SFAが流行している理由
SFAは「もっとも敷居が低いカウンセリング・心理療法」のひとつです。敷居が低いというのは素人でも手を出しやすいということです。
SFAが流行しているのは、"Brief,Efficient,Effective"という標語のほかに、この敷居の低さが大いに関係しています。
なぜSFAは敷居が低いのでしょう? いくつかの要因が考えられますが、もっとも重要なことは、理論が簡単で技法も簡潔だということです。精神分析的心理療法や認知行動療法の理論を微積分だとすると、SFAの理論は足し算みたいなものです。オッカムの剃刀にしたがえば、理論がシンプルなのは良いことです。しかし、自然科学や数学ではないので話は単純ではなく……
SFAを知らない人がSFAに対して抱く誤解
SFAはしばしば「機械的」「操作的」「表面的」と形容されます。Q&A形式でそのあたりの批判とそれに対する反論を書いてみます。
Q.SFAって本当に解決になっているの? 実は表面的な解決なのでは?
A.解決の力点をどこに置くかの違いです。深いかかわりを通じて自分の「こころ」を理解して自己成長することで悩みが解決するのだと主張する人がいます。それが本当の解決なのだそうですが、もしもそれが本当の解決なのだとしたら、その人が死ぬまで追跡して確かめる必要があります。でもそのようなことはしませんよね。それはダブルスタンダードだと思いませんか。
Q.SFAの利点は問題を深くえぐらないことですよね? でも、それって問題を直視することから逃げているように見えるんですけど。
A.SFAでは、問題について深く語りすぎるとそれによって物語が再構成され、深みにはまってしまうと考えるのです。しかし、後述するように、この考えには欠点もあるのもたしかです。
Q.SFAは確かに技法は簡単だし理論も明快だけど、なんというか、クライエントに変化を迫っているように見えるんですが。
A.SFAは基本原理が超単純なので、初心者は技法を乱用する傾向があります。たとえば、軽い気持ちで「例外探し」をしようとするカウンセラーがいます。問題について意地でも語ろうとしないカウンセラーもいます。解決不能なケースなのにミラクルクエスチョンをするカウンセラーもいます。ユーモアにこだわって空気を読まずにジョークを言うカウンセラーもいます。こうしたやり方を皮肉って"solution focused"ではなく"solution forced"なアプローチと呼びます。
Q.要は、問題はSFAではなくてそれを用いる人にあるということ?
A.そういうこと。こういう人は実際に現場にたくさんいて、うまくいった事例を「武勇伝」として語り、SFAのすばらしさを殊更に強調します。成功事例には敏感なんですが失敗例には鈍感なようです。
Q.ずいぶんはっきり言うんですね。
A.これがネットの良いところでもあり怖いところでもありますね。
「SFAを勉強している人がSFAに対して抱く誤解と無知」なんてことを言われないために
ところで、怖いのはSFAを知らずに誤解している人というよりむしろSFAを中途半端に知って実践している人だと個人的には思います。誰でも手が出せるお手軽な方法なだけに、危険も伴いやすいのです。
・SFAをはじめとするブリーフセラピーが最もBrief,Efficient,Effectiveな方法だとは思って「いない」。
・SFA以外にも自分には武器がある。
・構成主義/社会的構築主義とSFAの関係について説明できる。
・サイバネティクスとセカンドサイバネティクスの違いを説明できる。
・セカンドサイバネティクスとフェミニズムに共通するMRIモデルへの批判を説明できる。
・SFAとミルトン・エリクソンの関係について説明できる。
このあたりは基本的なことなのですが、民間のカウンセリング講座や大学院ではほとんど教えられていないので自分で勉強するしかありません。創始者のde Shazerに言わせれば、この部分こそが重要です。
SFAに限らずいかなる種類の心理療法でも基礎理論と背景理論(メタ理論)は重要なのですが、特にSFAではこれが軽視されがちなように思います。
SFAを習得するためには、むしろSFA以外の事柄の習得に時間がかかる
「私はSFAをやっているんだからSFAを勉強すればいいんだ!私は毎日のカウンセリングで忙しくて心理学なんか勉強してる暇なんかない!」という人を見てずっこけたことがあります。前述した背景理論のほかに、SFAをカウンセリングや心理療法で生かすためには、当然ながら臨床心理学やカウンセリング心理学の勉強も必須です。
そして臨床心理学やカウンセリング心理学を理解するためには心理学の理解が必要で、心理学を理解するためには個々の用語だけでなく統計学や科学的方法についての理解が必要で、特に一群のブリーフセラピーの場合にはシステム理論や現代思想まで手を出さなければなりません。
思いつきで作った記事なので反論を歓迎します。

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