春だ。春なのに寒かった本日、4月18日。
事務所での電算処理作業を終え、自分は現場へと向かう。
工場の端っこにある“物流倉庫”が自分にとっての現場なのだ。
北風がモロに当たる倉庫前にてパレットを並べる。
完成品をその上に置く。寒い日だ。
倉庫の北側は駐車場。トラックがひっきりなしに出入りしている。
フォークリフトが低速で行き交う。駐車場の向こうは道路。
市道である。幅10メートル弱。車線は無い。
北風に煽(あお)られながら作業をする。寒い日だ。
トラックの運転手と下ネタで笑う。エロスのカオス。
こんな話をする。でっち上げの話。ホラ吹きイナズマ。
「おいっ!お前、欲望のジャングルへ俺の溜まった荷物を届けてくれよ。
できれば着払いで。新緑の木の葉が代金代わりさ。きっと。
ジャングルの門番は若い女だぜ。名はステファニーってんだ。
ステフがなぁ、木の葉で前を隠しながら、お前に挨拶するはず。
いいだろ?その木の葉をペラってメクって手渡しさ。いいだろ?」
そんな話をする。だって寒い日だ。なんでも許される。
自分の作業に戻る。ちらりと市道を見る。動物が居る。
ツートーンカラーの二足歩行。歩いてる。ヨチヨチと。
ペンギンだ。ペンギンが居る。それも5匹もだ。
信じられないが本当だ。5匹のペンギンが歩いている。
当然だ。だって今日は寒い日だ。
自分は作業中にも関わらず作業着のポケットから取り出す。
チューインガムを取り出す。
クールミント・ガム。
“キリッと爽快! 南極のさわやかさ”
そいつのキャッチ・コピーさ。
んでも、南極だったらさわやかさを感じる前に寒いと思うなぁ。
お前もそう思うだろ?だろ?
道路を渡り、ペンギン達に話しかける。「キミ等もそう思うら?」
前から2匹目のペンギンだけが左手を上げて答えてくれた。
そんな寒い一日だった。
まさにロングセラー。クールミントガムとグリーンガム。
ふたりはライバル。
それはビートルズとストーンズか?
スモール・フェイセズとフーか?
ピストルズとクラッシュか?
聖子と明菜か?
大鵬と柏戸か?
巨人と阪神か?
カローラとサニーか?
どっちがどっちだ?
どっちも永遠だ。


《左》1984年発売、THE ROKKETSのアルバム“ROKKET SIZE”。A面2曲目に『I'M FLASH(ホラ吹きイナズマ)』収録。《真ん中》1987年発売、THE BLUE HEARTSのアルバム“YOUNG AND PRETTY”。B面1曲目に『チューインガムをかみながら』収録。《右》1974年発売、1910 FRUITGUM COMPANYのベスト盤“BEST HITS”。

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