しておこう、そん時のために。三拍子はスリー・ビート、これは確実だな、多分。

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