原題は「あしながおじさん」という。童話の「足長おじさん」が好きで、自分のハンドルネームにもしていたという監督だけあって、端々に監督のこだわりが見えるような作品だった。
導入はアニメーションで、幼い女の子が「鳳仙花で染めた爪が、初雪まで残っていたら初恋が叶うのよ」と母親から聞く、ほのぼのとした家族風景が表れる。
でもその女の子ヨンミ(ハ・ジウォン)は両親を失い、寂しさの中で成長する。
大学になり、苦労して集めた学費を納めようと事務局に行くと、「たった今代理の人が納めていきましたよ」と言われる。ヨンミは後を追うが、見つけることができない。
なぜかヨンミが寂しかったり窮地の時になると、名前も知らぬ"あしながおじさん"からの救いが届く。
大学を卒業し地方のラジオ局に入ったヨンミだが、放送作家としてソウルのラジオ局の勤務を命じられる。そして、都会に出てきたヨンミは、プロデューサーから転勤中で空家になっている家を下宿として与えられる。どこかであしながおじさんが聞いているかもしれない…と自分のエピソードを投稿葉書のように書いてラジオに乗せるのを、DJのジヨンはよく思わず冷たく当るが、アシスタントのジョンジョン(シニ)や資料室の受付係(ヨン・ジョンフン)とは仲良くなる。ジョンジョンは匿名でチャットしていた相手と会うことになるが、会ってみたら局のプロデューサーだったという「She Loves Me」のような設定にガッカリするが、ハンドルネームを変えてみたものの、また会ってみれば同じプロデューサーということから、外見ではないのかもしれない…とお付き合いを始めることになる。
ある日、ヨンミは自分のパソコンが壊れたので、家主が置いていったパソコンを開く。と、留まっていたメールを着信する。
何気なくメールを読んでしまうと、そこには自分があしながおじさんから受けたのと同じようなことが書かれていた。
メールの主(パク・ウネ)と家主(ヒョンビン)から、あしながおじさんは自分のすぐ近くにいるに違いないと思いこみ、イケメンの常務だと思うヨンミ…。
しかし、メールの彼らの恋に、壊れて砂の落ちない砂時計の存在を知り、資料室の受付に置いてある砂時計が壊れていることに気付く。
私のあしながおじさんは、受付係りの彼……!?
すごく感動したというわけでもないが、「バリでの出来事」の後2005年にハ・ジウォンとシニがまた友人役で一緒に出ていたということが一つ、もうひとつの恋物語に最近知名度の上がってきたヒョンビンと「大長今」にも出ていたパク・ウネが出ていたこと、彼らがドロドロの恋愛劇でなく、あしながおじさんという無償の愛を扱った一種のファンタジーに出ていたというのが、優しい気持ちになれたのだと思う。
監督コン・ジョンシクについて詳しいことは知らないけれど、きっと優しい人なのだと想像する。それは、あしながおじさんの見返りを求めない懐の広い愛情を好むということもあるし、ヨンミが資料室にD.J.SouserのCDを探しに来るシーンからも読みとれると思う。
資料室にはLPレコードしかなくて、町のCDショップにヨンミが買いに行くと、受付係のカレも手にしているという、何気ないシーンではあるのだけれど、You are only lonelyを探しているんだな…と思った瞬間に、その曲が言おうといている状況を察することが出来る。それだけ歌の持つメッセージに主人公たちの気持ちがバックアップされているのだと思えるのは、きっと監督や制作者がこの曲、このアルバムに思いいれがあるのだろうし、きっと同時代を過していたと思える共感が感じられる。
そして、メールの中の恋人たちには、図書館にポール・オースターの本が搬入されるという一シーンに、その人の好みが窺い知れる。
それが監督の指示なのか、脚本家の書いた指示なのか、そこまで追うことはできないけれど、彼らの次の作品に注目してみたい気にはなった。

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