元記事は
読売新聞をどうぞ。
こういうネタにはあまり反応したくないのですけど、事件をセンセーショナルにしたがるマスコミがやたら騒いでいるのが気になるのでカウンターバランスを取るために記しておこうと思います。
催眠かマインドコントロールか
この事件が催眠術だというのはちょっと的外れです。マスコミは何とかして「催眠のせいだ」と報道したがっていますが、どちらかといえばマインドコントロールに近いと思います。よく催眠とマインドコントロールは混同されるのですが、催眠状態にすればマインドコントロールができるわけではありません。逆に、催眠を使わなくともマインドコントロールすることは可能です。むしろそちらが一般的かもしれません。もっとも、現時点の情報を見る限り、マインドコントロールと言えるかどうかも怪しいところですが。
謎の「呪文」とは
メディアをはじめとして、世間の気を最もひきつけるのは「呪文」の内容のようです。容疑者の話によると「夢で教えられた呪文を唱えたら急にモテ始めた」とのことで、これがどんな呪文なのかをぜひ知りたいと世の男は思うわけです。
結論:その呪文とやらが効果を発揮したのではありません。
もしかしたら必殺の口説き文句とか周到な催眠暗示があるのでは、と思ってしまいがちですが、後述するように、それよりもはるかに重要で簡単なことがあります。
ターゲットの選別
どうやって11人の共同生活者を集めたのでしょうか。容疑者は占い師らしいので、おそらくカウンセリングまがいのこともしていたでしょう。これらを肩書きにして、悩んでいる人や占いに興味をもっている人にターゲットを絞って宣伝を打ちます。言い方は悪いですが、ゴキブリホイホイ戦法と言えばわかりやすいでしょうか。呪文とか以前に、これが最も重要です。
普通の人でもキムタクを超えられる
たとえば、街を歩く人に「私と結婚してほしい」といきなり申し込んでも、同意する人はあまりいないでしょう。仮にここでは3%の成功率とします。これがキムタクであっても、いくら良くても10%〜20%ぐらいでしょう。あくまで確率は仮の値です。
さて、街で結婚を申し込んで3%の成功率だった普通の男性であっても「私と結婚してくれる人募集」と詳しいプロフィール付で広告すれば、申し込んできた女性が結婚に応じる可能性は100%近くに上がるでしょう。そりゃそうです。結婚しようと思って申し込んでくるわけですから。普通の人でもキムタク超えです。
催眠や暗示もこれと同じです。普通の人と達人では効果が違いますが、それよりももっと重要なものがあるということです。その一つが前述したターゲットの選別です。(余談ですが)テレビなどは、容疑者が特別すごい力を持っていると仮定している傾向があるので困ります。実際にやっていることは極めて単純だと思われます。
催眠の限界
そのようなわけで、いくら催眠の手法を工夫したところで、5%が10%になることはあっても、5%が100%近くになるわけではありません。催眠術を商売にしている人はこの事実を隠して、何も知らない人から金をむしりとろうとしていますが、これが現実です。
占い・カウンセリングから共同生活への転換法
では、占いやカウンセリングにやってきた女性をどうやって共同生活に勧誘したのか。ここも興味があるところだと思います。
結論:宗教や悪質な宣伝で使われる一般的なテクニックです。(
詳細はこちら)
「このままでは大変なことが起きるが、こうすれば大丈夫」などの「脅迫と救済」が用いられた可能性がとても高いと思います。ちなみに、細木数子はこのやり方の典型例です。
ただ、前述したように、テクニックよりも、集まってきた女性のほうに共同生活が成立する要因の多くが内在していることを忘れてはいけません。もともと占い師が行うようなカウンセリングに興味がある人であれば、一般人が理解できないようなことにものめり込む可能性が高いです。
また、家族内不和や家庭での居心地の悪さに悩み、居場所を求めて、あるいは逃避的目的で共同生活に応じた人もいるかもしれません。このあたりは捜査で明らかになるかもですね。
<追記1/26 22:30>
やはり、居場所がない人をターゲットにして共同生活者集めが行われていたようです。
まとめ
・もともと自分の要求に応じやすい人や逃避願望のある人のスクリーニング
・「脅迫と救済」「権威」など、占い師の特性を生かした勧誘
図太さと非常識さがあれば誰でもできる
容疑者のやったことは誰も知らないような秘技ではなく、ヤクザやインチキ治療家や詐欺師や教祖などが日常的に用いているテクニックです。これは誰でも真似できますが、その一方で真似しにくくもあります。というのも、いつ逮捕されても構わないとか、失うものは何もないというような人でないと完全には使えないからです。この「図太さ」や「非常識さ」がポイントです。普通の人は「捕まらなければオレもやってみたいものだ」とまでは思うかもしれませんが、「人生終わってもいいからやってやるぜ」とまでは思いません。
逆に言えば、そう思う人が続出すれば、今回のような事件は容易に起きるという潜在的危険もあります。
成功する人の条件
成功する人といってもいろいろ種類がありますが、普通の人であれば良心の呵責が起きてしまってやれないようなことに平気で足を踏み入れることによって成功する人もいます。この場合の手法は驚くほど単純です。誰も知らない特別な技術を使ったのではとか深読みする必要はありません。
===========================
この事件を見て催眠に興味をもつ人を狙う商売屋も出てきそうなので、犠牲者が出る前にお役立ち本のリストを作りました。間違っても変なセミナーや講習に行ってはまらないようにしましょう。
http://www.g-tools.net/11/16766/18238/index.html

1