人が自分の進むべき道について真剣に考え始めた時に、必ず二者択一の問題がつきまといます。
それは「やりがいのある仕事を選ぶか?収入の高い仕事を選ぶか?」。
もちろん、両方とも実現できる仕事に就けるのであればそれにこしたことはありませんが、そうそう思い通りにコトが運ばないのが世の中というものです。
さて、イラストレーターの場合はどうか。 結論から申しますと、よほどの売れっ子にならない限り、イラストレーション一本だけで生活していくのは困難だと言えると思います。私たちは「イラストレーター」であり「芸術家」ではありません。ましてや「趣味」で描いているワケでもありません。プロとして、クライアントに納得していただける仕事を納品することで報酬をいただいています。
フリーランスイラストレーターとして独立し、受注する場合、連載などの定期的な仕事を複数請け負わなければ、毎月の収入に波が生じてしまいます。東京に拠点を置いて生活する場合、(一人暮らしの)資金として最低額でも毎月10〜15万円程度は必要です。養うべき家族がいれば、その負担は尚更でしょう。それをイラストレーションだけで稼ぐとなると、それはそれは大変!!!無収入の月が出てしまうと、貯金を切り崩して生活しなければなりません。銀行のローンは組めないし、部屋を借りることもできない。イラストとはまったく関係ない仕事やアルバイトを兼ねないと生活していけなくなります。
その一方で、複数の連載を抱えるということは、複数の〆切に追われるということになります。下手すると、昼間と夜間が逆転した生活になり、納期が迫れば徹夜を余儀なくしなければならない。一週間ほど外出できないことも珍しくありません。また、仕事以外に、プライベートの絵を描く時間が極端に少なくなることもあります。収入を得るためにそれこそ腱鞘炎になるくらいの仕事量 をこなすか、あるいはグラフィックデザインやライティングを兼ねるなどして、大方の人々は生活を維持しているのが現状ではないでしょうか。
また、会社員ではありませんから、ボーナスがなければ、退職金や将来の保証は何もありません。我が家は夫婦ともども自営業なので、年金では若干不利になります。もし、どちらかが突然病気になったらどうしよう?もし、身内にトラブルが発生したらどうしよう?もし、来月仕事の発注がなかったらどうしよう?現在でも不安や悩みは常につきまといます。
しかし、それでもワタシはイラストレーターという道を選択しました。「一度きりの自分の人生を、自分で決める。そして、天職に就いたら最後まで走り抜ける」 という信念があったから。ワタシは、一度OLを経験しましたが、それは自分には向かなかった。好きなことを仕事にするには「覚悟」が必要でした。それも三度のメシよりも、絵を描くことが大好き。収入が少なくても、将来の保証がなくても、自分で歩むべき道を切り開いていく。そんな「覚悟」を決めたあなたは「第一のハードル」をクリアしたと言えるのではないでしょうか。