「あ、ありえねぇ。」
吹き飛ばされかねない吹雪の中マック・D・クラウドは雪山を登っていた。この山を越えれば目的地のポッケ村に辿り着く。
ポッケ村は雪山の中腹に築かれた比較的新しい村である。この村には二人のハンターが傭われていたのだが、一人が飛竜との戦いで負傷し引退してしまったのでハンターズギルドにハンター派遣の依頼が来た。
普通、村などの地域派遣は新米の「ルーキー」「レンジャー」「見習い」などがすることなのだが、今回は古参のハンターを負傷させた程の飛竜が村の周囲をうろついているということで「勇者様」である俺が派遣されたのだ。それにかつて故郷の村をランポスの群れから救った功績もある。その後街でハンター登録する際「ルーキー」にされそうになったので、いかに俺が才能に恵まれているかを教えてやるためにランポスの群れの話を長々と聞かせてやると受付の女の子が特別にと「勇者様」にしてくれた。何でもこの世でこの称号を持つハンターは俺だけらしい。うれしさと感謝を伝える前に彼女は他の客のもとへと行ってしまった。可愛かったのに。
その村を救った証となった、ランポスシリーズを装備して鏡に映る俺の姿が大好きだったのだが、この辺境の村に行くにあたって売却しなければならなかった。なにしろ北国の村なので恐ろしく寒いことは噂で聞いていた。ランポスシリーズではホットドリンクを飲みながら歩く必要が出てくるが、長い道中持てるホットドリンクの数では全然足りないし、調合素材であるトウガラシが道端に生えているとは思えなかった。
そこでポッケ村の特産品マフモフシリーズという雪国用の防寒具に身を包むことになり、ランポスシリーズは武具屋に買い取られる事になった。
しかし。この吹雪はマフモフを着ていても歯がガチガチと震える程体温を奪っていく。ホットドリンクも無くなった。スタミナもそろそろ限界だ。この前から吹雪のせいで草食獣どころかランポスも見当たらない。最後の肉ももう食べてしまった。
視界も悪く周囲は真っ白だ。この山の中腹がポッケ村なのに。
ふと足元を見るとそこは崖だった。危うく落ちるところだった。そう思って振り向いたその瞬間今までの吹雪が嘘だったかのように吹雪が止んだ。明るくなった視界に氷の山のようなものが映った。どうやらここが頂上らしい。
グオオオオオオオ!!!!!
氷山の方から、体中が萎縮し先ほどとは違う意味で震える咆哮が響き渡った。咄嗟に耳をふさいだが到底防ぎきれるものではない。大地が振動している。
何かが氷山から飛び上がったかと思うとマックの前に着地した。とても大きい。ランポスの10倍はある。翼はなく、大きく発達した前足とオレンジ色の鱗が印象的だった。こんな竜は今まで武勇伝でも聞いたことがない。大きな口からは涎がダラダラこぼれている。
気がつくと竜は地を鳴らしながら突進してきていた。体が動かない。
その竜の額には剣で斬られたような傷が残っていた。
それを見た途端にマックは体が自由になり、片手剣の盾でガードした。が、勢いに飛ばされ先ほどの崖から放り出された。マックは薄れていく意識の中勝利の雄叫びを聞いた。

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