そのおじさんにはじめて出会ったのはもう5,6年・・・いや、もしかしたらもっと前になるかも知れない。
新宿の駅前で親しげに声をかけてきて財布の中いっぱいの札を見せびらかしたのだ。
近くに場外馬券売り場があったので、ただ儲けたのを自慢したいのだと思ってた。
そしてしばらく経って、今度は浅草でばったり出会った。
「よう!ナベちゃん!!俺だよ。電気屋だよ!」
人違いだと言ってもしばらくは「何言ってんだい」みたいな感じだった。
そう言えばその近くにも場外馬券売り場があったはずだ。
また大儲けでもしたのだろうか?
もし自分がナベちゃんに成り済ましていれば何かおごってもらえたのかも知れない
なんて考えたりもした。
そんな事も記憶の彼方に消え去りつつあった今朝、渋谷駅の雑踏の中でまた出会ってしまったのだ!!
やはりぼくは「ナベちゃん」でおじさんは「電気屋さん」だった。
動揺しつつも「何年も前からそう言われるけど・・・」と言葉を返すとさすがにおじさんも「あ!人違いか!」と今回は素直に立ち去った。
しかし、本当にそんなに似ている人がいるのならちょっと話を聞いて確かめてみたい気もしないでもない。
まあ、世の中には似ている人がいてもそう不思議ではないのだが、何年もの間に違う場所で何度も出くわすなんて偶然がそんなにあるものなのだろうか?
もしかしたら、何者かによってぼくは監視されておるのだろうか?
いったい、誰が・・・・? 何のために・・・・・?
そしてあのおじさんが度々、姿を現すのは何かの警告なのであろうか?
そんな妄想すら起こさせる本当にあった不思議な出来事である。
(BGM:Xファイルのテーマ)

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