Q ヒマラヤの氷河はどれくらい縮小している?
A 1970年代以降から1990年代にかけて、水の厚さにして一年あたり50cm
前回の問答との違いは、「末端の位置」か、「氷河全体の厚さ」か、という点です。
末端の位置は比較的測りやすいですが、氷河の厚さ、それも全体となると測るのは大変です。
では、どうやって測るかというと、、、
代表的なのが「ステーク法」
まず、氷河に「ステーク」を設置します。といっても、竹とか、木とか、アルミとかでできた単なる棒です。なお、「ぼっこ」は北海道弁です。設置した時に表面から棒の上までの高さ(長さ)を測っておきます。0.5cm単位で測る人もいますが、1cmでだいたいOK。

で、ある期間をおいて、再度この表面からステークトップまでの高さを測ります。雪が降ってステークが埋まっていれば、短くなっているし、雪や氷が融けていればステークの長さは長くなっています。


これはキルギス・グレゴリア氷河の頂上に設置した自動気象計の様子。2006年と2007年の間に約1.2mの雪が積もったことがわかります。
こういうステークを氷河全体にばらまいて測ることで、氷河全体でどれだけの氷が増え、減ったかということがわかります。ある期間とは、まぁだいたい半年から1年といったとこでしょうか。

↑は中国の七一氷河に設置したステーク(●)。
このステーク法、測定は簡単ですが、ステークの維持はかなりたいへん。埋まってしまったり、融けすぎて倒れてしまうとそこまでのデータがパーになります。
余談ですが、ロシアのベルーハ氷河に2001年に設置した5本のステークのうち、2002年に訪れていたのはたった2本でした。ただ、前年に位置関係を測量していたので、それを参考にして宝探しをして行方不明の3本のウチ2本を見つけだすことに成功しました。1本目は、「この辺かなぁ〜〜」とスコップを雪面に入れた途端に「カツンッ」とステークに当たり、「俺って天才〜〜」と小躍りして喜びました。が、2本目は手強く、1時間ほど雪面を荒らしまくり、あきらめかけたところでようやく見つかりました。でも、普通は一度見失ったら無理ってもんです。
まぁ、そんなこんなで、氷河の質量の変化を測るのは、そんなに難しいことではありませんが、測り
続けるのはとてもたいへん。特に、日本人がネパールやブータンに毎年通って、、なんてのは現実的ではありません。
で、次善の策として採用しているのが、「測量法」。簡単にいえば、異なる時代の氷河の「地図」をつくり、その高さの差を比べるやりかたです。

これはブータン・ガンジュラ氷河での測量の様子。氷河上にプリズムミラーを持った人がいるんですが、わかりますかね?

例えば↑は、有名な東ネパールのAX010氷河の、1978年と1999年の地図。面積も小さくなっているのがわかります。また、高さ方向についても、誤差は大きいですが、地図を重ね合わせることで得ることができます。

こうやって求めたのが、こちらの図。たった3例ですが、0に比べりゃとても貴重なデータだと自負しています。たった3例でヒマラヤ全体を語るのはかなり無理がありますが、これらを平均すると答えに書いた1年当たり50cmという値が得られます。