第18話「優しい脱獄囚」
見張りにカズヤを立たせて交番で書類を勝手に盗み見するポワトリンクラブ
(これ立派な犯罪だと思うけど)
カズヤの父(警官)が戻ってきてメンバーはお茶をすすってとぼけるがカズヤの父は彼らが「暇を持て余し事件を探しに来た」のを見抜いていた
「犯罪を甘くみるんじゃないっ!」
電話がかかってきて脱獄囚の三人中二人は逮捕、残りはこの街にいると言う
逃げたフリしてこっそり聞いてたポワトリンクラブ
メンバーにてきぱき指示を出すがタクト自身は「パパとナイターだから君たちやってよ」
ところがパパには仕事が入ってしまう
「アイドルの便秘の原因を調べ読者に発表する義務がある!それがジャーナリストと言うものだ」
真顔で狂った事を断言する斉木さんはホンモノだ(何の?)
狂ってるとも思うが案外現実もそんなもんだったりするような気もしないでもない
理由はどうあれ楽しみにしていたパパとのナイターの約束を破られたタクトは余りのショックにうっすら涙まで浮かべるのだった
「かわいそう」と同情するモモコにまでやつあたりするタクト
ママはモモコの味方だ
ママ「こんなお兄ちゃんやっつけちゃえ」
タクトに軽く蹴りを入れるモモコ
気が済んだからチョコレートパフェ食べに行くと言うふたりに更に逆上するタクト
「バッキャロー、チョコレートサンデーが何だってんだ!!」
(この際、「パフェ」なのか「サンデー」なのかはさほど問題ではない)
牛乳のヤケのみをしようとするタクト
「やめろ!牛乳のイッキのみは身体に毒だ」
絶妙のタイミングで現れた男は正直に自分が脱獄囚であることを明かした
タクトのテレビゲーム(ドラクラ)に興味を示す脱獄囚
刑務所にいる間に2段階もヴァージョンが新しくなってると言う描写がなかなかリアルでまた切なくもある
「おじさん、テレビゲーム好きなの?」
「犯罪者がテレビゲーム好きになっちゃあいけないのか」
ゲームにすっかりのめりこむ脱獄囚を見てタクトの表情も生き生きしてくる
そこへ帰ってくるユウコは脱獄囚を見て「ずいぶん老けた友だちね」と気にするがタクトに「姉ちゃん関係ないだろ」と追い出される
丁度訪ねてきた友だちのナオミに「牛丼食べに行こ」と誘われたユウコ「あたし玉(ぎょく)入り食べたいな」(そう聞こえたけどそうなんでしょね)
脱獄囚「俺がいると迷惑かけそうだからな」と出て行こうとする
タクト「まあ、かかんないと言えば嘘になるけど」
引き留めようとしたタクトが落としたナイターのチケットに目を輝かせる脱獄囚
脱獄囚「俺なんか江川の大ファン」
タクト「もう引退しちゃったよ」
脱獄囚「巨人戦のナイター見られるなんてつくづく刑務所脱走してよかったよ」
タクトはパパの背広を脱獄囚に着せる(帽子はそのままなのがポイント)
タクトの愚痴を聞いてた脱獄囚「俺が言うのもなんだけど親のことをあんなやつなんて言わないほうがいいんじゃないの」
パパの話になってまた涙を流すタクト
脱獄囚「なんかまずいこと聞いちゃったかな? 許してくれる方法ある?」
タクト「ある」
それはキャッチボールだった。
土手でキャッチボールをするふたりはすぐにカズヤの父親に見つかってしまう(当然だろ)
タクトは体を張って脱獄囚を逃がす
パパの編集部にも電話が入る
「真実なんかどうだっていいの!(〜中略〜)責任は全てお前がとれ!」
電話で部下?にハチャメチャな指示をしているパパもさすがに家に戻る
「犯罪者と遊ぶような教育をした覚えはない」とタクトをビンタするパパ
睨みつけるタクトに拳を振り上げるパパ
「なんだその目は!」
真っ当な怒りである、が、さっきの職場での発言を思うとその目にやや狂気も隠されているのではないかと言うのは深読みのし過ぎであろう
だがしかしタクトをかばってパパを責める家族たちの発言にバツの悪い表情を見せる辺りの演技も素晴らしい
止めに入るユウコ、ママ、モモコ
「今ドキ、パパぐらいよ、休みの日でも仕事しちゃうの!そういうの流行んないんじゃないの!そんなこと言ってるからアメリカやヨーロッパの国から日本人は働き過ぎだって言われるのよ!戦争になったらパパの責任だからね!!」
浦沢作品らしい飛躍した結論ではあるがいつものギャグって感じじゃなくってユウコの必死さからつい出ちゃったって感じがいい
モモコは背中側しか映ってないのだがパパを睨みつけてるんだろなって感じが伝わってくる
脱獄囚、のんきにタバコ吸いながらご近所うろついてるんだもの、すぐに見つかりカズヤの父、ポワトリンクラブ、村上ファミリーに追い詰められてしまう
タクトは脱獄囚をかばいパチンコをパパに向ける
パパ「おまえは私を撃てるのか?!」
即答するタクト「撃てる!!」
タクトのパチンコを奪いタクトを人質にする脱獄囚
脱獄囚「おれはおまえの思ってるような人間じゃねえ」
見つめあう脱獄囚とタクト、その表情に何かを感じたユウコ「あのひと・・・」
ポワトリンに変身するユウコ、デニム?地のスカートの風に揺れる質感がいい
「信じるものに裏切られた時、その悲しみがどんなに切ないことか今、学びましょう。そして裏切る者にも哀しみがあることもわかってあげましょう」
タクトを諭すポワトリンの言葉はパパの胸にも響いた
前回なんて大ナマズの妖怪すら退治しちゃったポワトリンには普通の人間である脱獄囚なんて敵ではなかった
観念して両手を差し出す脱獄囚
カズヤの父に連れられ去って行く脱獄囚、タクトの声に一瞬立ち止まりはするが振り向きもせず再び歩き始める(カメラも寄ったりしないでずっとロングのまま)
号泣するタクト(脱獄囚の帽子をかぶってるのがまた泣かせるんだよね)
それをそっと見つめるパパ
村上家の夕食はすき焼き、浮かれてはしゃぐモモコとママ
パパとタクトの関係との対比なのであろうママとモモコの仲良しぶりが微笑ましい
パパはひとり、屋台のおでん屋さんでお酒を飲みつつ何を想うのか
*男が刑務所に入った理由は描かれないし脱獄して「誰かに会いに行く」とかドラマチックな理由があるわけでもない
タクトの感情の起伏が最初は極端に感じられたり、パチンコで脅したりする(もちろん当たり所が悪ければ危険ではあるが)シリアスな場面だが見ようによっては滑稽にも見えると言うのを狙ったのかもとか思ってしまう自分はただのひねくれものなのであろう
不破万作さんの演技やタクトの眼差し、そしてもちろん演出や音楽など「本気で泣かせてやろう」ってのを感じるって言うか泣いた
浦沢脚本ってあまり細かい描写をせずに監督さんに任せることが多いみたいなの聞いたことあるけど今回のお話とかシンプルなだけにキャスティングや撮り方などで印象が大きく変わってくるだろうなって気がする(やっぱり不破さんのキャスティングが先に決まってたんだろうか?)
また、このシリーズって普段は馬鹿にしてたりするような親やきょうだいに対してもちゃんと愛情を感じさせるような描写がたまにあってドキッとさせる時があるよね(それも監督さんの裁量なのかな?)
パパとタクトを変に和解させずに終わらせるところもリアルでいいな
明日になったらしれっといつもの村上家に戻ってるような気がして

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