あの頃っから15年以上経ったのかな。それは21世紀が始まったばっかりの頃。
当時の世の中、パーソナル・コンピューターなんてものが氾濫し始めててね。普通にね。何でも略して言うんだ。話すんだ。現代人は。パーソナル・コンピューターはパソコン。更に略そうぜっ!つってPC。原子力発電所はゲンパツ。君が住む街にはゲンパツ在るかい?俺が住む街の東方面約30キロメートルぐらいんとこにはあるぜ、ゲンパツ。ハマオカ・ゲンパツ。うらやましいだろ。
最新型ってのはダマしダマされ、いっつの間にか、当ったり前の物になってるんだ。受け入れるしかないのだ。恐いね。恐いと思う。情報操作の中の操られ人形かな?夢見るラグドールかな?君も俺も。レコード盤からブラウン管から紙面から情報誌からガイド・ブックからインターネットからチョイスするだけだね。君も俺も。情報時代の野蛮人なんだよ。ルール破ってもマナーは守れって事かな。礼儀も大切だな。受信メールにはレスしようよっ!みんな、答えを待ってるんだ。
ジ・アフターグロウズのライブの日になったよ。
情報時代の最新兵器・ホームページなんて偉そうなもん、持ってない、彼等は。そんでもスゴイ集客力なんだ。クチコミっつーのかな。クチ・コミュニケーションかい?クチ・コミュ二ティーかい?また略してるぜ。
ジ・アフターグロウズのライブが始まりそうだよ。押し寄せる客、客、客。すごいね。ライダースに三つ釦スーツにダボシャツ。パンクへヤーにマッシュルームカットにチリチリパーマ。エンジニアブーツにデザートブーツにスニーカー。ロック・ファッション・カタログ・ガイドブックの巻頭カラーペイジを飾るモデル達が集まったかのような風景だら?想像付くら?コピー風景だら?情報時代の野蛮人。ビートルズが現代のバンドだったとして、サージェント・ペッパーを造ったとしたら間違いなくそのジャケットの一部に刷り込まれるであろうそのいでたちだったんだよ。
ジ・アフターグロウズの登場。WOWっ!4人のいでたち、見事なまでにバッラバラ。意図的なものでは無さそうだなぁ。自意識なんてね、歩き方、見りゃぁ解かるんだよ。偉そうな世界に住んでる奴は、やっぱ偉そうな歩き方すんだよ。
ファッショナブルではないがファッショナブル。スタイリッシュではないがスタイリッシュ。それは彼等、ジ・アフターグロウズ。4人の演奏がそれを証明していたのかなぁ。
ものまね王座決定戦に勝ち残った強者達を観察してみようよ。研究に研究、分析に分析を重ね、対象物(ものまねする有名人の事ね)の特徴を更に強調・変形・デフォルメ・アレンジした結果だら。有名人本人よりも似てる気がする。そんな気がする、ねっ!錯覚だと解かっていても。濃く、濃く、濃く。真似て学ぶんだ。
ライブ終了後、打上げでヒロが言ったよ。ドクター・ペッパーを飲みながら。タイバンした自称モッズバンドのリーダーに。「最新型を追うのがモダンだって?その時点で乗り遅れてるぜ。時計の針より速く動く事なんて出来やしないのさ」。
ジ・アフターグロウズはモッズなのか?アンタはモッズかい?そんな事ぁどうでもいいんだ。他人の視線が気になるんなら、その他人とやらをビックリさせてやれ、アンタの踊りで。向こうもアンタの事が気になって仕方が無いんだ。他人の視線を気にし出したら、それはショー・ビジネスって事さ。もう、ショウが始まってんだよ。
踊ろうよ!カッコつけようよ!
演り続ける必要は無いね。辞めたくなったら、とっとと辞めな、ジャマだから。
君も俺も。
おわり。


《左》1979年発表、シーナ&ザ・ロケッツのアルバム#1。1曲目に『夢みるラグドール』収録。《真ん中》1992年発表、真島昌利のアルバムRAW LIFE。8曲目に『情報時代の野蛮人』収録。《右》1967年発表、ザ・ビートルズのアルバムSGT.PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND。

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