病院を去った医師の一部は、都市部を中心に「フリー」となり、出来高制で手術を請け負う動きが活発化している。
報酬の相場は朝から夕方までの勤務で1日十数万円。
難しい手術の場合は50万円を越すこともある。
フリーの医師たちが組織化される例もある。
代表が00年発足の「東京麻酔グループ」。
専属10人を含む25人の専門医が約70の病院と契約し、年間約7千件の全身麻酔を手がける。
公立病院の医師の平均年収は約1400万円だが、
メンバーは「集5日勤務、呼び出しなしの条件で年収3千万円を超す」
と明かす。
フリー化による報酬の高騰は、医師確保に追われる自治体を直撃する。
3月末で麻酔科医が全員退職した大阪府泉佐野市の市立病院は、後任探しに破格の3500万円を提示。
それより低い額で2人の勤務が決まったが、病院幹部は
「頭が痛い金額。
それでも手術ができなくなれば病院経営への影響は大きい」。
フリーの医師が増えて人件費がはね上がれば、医療財政の圧迫にもつながる。
一部の病院は当直免除や短時間勤務制を取り入れている。
麻酔科医は女性が3割を占め、出産を機に退職するケースが多いためだ。
大阪大は「ママ麻酔科医制度」として、子どもの体調や保育所の時間に合わせた勤務を認める。
看護師の協力を得ようとする動きもある。
米国では看護師が数年間の専門教育を受けたうえで「麻酔看護師」として簡単な麻酔を担っており、約3万人が登録している。
同学会理事長の並木昭義・札幌医大教授は
「短期の解決策としては看護師に周辺業務を担ってもらうのがベスト。
激務の勤務医を評価する報酬体系も検討すべきだ」
と話す。
(2008年5月13日 朝日新聞)

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