宍道湖や大橋川にかかる橋から見る夕陽は、どれもこれも今までに見たことがないくらいの美しさだった。これこそ、「美しい国・日本」の風景だと胸を張っていえるはずだ。
その理由は、おそらく、松江には高層の建築物があまり建っていなくて、空の高さというものを、思う存分感じられるからだろう。
さて、松江は、小泉八雲こと、ラフカディオ・ハーンがこよなく愛した、おもむきのある、ひなびた大変良い、神話の町だ。
松江に投宿していきなり、お独りさんで夕食を食べられるところを探すのに難儀した。夕食は旅の醍醐味でもある。でも、ブラブラとほのかに揺らめく町の灯へ誘われるように歩けば、お独り様大歓迎と看板が出てた日銀の旧支店を改造した施設の中にあるしゃれたレストランで、これまたしゃれた夕食を楽しむことができた。ちょっと高かったけど。
小泉八雲旧居近くで食べた出雲そばは、東京のそばより風味が濃厚でしっかりしてて、おつゆは甘めで、そば文化圏出身者としては嬉しい限りだった。
松江は、ちょうど花灯籠の最中で、夜のとばりがおりて、神戸よりはるかに早い夜がやってきてもなお、少ないあかりに向かってたくさんの人が来ていて、それに乗じたイベントも開催されていた。
その中で、夕食を食べた建物の別エリアで開催されていたお琴とギターのコラボライブが楽しかった。カシスオレンジを飲みながら聴いていた。
流れる川と宍道湖の眺めは、カラヤン指揮、ベルリン・フィルの手になるモルダウのメロディーを、僕の頭の中のジュークボックスからひっぱりだしてきた。iPodにそれを入れてなかったのを後悔した。松江の雰囲気は、きっと東欧のプラハやブダペスト、ワルシャワなんかにも通じるのだろう。まあ東欧なんて、行ったこともないし、行くこともないだろうけど。

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