vaccine sale

あるいは〈幽霊と館内鉄道〉

 

二十五話

話しかけると隙間を覗くような気分になる。
だが隙間などない。相手は犬なのだから。
垣根にひっかかっていた吸殻をしっぽが叩き落す。
犬よ、私は人間である。
私の帰り道に信号は二つしかない。
その二つにおまえは挟まれて、じっと聞き耳を立てている。
「そうか血の色だからなのか」
人間たちが、赤になるといっせいに止まる理由に
はたと思い至ったという顔で。
目があうと、向こうから気まずそうに逸らせた。



階段がむきだしなのは舌だから アパートの白く塗り直す屋根
0
投稿者:etc
投稿者
メール

 
コメント
URL
コメントは新しいものから表示されます。
コメント本文中とURL欄にURLを記入すると、自動的にリンクされます。
AutoPage最新お知らせ