オレたちが会社に入ったころ、上司や先輩からの頼まれごとに対して、「それは自分の仕事じゃありません」とか、「そんな仕事はできません」とかいう選択肢なんかは、まず、存在しなかった。いや、かろうじて存在したとして、口になんかは、裂けても出せることなんかじゃなかった。
まして、頼まれごとを当事者に差し戻すか、別の人に押しつけるなんてことはありえなかった。どんな面倒な仕事でも、受けたら、「情意・熱意・執念」をもって、「すぐやる、必ずやる、できるまでやる」のが当たり前だった。
ところが、今はそんなことがあっさりと通用してしまうのだ。まあ、こんなこと、若手人材難のおり、華やかさもへったくれもない中堅の電子機器メーカーゆえに、デモシカでしか人が来そうもないような、ウチの会社に限った話なんだろうけど。
ただ、彼らは自分の権利の確保にはやっきだ。義務を果たして初めて得られるのが権利だとかいうのは、彼らの頭にはない。そうした行動が組合の組織率を下げてる要因のくせに、何かあったらすぐ組合に助けてくれなんて泣きついてくるな。面倒はイヤだといったんだから最後までテメエで闘え。
まあ、高い適職意識のもと、好きな仕事だけして、残りは全部上膳据膳で面倒みてもらってるような連中が、中堅になったら、たぶんウチの会社は崩壊する。いや、すればいい。錆は鉄から生じて、最後は鉄そのものを滅ぼすんだ。

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