去年のクリスマスには今は亡き浅草東宝でのオールナイトで
初めて観たこの映画、ついにDVDにもなりました!!
劇場公開から30年近く経っての初めての商品化です。
それまでこの映画と言えば劇中に登場する「ピンクの
モンスター」のスチールばかりがやたら印象に残ってて
正直、(あまり好ましい表現ではないけど)「トホホ」系かな?と
思っていたのですが、その心配は杞憂に終わりました。
「ピンクレディーを使ってどんな映画を作ろうか?」と言うことで
映画プロデューサー、脚本家、映画監督があれこれアイディアを出し合う
まさに実際の作品作りもそうであったであろうと思われる現実を極端に
カリカチュアライズした内容で、石立鉄男、秋野大作、田中邦衛と言う
居るだけでも胡散臭いお三方がこれまたアクの強い個性的な怪演技を炸裂
させています。
彼等が思い巡らせた妄想を劇中劇として映像化し、ピンクレディーを登場
させるわけです。
「下町の人情悲恋物語り」「SFピンクのモンちゃん」「西部劇」の
三本立てなんですが、それそれが完全に独立しているようでしていないと
言うか、例のお三方、他人の考えの気に喰わないところにチャチャ入れたり
します。
この劇中劇、最初に書いた「ピンクのモンスター」の造型だけでは判断
してはいけませんでした。
ひとつひとつは、かなりちゃんと作られています。
美術セットや衣装もしっかりしています。
ミーちゃんもケイちゃんのお芝居もなかなかのものです。
田中健、岡本富士太、春川ますみ、なべおさみ、小松政夫、三角八郎
丹古母鬼馬二などなど、何気に配役も豪華なような気がします。
(大林宣彦監督まで役者として登場してるし)
当時、絶頂期であった彼女達の人気に安易にのっかっただけの企画でも
別に構わないとは思うのですが、それだけでは終わらせないのは
制作者の意地か、それとも当時の映画界に余裕があったからなんでしょうか?
それぞれの劇中劇の完成度は高いのにも関わらず深い余韻や感傷に浸らせる事
無く、ピンクレディーがピンクレディー自身としても登場し、さらに実際の
ライブ映像なども織りまぜての構成はこの映画があくまでも「ピンクレディー」
そのものを観に来たお客さんの事を第一に考えると言うアイドル映画の王道を
忘れていない事の現れであり、実に喜ばしい事であります。
今やテレビにしろ映画にしろ(他各分野も)「誰のため?何のため?」に作って
いるのかがよくわからなくなってしまっているもののほうが多いような気がして
しょうがありません。
*DVDのコメンタリーが監督さんと何故か坂下千里子さんだったので
どうにも釈然としなかったのですが、聴いてみたら彼女はバラエティー
番組でモノまねをしたくらいしかピンクレディーとの接点は無く、
ただ監督とよく仕事をしていると言うことから呼ばれたのでしょう。
何とか話しについていこうとしてたので悪い娘じゃないとは思うけど、
やはり監督との話では自分の話になっちゃうのはなんだかなあと言う
感じでやはり釈然としないままでした。
これ買って聴いた人はほとんどがそう思っているはずです。
長々と書き連ねましたが本当に伝えたかったのはこの部分だけです!!(苦笑)

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