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2009/3/29

3月の提言:不況期に強い企業とは  ビジネス

業績の下方修正のニュースが続く中で、今年度経常利益が最高益となる企業も存在する。今回はこうした企業の顔ぶれをみながら、不況期に強い企業像を探ってみたい。

まず、日経新聞によると、経常利益が前期に比べて二ケタ増でかつ最高益となる企業(経常利益50億円以上)が54社に達するという。そして、こうした企業の顔ぶれをみると、低価格・節約志向、独自性・新市場開拓、環境・エネルギー関連、この3つに分類される(注1)。

低価格・節約志向に関してはカジュアルウエアのユニクロを展開するファストリテイリング、内食志向に乗るファミリーマート、シューズチェーンのABCマート、居酒屋チェーンのワタミ、ファストフードのマクドナルド、家具・インテリアのニトリなどである。なお、ニトリは09年2月期で22年連続の増収増益を達成した。

独自性や新市場開拓は、東京ディズニーリゾートのオリエンタルランド、無店舗銀行のセブン銀行、家庭用ゲームソフトのカプコン、携帯サイト運営のディ・エヌ・エーおよびグリー、後発(あるいはジェネリック)医薬品の日医工、東和薬品などである。

環境投資やエネルギー関連では、原子力発電所のプラント部材で世界シェア8割を占める日本製鋼所、廃棄物処理大手のダイセキ、電気自動車の充電用電池のGSユアサコーポレーションなど。

次に、新光総合研究所の調査結果によると、09年3月期決算企業のうち71社が過去最高益を達成した。調査は東証1部上場企業の3月期決算企業のうち過去5期以上の財務データが入手可能で、かつ時価総額が500億円以上の企業796社(金融を除く)を対象にした。つまり、約9%が過去最高益を達成したことになる(注2)。

71社の内訳をみると、輸出に依存しない内需関連企業、すなわち超ドメスティック企業で、独自性、高シェア、低価格などの特徴を持つ企業が多い(増益率上位20位までは下表を参照)。具体的には、インターネット価格比較サービスのカカクコム、うどんチェーン「丸亀製麺」を展開するトリドール、外食関連ネット情報サービスのぐるなび、オリエンタルランド、小売業ではメガネトップ、居酒屋チェーンのワタミ、カプコン(以上増益率20位内)、その他家電量販店のケーズHD、ユニ・チャームペットケア、ディ・エヌ・エーなど。

クリックすると元のサイズで表示します
(新光総合研究所調べ.経常利益の単位は億円,億円以下は切り捨て.2月9日現在.)

ところで、ストックボードという株式投資家向けの情報サイトの中に「3期連続経常利益10%増」企業115社ののランキングがある。上記の2つのデータとは異なり、経常利益額や時価総額の条件がないため、やや顔ぶれが異なる。しかしながら、上の2つの両方か一方にリスト入りしている企業もある。こうした企業を経常利益(括弧内の数字、単位は百万円)の多い順に列挙すると次の通り(注3)。

日本製鋼所(35,000)、ニトリ(29,500)、マクドナルド(22,000)、ケーズHD(19,000)、カプコン(14,800)、ディー・エス・エー(14,600)、ダイセキ(9,200)、日医工(6,800)、ワタミ(6,310)、ユニ・チャームペットケア(5,300)、カカクコム(3,360)、トリドール(2,200)

これまで3つの情報源に基づき、最高益達成企業あるいは連続二ケタ増益企業をみてきた。トヨタをはじめ輸出あるいは海外売上で増益基調にあった企業は、今回の世界同時不況で打撃を受けている。しかしながら、上述した通り内需型企業で差別化が明確な企業は最高益を達成している。低価格・節約志向にあった商品・サービスを提供したり、他社の追随をゆるさない独自性をもつ企業である。また、日本製鋼所、ダイセキのように外需、内需を問わず、環境・エネルギー関連市場の流れに乗った企業は強い。

以上から不況に強い企業から学ぶべき点は次の3点である。

1. 低価格戦略で新機軸を打ち出す
2. 独自な財・サービスを創造
3. 環境・エネルギーなど世界共通の課題に向けた対応

この中の二つは、ポーター教授の有名な競争の基本戦略である「コスト・リーダーシップ」と「差別化」に該当する。つまり、景気の波を超えて増益を達成できるような企業は、競争戦略の基本に忠実だということになる。

不況期こそ次の好況期に飛躍するチャンスである。世界市場の景気回復に向けたプランも大事だが、ここは基本に戻り競争戦略を見直してほしい。自社で低価格戦略をとるとすればどのようにすべきか、あるいは自社の独自性を発揮できる分野はどこか、などを再考し新たなる競争戦略を構築すべきである。

次の好況期に果実を得るとともに不況に強い会社へと変身することを期待したい。


注1:
2009年2月13日付け日経新聞朝刊(3頁)の記事「2ケタ増で最高益54社」による.54社は下記の通り(同日付15頁).

丸紅、東燃ゼネ、キリンHD、ファストリテイリング、田辺三菱、協和キリン、楽天、イオンモール、ファミリーマート、OLC、日製鉄、ニトリ、日本電工、セブン銀行、ホシデン、マクドナルド、ABCマート、ケーズHD、ビックカメラ、三井鉱山、ポイント、中央電、カプコン、ディーエヌエ、ゼビオ、スカパーJ、ツルハHD、GSユアサ、PGGIH、ティーガイア、イオンディラ、ダイセキ、エフピコ、カーボン、東北新社、黒田電気、蝶理、近畿車、日医工、グリー、昭和産、ダイハツデ、ワタミ、佐世保、東和薬品、矢作建、ユニ・チャームペットケア、岡部、Bブライダル、川崎近海、大崎電気、プロト、三井松島、UT

注2:
『Fuji Sankei Business i』に公開された09年3月10日付け記事「独自性・低価格で最高益 カカクコムなど71社 09年3月期」による(下記URLを参照).

http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200902100016a.nwc

注3:
ストックボードに関しては畏友,田中正行氏からご教示いただいた.ここに謝意を表したい.なお,興味のある方は下記URLを参照のこと.

http://www.stockboard.jp/more_scr/
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2009/3/27

現役社長の訃報に思う。  日記

新聞をよく読まれる方はご承知かもしれませんが、東証一部上場の某企業の社長が3月24日の夜に亡くなりました。秘書室担当の役員の方を通じてお目にかかる日程調整を進めていたところでしたので、本当に驚きました。

亡くなられた社長(以下T氏)はまだ65歳で社長就任後4年を過ぎ、4月からグローバル企業として更なる飛躍を狙った新しい中期計画がスタートするところでした。asktakaは経営環境が厳しい中で、どのようなかじ取りをされるのかと期待していたのですが、本人もさぞ無念だったことと思います。

10数年前にasktakaがこの会社の中期計画策定のお手伝いをした際、T氏はプロジェクトの中心メンバーの一人でした。冷静でバランスのとれた発言はとても信頼できて、議論が煮詰まった頃や意見が分かれた時など、T氏に発言を求めたものでした。当時は主力事業の部長でしたが、周囲の人たちは将来の社長候補として認めていたのだと思います。訃報を聞いてから当時のやり取りを思い浮かべていたのですが、何ともやりきれない思いで一杯です。

T氏が亡くなられた翌日に取締役会が開催され、後継社長が決まりました。このへんはリスクマネジメントの一環として、手順は決まっていたのでしょうが、後継者は予め決められていたのでしょうか。もっとも明文化されていなくても、どの会社でも次は誰かは暗黙のうちに分かっているケースが多いですね。ただ、事業部門が多かったり、合併会社だったりすると複数の候補がいてもめることにもなります。

この会社は現職社長の突然の死にうまく対応し世界同時不況下の波を乗り越えていくことでしょう。皆さんの会社では、このような場合のリスクマネジメントは万全ですか。もしトップがとても元気であっても、年齢とは関係なく順不同にお迎えが来ることは、この事例でも明らかです。不測の事態への準備は怠りなく!

最後になりましたが、心よりお悔やみ申し上げるとともにご冥福をお祈りします。合掌。
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2009/3/25

ホテルパシフィック東京の営業休止  日記

今日の京浜急行の取締役会において、ホテルパシフィック東京の来年9月末での営業休止が決定されたそうです。友人からのメールで知ったのですが、asktakaにとってとてもショックです。今日は飲む予定ではなかったのですが、ついホテルのバーに寄ってしまいました。

JR品川駅前高輪側に位置するホテルパシフィック東京は1971(S46)年7月27日にオープンしました。asktakaは開業時から2階のバー、エルベンセドール、最上階のライブをやっているブルーパシフィック、そして4階にあったメーンバー(現在は中華料理・楼蘭の個室になっています)を贔屓にしていました。食事は中華では楼蘭(高輪界隈では、一昨年に閉店した白金の聚寳園(しゅうほうえん)と並び美味しい中華です)、和食は加賀料理の大志満、ロビーフロアにあるティーサロンなど、自宅のリビングやダイニングの延長のような心が和める空間です。このホテルがなくなったら、私はどこへ行けばいいのか、悩ましいですね。

昔はメーンバーは昼前からやっていて、休日などお昼に軽くシャンパンやカクテルを飲んだものでした。まだ羽田に国際便が発着していた頃、このホテルはフランスのメリディアン・ブランドを使っていたのでエール・フランスのクルーが泊まっていました。それゆえ、お昼頃チェックインしたクルーたちがよく昼間から飲んでいて、何とも心地よいフランス語の響きを耳にしたものでした。

何年か前にメーンバーは閉めたので、最近は昼間は最上階のカウンターでキープしてあるボトルなどを軽くやっています。まぁ、アトレ品川にあるモンドバーも昼前からやっているので、こちらにも顔を出しますけどね。

加賀料理の大志満は懐石料理やしゃぶしゃぶ・すき焼き、その他鍋料理などの他、寿司カウンターと天ぷらカウンターがあります。asktakaが最も愛用しているのは寿司カウンターです。だが、テーブル席でしゃぶしゃぶを食べて、寿司や天ぷらを追加オーダーすることができるのもこの店のメリットですね。母と高輪界隈で食事をする時は大体このパターンです。

ホテルのスタッフが営業休止を伝えられたのは夕方だったそうで、ヤフーなどで一足早くニュースは流れたようですが、寝耳に水の話だったようです。何箇所かで顔なじみのスタッフと話をしましたが、皆さん動揺を隠せませんでした。いくら雇用はグループ会社で吸収するといっても、業態が同様なお台場のホテルでの雇用は期待できないですから、職種の転換を含めて大変でしょうね。

約40年弱、生活の一部のような存在のホテルでしたから、営業休止の話は本当に吃驚して、ショックでもありました。確かに資産の有効活用の観点からは、オフィスビルの方が効率はいいのでしょうが、個人的には何だか納得できません。私がアドバイスする立場であれば、ホテルよりも○○○の方がより多くのキャッシュフローを生み資産効率はよい、とかいうかもしれませんが。

上に2本、2階のバーに5,6本それぞれボトルをキープしていますが、名残を惜しみながらぼちぼち飲むしかないですね。それにしても残念!
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2009/3/24

侍ジャパン連覇  日記

侍ジャパンが韓国を5対3で破り、二連覇を達成しました。最後はイチローの決勝打で勝利したのですから、日本のフアンのみならず米国のフアンも楽しめたと思います。

昨日の米国戦に勝利してから、侍ジャパンは上げ潮ムードだったと思います。もし私が選手として加わっていても、のっていたと思いますね(笑)。それにしてもこのシリーズで韓国と5回も対戦するのは、どうもおかしな感じですね。結局、侍ジャパンは3勝2敗で勝ち越しましたが、それだけ好敵手ということでしょうけどね。

世界の野球界の中でアジアの日韓がまさに頂点にいる形です。米国の地盤沈下を感じますが、この点に関して、時々本ブログにコメントをくださるHelioさんのブログ(文末のURLを参照)でのコメントの中でsharadeさんは「MLBの中でのアメリカ人の地位は相撲における日本人の地位同様かなり低下していることに加え、今年は怪我人が多く、ベストメンバーを揃えられなかったという不運もありましたね」と述べています。

「相撲における日本人の地位」という比喩は相撲が好きなasktakaにとって、とても実感できます。本家、国技といっても時代とともに変わりますからね。シーズンオフに実施するのでいたしかたないでしょうが、米国がベストに近い状態で参加できるともっと面白いと思いますね。

侍ジャパンの試合を観ていて、メジャーで活躍している選手以外はほとんど知らないことに気付きました。CATVでメジャーの試合は観戦しますが、六大学野球の早慶戦以外はあまり日本の野球は観なくなりましたからね。さすがに投手のダルビッシュや岩隈は知っていましたが内川、青木などは知らなかったし、決勝で中継ぎで投げた杉内も始めて知りました。私にとってWBCを観戦して、日本の若手が良い選手に育っていることを知る契機になったのは大きな収穫でした。

何はともあれ、侍ジャパン連覇達成おめでとう!

注:
Helioさんのブログは下記をクリックすれば参照できます。引用したコメントは、3月23日付エントリー「侍ジャパン 米を破り決勝進出」の中にあります。

http://helio.jugem.jp/
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タグ: 侍ジャパン WBC

2009/3/15

不況の波が米美術館を襲う  時事

米国の主要都市には美術館や博物館がありますが、ほとんどが民間が運営している「私立」です。大概は何百億円単位の信託基金を積んでいてその運用収入(利子)で運営費の多くをまかなっています。だが寄付金がなければ全体の運営ができないのが現状です。

いつも米国の美術館を訪れるたびに寄付金の多さに驚きます。大体はエントランスを入って目立つ場所に、前年の寄付者および寄付金の一覧が掲示されていますが、上位は何十億円の寄付者が占めている美術館・博物館がほとんどです。さすがは日本とは違うな、と感嘆していました。それはそうですね。戦後、米国から派遣された財政学者のシャウプ博士によって、日本には財産家が誕生しないような税制にされたのですからね。パトロン(大金持ち)が存在しなければ文化は育たないのは歴史をみれば明らかです。

ところが、不況の影響で寄付金が減少し、かつ運用益も減り美術館等が運営の危機に瀕しているようです(3月14日付日経新聞朝刊、文化面)。さすがの米国も投資ファンドなどのビジネスモデルが崩壊し、株価も下落して、個人資産も大きく目減りして寄付する余裕がなくなったと見えますね。運用益の減少は織り込み済みのはずですけどね、

こうした環境下で、高給取りの学芸部長などの管理職や学芸員などが解雇されたり、所蔵品の売却の動きまで出てきたそうで、文化施設にもリストラの波が押し寄せています。ここ数年ハワイを除いて米国を訪れていないのですが、今度訪米する際に美術館を訪れると、以前鑑賞した絵画がごっそり無くなっていたとなると寂しいですね。

ところで、1990年代の初頭にも「未曽有の不況」により寄付金が激減し美術館をはじめ文化施設が経営難に陥り、閉館が相次ぎました。今回は90年代後半のITバブル以降、寄付金を信託基金に積み増しするなど不測の事態に備えていたようです。他方、シアトル美術館のようにビル化して高層部を銀行に貸して賃貸収入を得るところもあります。しかし、基金の運用益が激減し、また銀行が破たんしビルから退去するなど、せっかくの対策も効果を発揮していません。

結論として、asktakaには多額の基金がありながら経営難になる美術館を不思議に思います。例えば、500億円の基金を積んでいたといわれているカンザス州のネルソン・アトキンズ美術館は、学芸部長を解雇するなどで年間9,000万円削減したそうです。しかし、500億円の基金を運用すれば5%で回したとしても25億円になります。プライベートバンクに預けてミドルリスク・ミドルリターンのポジションをとれば10%ぐらいにはなりますから多くて50億円です。これだけの運営資金があって収入変動リスクを踏まえた、いわば損益分岐点比率を設定して経営できなかったものかと思うのです。

過去に学べないのは米国の美術館も同じだという現実に暗澹たる気持ちになるasktakaでした。
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タグ: 不況 米国 美術館

2009/3/10

洗脳支配  書籍・雑誌

最近、苫米地英人著『洗脳支配』(08年3月,ビジネス社)という本が話題になっています。この本のサブタイトルは「日本人に富を貢がせるマインドコントロールのすべて」です。著者の苫米地英人氏は、カーネギーメロン大学大学院で人工知能のPh.Dをとった人で、洗脳について造詣が深く、複数のオウム真理教信者の脱洗脳を手伝ったことで知られています。

この本は、簡単に要約すると、ヨーロッパの支配層がアメリカのFRBを通じて、アメリカの庶民のお金を巻き上げ、そしてアメリカを通じて日本の国民の富も貢がされる、というお話です。

各論はなかなか面白く、「サブプライムローン問題のカラクリ」とか、「ホリエモンが潰された本当の理由」など目次を見ただけでも興味がわきます。といっても、週刊誌の電車の中吊り広告のように中身がからっぽではないですから、ご安心を。

実は、この本は昨年の5月にベルギーのブルッセル在住のMさんが出張で一時帰国した際の会食中に教えていただいたものです。Mさんは熱心に中身を説明してくれたと思いますが、話を聞いた当時はどうもピンときませんでした。というか、あまりこの話を信じたくなかったのかもしれませんね。でも早速翌日『洗脳支配』を購入したものの、最近まで積読になっていました。

苫米地英人氏の論調に違和感を感じるとしたら、それは同氏が経済学のオーソドックスな知識がない(あるいは専門家ほど多くない)ことによると思います。しかし、その分他の知識が補っているわけで、こうした大きな話は経済学だけでは無理ですね。

いずれにせよ、「洗脳」なんて言葉にアレルギーがない方は一読を勧めます(かくいうasktakaも洗脳とか陰謀という言葉には当初抵抗がありました)。エピローグの前の章は、今後の金融経済の終焉と将来の資産運用のあり方を示唆しています。決して既存のエコノミストや金融機関の調査部やシンクタンクの研究員からは出てこない発言です。世の中の見方が変わるかもしれませんよ!

ただし、苫米地氏の主張は自己完結的ではありますが、ドグマの匂いがしないでもありません。熱狂的な苫米地信者もいるようですから、むしろ苫米地教といった方が適切かもしれません。苫米地氏のお話は面白くはありますが、この点にご注意を!
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2009/3/3

鳩山総務相の暴論  時事

郵政民営化に対する怨念なのか、「かんぽの宿」に続いてまたもや鳩山邦夫総務相の横やりが入った感があります。

鳩山総務相がJR東京駅前の旧中央郵便局を視察して、開発の見直しをほのめかしているそうです。今さら何を言うのか、というのがasktakaの率直な印象です。これは郵政民営化、あるいは日本郵政を悪者にして、国民の受けを狙おうとする魂胆が見え隠れしていると思います。

まず、事業認可権がない総務相が、何故今さら文化論をかざして介入するのかという点です。先週の予算委員会において総務相は次のように述べたそうです。つまり、「重要文化財の価値があるものをなくすのは、トキを焼き鳥にして食べるようなものだ」と。そして視察後は「米国流の利益追求主義で重要文化財の価値ある一部を壊したのは国の恥、国辱ものだ」とまで言ったそうです。しかし、それほど価値があるものであれば、なぜもっと早く重要文化財に指定しなかったのか。総務相一人が突然文化的価値を過大に認めているような気がします。なお、日本郵政は文化的価値に配慮して、再開発にあたって低層階の一部の外壁や内部を復元、保存する計画なので、念のため。

次に、日本郵政が旧中央郵便局の再開発に乗り出したのは、経営の効率化を図る一環です。東京駅前の一等地を高度利用して賃貸収入を得ようとするのは、むしろ当然の経営判断だと思います。

旧中央郵便局は、地下4階、地上38階建ての「JPタワー」(仮称)に建て替える計画で、三菱地所設計が建築家ヘルムート・ヤーン氏とともに設計を行い、競争入札によって大成建設が受注済です。総工費は876億円で、2011年度中に竣工予定だそうです。

すでに動き出している計画が遅れたり中止されれば、違約金支出、計画遅延の場合の諸々の追加費用、完成後の期待収益の削減など、日本郵政の経営に大きなダメージを与えます。この場合、もし赤字になった場合は、国民の税金が使われることになる可能性が大です。

日本郵政は持株会社で100%の株を財務大臣がもっています。民営といっても、株式会社になっただけで実態は国有企業です。そして、持株会社にぶら下がっている郵便事業株式会社、株式会社ゆうちょ銀行などの事業会社は、日本郵政の100%子会社となっており、通常の持株会社形態をとっています。従って、日本郵政が赤字の場合は、財務大臣が増資するなどの方法で国民のお金をつぎ込むことになりそうですね(社債を発行するなどの手もありますが)。

問題は、鳩山総務相がなぜ今、管轄外の文化論を持ち出し、事業認可権のない日本郵政に介入するのか。これはどう考えても、国民受けを狙ったスタンドプレーとしか思えません。総務相は、これくらいのことが分からない愚民ばかりだと思っているのでしょうか。

鳩山氏は某有名国立高校を出て東大法を卒業し、田中元総理の秘書を経て政界に進出した名門出の期待の星の一人でした。また、同じ団塊世代として、asktakaは密かに応援していたのですがね。現総理と同様に、言動がどうもいただけませんね。

鳩山氏の元秘書の上杉隆氏は、「鳩山邦夫という政治家は、三振かホームランしか打たないタイプの政治家」と雑誌で言っていたそうです。あのホリエモンこと堀江氏はこれにコメントして、「三振とファールフライの間違いじゃないのか。こんなのが万が一首相になったとしたら、とんでもないことだよ」と自分のブログで述べていますが、asktakaも同感したい気分です。

いずれにしても、いい加減に、見苦しい暴論、横やりは止めて、未来を担う人物たる器をみせてほしいと願うものです。たとえば、日本の将来像とか、世界同時不況克服のためのビジョンだとか、もっと大局的な提言を行ってメディアに話題を提供してほしいものです。えっ、「それは期待する方が無理」だって。そうはいわずに、団塊世代もまだ成長余力はあると信じてくださいな。「裏切られた時はどうする」ですって。うーん、信じる者は救われる、なんちゃって(苦笑)。

注:本稿は、2009年3月3日付け日経新聞の社説「中央郵便局の再開発 国辱」その他の新聞等の情報を参考にしました。
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2009/3/2

ラリー・キング・ライブを聴いて思うこと  日記

私の個人のHPは一時期、欧米のビジネススクール(以下BS)に在籍している方や、これから受験しようとする方々で賑わっていました。その一人、風間れいさんはグラフィック・デザイナーで、日米を行ったり来たりしてBS入学を目指していました。そして、見事サンダーバードという国際ビジネスに特化したBSに入学されました。れいさんは、バーチャルな関係のみならずリアルな世界でもお目にかかった方々の一人です。グルメのれいさんとは二回ほどお寿司屋さんで歓談しました。BS終了後すぐに結婚されてほとんど音信不通になりましたが、過去の「asktakaの独り言」を見ていると懐かしい「れいさん」の文章が出てきました。れいさんとは、共同執筆しようということになって何回か一緒に書いています。そこで、懐かしさのあまり、今回は転載シリーズ12回として「れいさんの独り言『ラリー・キング・ライブ』」をアップしました。

追伸:れいさん、もしこのブログをネット・サーフィンしていて見つけたら連絡してくださいね!

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先ほど(2000年の6月4日の日曜日です)風間れいさんから、今朝(米国時間3日夜)のラリー・キング・ライブを題材にしたエッセイがメールで届きました。asktakaも同感する部分が多いので、以下にそのままほぼ全文を掲載します。

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CNNは今年の6月で20周年を迎え、その特別企画としてアブドゥラ王とラリー・キング氏の一対一のインタビューの様子が放送されたました。アブドゥラ氏は現ヨルダンの国王として責務をこなしているわけですが、先代の国王が癌で崩御されるまで自分が国王になるとは全く分らず、ほんの2年前には家族でアメリカ大陸をレンタカーを借りて気侭に旅行したという経歴の持ち主です。青年時代はアメリカとイギリスで教育を受けたそうですが、自国でも「自由の国で教育を受けた国王」として見られているようです。混乱の中東情勢には深く触れなかったものの、彼の個人的な身近な話題は親しみ易く、また非常に分り易い英語でした。

そこで、もし日本の首相がラリー・キング・ライブに出たとして、国王のようにきちんと自分のいいたいことを話せるのか?と思ったのです。故小渕首相が生前発表した将来の日本の教育制度の指針 (確か『21世紀の日本の 構想』の中だったと思います)として、社会人になるまでに全員が実用英語を使いこなせるようにし、更に英語を第二公用語とすることを視野に……というのがあります。

英語というのは、自分の意見を述べるという意味ではあくまで「ツール」です。語彙や文法や言い回しなどの知識が豊富であればあるほど更に便利なものになるでしょう。でもツールが自分勝手に意見を作ってくれるわけではなく、このようなインタビューで自分の意見を述べるには、先ずアイデアがないと何も話せません。私が携わるデザイン界でも、マックと便利なグラフィック・ソフトが登場して以来、猫も杓子も「いかにもマックを使ってデザインしました」というものが大流行りしました。だけど意味無く乱用し過ぎて「だから一体何が表現したいの?」というデザインが急激に増えたのです。マックはただの道具であって、マックが素晴らしいアイデアを産んでくれるわけではなく、デザイナーがアイデアを持って初めて「いいデザイン」が生まれます。

さて日本の首相が英語というツールを使って自分の意見を述べられるか、という話題に話を戻しますが(一部の政治家を除いて)日本語でも何が本当に述べたいのかが不透明なのに、彼等は英語で何を述べるというのでしょう? よく日本の政治家が「アジアや欧米の政治家がとうとうと自分の言葉で国策をしゃべる」と言い、「言語能力の面で政治家が国際競争力を持たねば、国際関係をこなすことは難しい」とも言っていますが、何とか彼等がツールを学んだと して、一体日本の政治家がその英語を使って何を話せるのか思ったのです。だから上記の政治家達のつぶやきは「単に英語力不足に原因を擦り付けてるだけで、本当は話したいことが無いだけなんじゃないの?」と言いたいのです。ソニーの故盛田氏は60歳になってから英語の勉強を始め、今から10年程前に"60 Minutes"に登場されていましたが、通訳は殆ど通さず御自身の言葉でインタビューを堂々と受けておられましたっけ………

とても当たり前で基本的な考えですが、ヨルダン王のインタビューの様子を見ていて、「日本の政治家が海外プレスのインタビューショーに招待されるのは何時のことやら」と思った食後の一時でした(asktaka注:下記にも書きましたが、自民党の加藤紘一氏がラリー・キング・ライブに出演したことがあります)。

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asktakaも英語に関しては「今日の話題」などで何回か触れています。問題は話の中身で、必ずしもツールである英語のせいでないという点は、れいさんのご指摘に全く同感です。このへんはよく指摘される点でもあり、aasktakaも以前に同様な趣旨で述べたことがあります。だが、韓国や台湾などの非英語圏の東アジア諸国に比べて、TOEFLの成績を見ても見劣りする現状を見ると、やはり英語教育の問題を考えざるを得ませんね。

確かにビジネスの世界でも、韓国や台湾のビジネスパースンは英語が上手くなっています。もっともasktakaが接している人たちはエリートでしょうから、日本人も同じクラスだと結構いい勝負かもしれません。しかし、日本人が得意の平均値が低い点が問題だと思います。そのうちデジタル・デバイドならぬ英語デバイドが話題になると思いますね。

ところで、asktakaも週末の午前中にCNNのラリー・キング・ライブを見ることが多いのです。日本の政治家の名誉のために付け加えると、何年か前、自民党の加藤紘一氏がこの番組に出演し、堂々とラリーのインタビューに答えていました。あと宮沢さんも英語使いとして有名です。日本ではこうした方々が政治家として必ずしも評価されていない点が問題ですね。あまり、政策やインテリジェンスが評価されないという意味では、ビジネスの世界も同様な気がしますが・・・。

ちょうど今、日本は政治の季節です。政策とインテリジェンスのある人を選ぶことで、国民の皆さんのインテリジェンスが問われていると思います。 今回の総選挙の投票基準は“インテリジェンス”ということでいかがでしょうか。そうすると該当者無しの地域も多くなるかもしれませんね。

話題を戻して、れいさんの話の中にソニーの故盛田氏の60の手習いの話がありました。皆さんも想像されているように、盛田氏は戦後単身で渡米してソニー製品を売り込んだ企業戦士です。ブロークンな(失礼!)、しかし意図が明確に分かる英語で丁丁発止とやられていたと聞いています。60歳で英語の勉強をはじめたという意味は、実務で使うレベルを超えて更に磨きをかけるために正規の勉強をはじめたと考えるべきだと思います。こうした話を聞くと、なんだか元気が出ますね。asktakaもこれからもっと英語の勉強をしようと思っています。

(2000年6月4日付け「れいさんの独り言『ラリー・キング・ライブ』」から転載。初出は『戦略コンサルタントasktakaのHP』のコラム「asktakaの独り言」)
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2009/3/1

知識人とバランス感覚  日記

最近の政治家の発言を聞いていると、どうもバランス感覚に欠けるし、ブレた発言が多いのが気になります。以前は、宮沢元総理、中曽根元総理など、バランス感覚のある安心して聞いていられる政治家が存在していました。考えてみれば、こうした方々は知識人だったのですね。

このようなことを考えながら、ソファで食後の休憩をしていると、以前書いた記事を思い出しました。今回は転載シリーズ第11回として「知識人とバランス感覚」をアップしてみました。

>>>>>>>>>>>>>>>>
もう進歩的知識人とか文化人なんて言葉は死語になったかもしれません。そしてインテリという言葉にも懐かしい響きがあるのは、すでに死語になった証拠でしょうか?

私の学生時代は70年安保が盛んな頃で、左翼の学生が騒いでいました。私ははっきりいってノンポリでしたが、どうも当時のA新聞の論調が気に入りませんでした(今でもそうですが)。どうしてかというと、まだ学生の私から見てもどうもソ連(当時)に対して弱腰なのと、左翼にあらずんばインテリにあらず、といった雰囲気があったからです。このへんは、「世界」「中央公論」「朝日ジャーナル」なども同様でした。

当時から「文藝春秋」だけはしっかり右舵をとっていましたから、この4誌を読み比べると面白かったですね。現在はあまり鮮明な色は感じないのは完全に左の時代が終わったからでしょうね。もっともヨーロッパではいわゆる中道左派というのが幅を利かせていますが、これもバランス感覚のなせる技なんだと思います。

ところで、かって私は、進歩的知識人や文化人と呼ばれる人達が皆左寄り、つまり共産党系で、右よりの主張をするものはあたかも野蛮的非知識人のような文壇の雰囲気に抵抗がありました。ちょうどその時、確か小田実が面白い本を出して(恐らく「日本の知識人」だと思います)、目からうろこが落ちる思いをしました。

小田実がいうには、左でなければ進歩的文化人、知識人でないと思っている輩は、それだけ頭が硬く進歩がない。知識人といわれる人達のレベルの低下は、こうした偏ったスタンスに立つ頑迷さにある、とこんな調子でした。そして、真の知識人とは、人類や世界の行く末を考えあらゆる角度から真理を追求するバランス感覚がある人だ、と述べていたと記憶しています。但し、後段の部分は、そこまで小田実がいったかどうかは定かでなく、私の解釈が入っていることをお断りしておきます(学術論文ではないので、引用も忠実ではないですが悪しからず)。

私が何故にこんな古い話を持ち出したかというと、どうもこの頃世の中のバランス感覚が欠けていると思うからです。但し、足して二で割る式のやり方は、決してバランス感覚とはいいませんよ。母集団の違うものを平均しても無意味ですからね。

真のバランス感覚を身に付けるには、もちろん偏見や宗教とは独立したところにあり、歴史観と大局観が不可欠です。そのためには、歴史に学び、情報ソースの偏りを無くし、幅広い情報を集めて、それを加工し解釈することが肝要です。asktakaは、今こそバランス感覚をもった知識人が活躍して、世間の平衡感覚を取り戻してほしいと思うのです。あっ、知識人と言う言葉は死語でしたっけ?どうりで最近見かけないですね。さぁ、皆さんの出番ですよ!

(2000年2月23日付け「知識人とバランス感覚」から転載。初出は『戦略コンサルタントasktakaのHP』のコラム「asktakaの独り言」)
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