PS2で出てるシミュレーションRPGです(
公式サイト)。発売当初から中身が濃いゲームだと賛否両論の評判を聞いていたので中古で安く見つけた時は期待しつつ購入しプレーしたのですが、本当に完成度が高くて中毒性があります。冗談抜きで1000時間はプレーしました。百時間じゃなくて千時間です。何度目かのクリアにしてついにALL35(エンディング時に表示されるプレー内容が最高評価)を達成できたので、一段落と言う事で感想を書いてみます。
ベルウィックサーガにここまで熱中した理由は、ゲームシステムの根幹部分が気に入ったからだと思います。「ヘクス(六角形のマス目)マップ+同時ターン(混合ターン)制+マップ移動とイベントと戦闘のシームレスな連結」の組み合わせが最高なのです。戦略性とテンポの良さと臨場感の全てにおいてRPG系のじっくりのんびりやるゲームとしての1つの到達点を実現していると思います。
まずは六角マスについて。昔からあった軍事物や歴史物の戦争シミュレーションゲームは六角マスが主流でした。これに対して、SFCやPS等の家庭用ゲーム機で出るようになったキャラクター重視のSRPGでは、将棋盤のような四角マスのマップばかりを見るようになりました。つまり元々軍隊を動かすマップとしては六角マスが正解だったはずのシミュレーションゲームが、一般に普及するにつれて何故か逆に四角マスへと退化してしまっていたのが、ベルウィックサーガでは久しぶりに六角マスが復権したわけです。
四角マスの欠点は何より斜めへの移動です。斜め前は直進すればルート2で1.41歩分の距離しか離れていないはずなのに、多くのゲームでは縦+横の2歩使わないと移動できません。いかにも機械的な制約でイライラします。六角マスの良さは円形である事です。60°×6方向=360°とどの方角に向かって移動するにしても等距離で、斜め移動に余計なコストがかかりません。このお陰でマス目という区切りがある事にストレスを感じる事が無く、まるで好きな位置に自由移動しているかのような自然さをベルウィックサーガでは感じます。
続いて混合ターン制について。昔からシミュレーションゲームの戦闘は野球の試合のように先攻と後攻に分かれて全軍が一斉に行動するのが主流でした。でもこれもまたいかにも機械的な制約で凄く不自然だと思います。少なくとも実際の戦争を再現しているかのような臨場感は全く出ていません。そしてゲーム的にも、先に攻撃を仕掛ける側が圧倒的に有利(後手は自軍の順番が回ってくる前に多数のユニットが殺されてしまう可能性が高いから)で、この一方的なボコりボコられは理不尽で面白味がありません。
これに対して出てきたのが、私がやったことのあるゲームではファイナルファンタジータクティクスやファントムブレイブが採用している、素早いユニットから順番に行動するアクティブターン(ウェイトターン)制です。これは結構良い。集団が一方的に動くのを眺めるストレスからは解放されている。ただし欠点があり、素早さの高いキャラが一方的に有利で重量級のキャラはそもそも行動の順番が回ってこない。これは理不尽。それと、ターンという時間の絶対軸が存在しないために、戦闘開始からの経過時間が分からなくて意外とダラダラ感があります。
そこでベルウィックサーガの混合ターン制です。全員が1回ずつ行動する事で1ターン。これにより素早い盗賊にも重量級の装甲兵にも平等に行動の機会が与えられています。そして行動の順番ですが、1度に全軍を動かすのではなく、例えば自軍10ユニットvs敵軍20ユニットなら、自軍1:敵軍2の割合で均等に交互に順番が回ってきます。
私的にはこれは、自分と相手が交互に1手ずつ駒を動かす、将棋に近い感覚だと思いました。これはとても自然で、プレーしていてストレスがありません。ずっと昔からある将棋にコンピューターゲームがようやく追いついたってどういう事だ。ただし将棋は同じ駒を連続して動かせますが、このゲームは全ての駒を任意の順番で1回ずつ動かす事になります。最初はそこだけ戸惑いましたが、まあ問題ありません。
このゲームでは全体が1回ずつ動く1ターン=30分との目安を設けているので、そしてストーリーのメインマップは大体自軍10ユニットvs敵軍20ユニットくらいが同時に出ているので、1ユニットが動く=1分経過、くらいの感覚で眺める事が出来ます。敵と味方が均等な割合で交互に動く、それによって戦闘の局面が徐々に切り替わる、リアルタイムなゲームではないのにもの凄いライブ感があります。本当に細切れに時間が動いている感じで、このテンポの良さ、臨場感、緊張感にコンピューターゲームの1つの理想を感じるのです。
RPG系のゲームが好きで色々とプレーしてきた私としては、ドラゴンクエストやファイナルファンジーのような普通のRPGは「マップ移動とイベントと戦闘」がそれぞれバラバラなのが欠点の1つだと思っており、これらを切り替え無しで自然につなげるにはアクションアドベンチャーかシミュレーションRPGにするしか無い(この2つのジャンルは普通のRPGからの一種の進化系である)と思っているのですが、SRPG型の進化としての良い出来をこのベルウィックサーガには感じました。ゲーム部分に組み込まれたイベントが全く自然であるがために、歯応えのある戦略ゲームであるだけでなく、ストーリーやキャラクターにも感情移入できるようになっており、余計にこのゲームの世界に没入してしまいます。
全体的に難しいんですけど、だからこそやり甲斐がある。最初は敵の強さと数の多さに途方に暮れたりするんですけど、マップを細切れにしてよく見るとパズルのように少しずつ罠が仕掛けられている事が分かり、それを1手ずつ細かく解きほぐしていくのが正しい進め方である事が多い、結局は詰め将棋なのです。その答えを発見出来た時が快感で、答え合わせを悠々と進めていくのもまた快感なのです。
それにしても、難しさ自体は試行錯誤でプレーヤーの腕を上達させていけば良いだけなので問題ないのですが、「死んだら終わり」と言うゲームデザインには戸惑いました。元の開発者が同じだとか言うファイヤーエムブレムシリーズなどは全くプレーした事が無く、この手のゲームはこの作品が初めてだったので。
いや戸惑ったと言うか未だに納得はしていません。普通にプレーする分には1人でも死んだら即リセット。死人を放置するプレーを続けるなら行き詰まったら最初からやり直し。こんなバランス調整でいいなら確かにいくらでも難しく出来ると思います。ドラクエやFFみたいな一般向けRPGでバランス調整に苦労してる開発者の人から見ればうらやましいんじゃないでしょうか。
軍事物=戦車や飛行機が壊れても買い換えるだけ。歴史物=武将が死ぬのは悲しいけど所詮は戦力としての駒。こういった昔のシミュレーションゲームと同等なんですね。内容的には歴史物に近いって事なんでしょうか。でもそれよりはずっと各キャラに深いドラマがあるので、死なれて代替の効く駒なんていないんですけど。まあ普通にプレーする私としては死んだらリセットゲーです。もちろん事故死の起きない安全なプレーを目指すのは当然ですが。
そんな感じで、とにかく中身が濃くてハマると楽しいゲームでした。重度のゲーム好きにお勧めしたいと思います。

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