豊川で頂いた菊の鉢
毎日、朝晩水やりをするのですが、いったい君たちはいつ花が咲くのでしょう??
愛おしいやら、じれったいやら??
そこで、調べてみました。
1.はじめに
技術・家庭科の領域として、11領域が掲げられている。その中で栽培領域は選択領域として位置づけられており、指導されている学校が少ない現状である。一般的に、情報化といった先端の波に流される傾向があるが、大切なことは、教科の指導者が、各領域の意義を感じ、生徒に何を教え、何を理解させるのかといった、教育本来の使命を十分認識する必要がある。
教育は、生徒個々の持っている能力を最大限引出し、耕すことである。
栽培の領域の学習は、土壌である土づくりから、苗を育て翌年への準備をするという、教育そのもののサイクルである。
2.研究の動機
日本の草花を代表するといって過言でない菊は、秋の行楽時に菊人形や菊花展として、人の目を楽しませる。
特に「けんがいづくり」や「3本仕立て」には、目を引かれるものである。
書物には、秋菊の栽培についての記載がかなり見られるが、実際に体験し、その実体験を通した指導を実践したいと思い、平成3,4年度実践した。
3.菊の培養土
草木をつちかい養うための土づくりは、言うまでもなく栽培する上で最も大切なものである。人間にも好みがあるように草花の種類によって、培養土は異なる。
菊の培養土について効果的な3例を示します。
@腐葉土5 A腐葉土4 B腐葉土3
赤玉土 3 田 土3 すすき3
川 砂 1 赤玉土1 池 土3
くん炭 1 キクライト1赤玉土1
くん炭 1 フヨウライト
くん炭 1
以上3例示しましたが、時間と手間暇をかけないと、十分な腐葉土をつくることはできない。
割合が同じであっても微妙なノウハウは個人の経験による。
また、どのような培養土が最高のものであるかは、奥深く魅力がある。
4.肥料の三要素
土についで菊の生育に大切な役割をするのが肥料です。まず、肥料は窒素、りん酸、カリウムの3要素が元となります。
ここで、3要素の働きを菊との関わりで述べたいと思います。
@窒素は菊の茎や葉を育てて花を大きく咲かせる成分です。窒素が不足しますと葉が紅葉したり、幹が固くなったりします。ただし、あまり多くやりすぎると葉や茎は繁茂するが軟弱になって病気にかかりやすく、花の輪径も小さくなることがあります。
Aりん酸は茎や葉、根を大切にし、つぼみの生育を充実させ、花や葉の光沢をよくして病気や害虫に対する抵抗力をつけます。ただし多すぎると菊の根や茎を老化させます。
しかし、菊が最大限吸収すると、あとは多少残っても、大きな害になりません。
Bカリウムは茎や葉、根を丈夫にし病気や害虫に対して抵抗力を強くします。
カリウムのやりすぎは茎や葉を固くし花も小さくなりますが、
窒素が多い場合にはカリウム分を吸収してくれるのでカリウムは花の肥料には大変好都合です。
成分の割合
窒素 1.0 、 りん酸 0.8、 カリウム 1.5〜1.2
以上の割合の成分を持った肥料が菊の肥料として適当だといわれています。
この3要素のほかにカルシウム、マンガン、マグネシウム、モリブデン、亜鉛、鉄などは、ごくわずかですが菊の生育には重要な成分だといわれています。
このように人間の食事のバランスを考えるようにそれぞれの成分を含んだ肥料を施すことが大切なのです。
5.病気の種類と防ぎ方
白さび病:病気の中で一番伝染が早くやっかいな病気です。これは葉の裏に「イボ」のような斑点が出る病気です。駆除剤としてはプラントバックス粉剤が効果的です。使用濃度は3000〜1500倍です。またサプロ−ル乳剤の1500〜1000倍溶液も準備します。1種類の薬だけをつづけて散布していますと効きめが悪くなり、必ず2種類の薬を用意して、交互に散布します。早く手を打てば、非常に効果があります。
葉枯れ線虫病:
根の部分や土の中に寄生している線虫(ネマト−ダ)が梅雨のころから夏にかけて、雨降りのたびに下葉から上部へとおかしてゆき、やがて葉、茎が枯れ上がってしまう恐ろしい病気です。予防としては、培養土の完全消毒をするしか手がありません。蒸気消毒か薬品消毒(クロ−ルピクリンか二硫化炭素を使用)を使用します。これ以外は防除の方法がないようです。現在のところ薬剤では効果がないので、ほかの株に移る前に病気が発生した株を早めに焼き捨てています。
斑点病:
黒班病:
褐班病:
いずれも葉に黒や褐色の斑点をつくる病気で、梅雨のころから初秋の時期に発生する。特に風通しの悪い場所とか日照時間の少ない場所でよく発生します。また、長雨の直後に発生しがちです。防除剤としては、ダイセン、マンネブダイセン、ジマンダイセン、ジネ−ブダイセン、ダイセンステンレス、ベンレ−ト、トップジンなど多くの薬品があります。これらの薬を2種類用意してそれを交互に使用すると効果的である。
6.主な害虫と防ぎ方
アブラムシ:まず、害虫で菊につきやすい虫はアブラムシです。アブラムシには各種あり、菊にはアズキ色をした虫、薄紫色をした虫、葉の色とまったく同じ色の3種類がよくつきます。中でも被害をもたらす虫は、後者の2種類です。これらは繁殖力が旺盛で、1週間もすると葉にびっしりつきます。駆除剤としては、オルトラン、スミチオン、マリックス、ランネ−ト、エストックス、DDVP以上が効果的です。予防として、アブラムシは、反射光線を嫌う性質があります。この性質を利用して、株元に光を反射するポリエチレン製フィルムやアルミ箔などを敷いておくと、アブラムシの寄生がずっと少なくなる。
葉ダニ:
花ダニ:高温な乾燥期に多く発生します。7月から10月ころまでは注意を要します。18度前後のころに発生が多く、葉の裏側につきます。これは花につく場合(花ダニ)はクモの糸を花の表面に張りめぐらし、そのなかで花弁の養分を吸い取るので、せっかく咲き始めた花がしぼんでしまうほど被害を受けることがあります。駆除剤としては、ケルセン、モレスタン、トルピラン、カラセン、プリクトランエストックス、マイトサイドB、などが市販されています。1種類の薬品だけでは免疫性になり効きめが悪くなります。2種類を選び説明書をよく読んで使用することが大切です。
シンクイムシ:
ハマキムシ:ある日突然花弁の伸びが止まったり、花が閉じたりして、気づいたときは心の部分を食われていたりします。成虫は小さい蛾の一種で、初夏から秋に菊の芽先に産卵し、幼虫の被害を受けた芽先は生育が止まり、せっかくそろった大菊の3本仕立ても不ぞろいとなり、葉は奇形になる。これらの虫は非常に敏捷な虫で抽殺しょうとして、巻かれた心葉を開こうとすると、すばやく飛び出して逃げてしまいます。花に発生した場合には花弁を糸で巻き込んで食害し、大被害を与えることがあります。
駆除剤としては、ホスパ−乳剤、カルホス乳剤、スミチオン乳剤、ランネ−ト粉剤、オルトラン粉剤があります。
以上が菊の主な病害虫ですが、殺菌も殺虫も病気にかかったり、虫がついてからするのでは遅いわけです。
どうやら人間の健康管理と共通点があります。したがって、発生 期を知り、菌や虫がつく前に薬剤散布することが大切です。
散布は1度だけでなく、1週間に1度か10日に1度必ず実施するとよい。
農薬散布は、目の粘膜を痛めるなど人体に害を与えるので、農薬の濃度はもちろん服装や風の方向など十分気を付ける必要がある。
7.月別作業と病害虫の予防対策
〔12月 〕
花の咲き終わった株は、親株として、暖かい場所に置き冬至芽を出させる。
この冬至芽がよく伸び始める3月ごろ、適しんし、5月にさし穂とりをする。
予防のため殺菌剤としてマンネブダイセン、殺虫剤としてランネ−トを用い消毒を行う。(月1回でよい)
〔1月 〕
アブラムシ、葉ダニ予防にエストックス、カラセン、モレスタン、ケルセンを散布する。(月2回でよい)
〔2月,3月 〕
3月には冬至芽の適しんをする。
殺菌(ベンレ−ト、マンネブダイセン)殺虫(スミチオン、ランネ−ト)
〔4月 〕
殺菌(ベンレ−ト、マンネブダイセン)殺虫(DDVP、ランネ−ト)
〔5月、6月、7月 〕
※ 5月は冬至芽から、4〜5枚の葉をつけてさし穂を取り、清潔な用土にさし芽をすることが大切である。 (わたしは5月の連休を利用します。)
※ 6月には、5号ばちにはちあげをする。(平成4年は5月31日に実施した。)
6月中旬には、摘しん・摘芽をし、3本仕立ての準備に入る。(6月22日)
※ 7月上旬には3本の茎を針金などで誘引し整枝する。7月中旬には菊ばちまたは9号ばちにはちがえし、支柱立てをする。菊花展に出す場合は黒色の菊ばちに限る。
支柱は竹でもよいが生長とともに伸ばすことができる市販の支柱が便利である。
わたし個人は、現在、竹の支柱を用い生長にあわせて取り替えている。(夏期休暇を有効に利用することができる。)
◎ 6月から9月までは、1週間に1度は必ず農薬散布するほうが望ましい。
殺菌(ベンレ−ト、マンネブダイセン、ダイセンステンレス、ダコニ−ル)
葉ダニ専用薬品(カラセン、ケルセン、モレスタン、エストックス)
殺虫専用薬品(ランネ−ト、オルトラン、スミチオン、マラソン、DDVP)
エストックスは葉ダニ、アブラムシの専用薬品です。
〔 8月 〕
1日〜 7日殺虫・葉ダニ(エストックス)
8日〜14日殺虫・殺菌(ランネ−ト、ダイセンステンレス)
15日〜21日殺虫・葉ダニ(DDVP、モレスタン)
22日〜28日殺虫・葉ダニ(ランネ−ト、ケルセン)
28日〜9月3日殺虫・葉ダニ(エストックス)
〔 9月,10月 〕
9月は特に注意して散布の回数を多くすることが大切です。8月と同じように計画的に散布することが大切です。
回数の少ない場合は、花・葉等に必ず支障がでてきます。
※摘らい: 平成4年では9月の20日頃から日増しに花芽が分化(つぼみがつく)してきた。
26日頃から摘らい(数回に分けて不必要なつぼみを取ること)を始めた。
◎ 秋菊は、短日植物なので、一般に、気温が15゜C以上、日長が13.5時間以下の日が続くと花芽の分化が始まります。
したがって、地域の環境によって手入れの時期が異なってきます。
※輪台つけ:10月15日頃より輪台付けが忙しくなる。10月18日(日曜)には30はち全てに輪台を取り付けた。
(クイックタイという結び付けるヒモがあれば便利である。)
10月は9月ほど回数は多くなくてもよいが、まだかなり暖かいので、虫がつきやすく油断はできない。
10日に1度は殺菌・殺虫剤を散布するとよい。
〔11月 〕
10月下旬から12月上旬にかけて、約1カ月余り開花した菊を観賞することができる。
1年間の成果を確認しつつ楽しめる期間である。
この時期は、かなり気温が下がってきているにも関わらず、農薬散布には気を許さないほうがよい。
アブラムシがついていることがある。
8.おわりに
菊の栽培1つを取り上げても、立派に仕立てるためには、かなりの知識と経験が必要である。肥料の与え方などは、十分に記載することができなかったが、液肥を与えることなどもかかせない。全ての教科で言えることであるが、表層構造だけの理解では、授業そのものに重みがない。技術的な教科では、指導者が体験的に実践し、楽しく興味のある授業を構成することが大切である。
いやはや、大変なものを預かってしまいました。