気づけば在米8年目。見習い人類学者ハマンダの 郷に入れば郷に従うアメリカ留学日記
2009/6/29
予定が狂い、予想外にススキノのカプセルホテルに六日間連泊してしまったハマンダです。
しかし今夜から深夜バスで釧路にまた戻ります。
釧路でまた親切な方に迎えにきてもらって、この調査旅行最後の訪問地、アッケシにGoです。
アッケシという地名もアイヌ語地名から由来しているようです。
akksー牡蠣貝のあるところ、という意味だそうです。
今でも「アッケシといえば牡蠣」というぐらい、アッケシの牡蠣は有名です。
漢字書きでは、アッケシは「厚岸」となります。厚い岸です。
意味がよくわからないので、カタカナ表記を心がけましょう。
アッケシには、ニシンの孵化事業に取り組んでいる孵化技術開発センターがあります。
アッケシは日本海側ではないんですけどね。湖沼系ニシンといって、地域性のニシンが獲れます。
センターの見学と、年配の(元)漁師さんからお話を聞くのが目的です。
しかし、ついでにハマンダの先生がクリンギットの人たちと共同研究している南西部アラスカにおけるニシン総合研究について、少しハマンダのやりたいことにも触れつつプレゼンすることにまりました。
「セミナー形式で、20−30分ほどお願いします」とのこと。
あの…。
ぼく
実は、日本語でプレゼンテーションてほとんどしたことないんです!!
オー ニホンゴデプレゼン ムズカシィデース
プレゼンのパワーポイントの基は、トム先生が3月に発表したものを翻訳したもの。
だって日本のニシンのことなんて、ハマンダよりもセンターの方々のほうがずっとご存知ですからね。
だから今回のプレゼンは、アラスカのことと、少し「アイヌとヘロキ(アイヌ語でニシン)」について話せたらと思います。
しかしですね、なかなか難しいですね。
クリンギットの長老たちのコメントを翻訳するのは。
翻訳というのは、本当に難しいプロセスです。
例えば"I"という英語を、「私」と訳すのか、「僕」と訳すのか、「俺」と訳すのか。
これは、実際その人と話した時に受けるフィーリングがないと決めるのは難しいです。
今翻訳しているコメントをしたクリンギットの長老たちの二人は、ハマンダも3月に実際お会いしてるんです。
けど、やっぱり難しいですね。「俺」にするか「僕」にするか。
それで「俺」とするか「オレ」とするかで、またなんとなく違う。
「我が輩は猫である」
これを英語にすると、I am a catとしかなりません。
しかしI am a catを日本語に翻訳するとどうなるか。
「私はネコです」「僕はネコです」というのは一般的直訳風でしょうか。
しかしですね
「オレ 猫」←夜露死苦と続きかねないナメ猫風。
「ボク ネコ」 ←ドラえもん風
「それがしはネコでござ候/ござる」←日本大河ドラマ風
「陳は猫じゃ」←中国大河ドラマ風
I am a catを「我が輩は猫である」という日本語に翻訳する人は果たしているだろうか?
いるいないはもとより、この例では正解の翻訳は「我が輩は猫である」というのを我々は知っているわけです。
誰かが勝手に、「ぼくは猫」と訳すと、夏目漱石の創りだした、「我が輩は猫である」というなんともいえない響きを消してしまう。
だから、翻訳者や通訳者というのは、なかなか難しい。
言語力というよりも、どれだけもっと深いところを「読める」か。翻訳&通訳は深い。
なんて思いながら、今日は北大図書館で少しコピーをとったりしてました。
北大といえば、クラーク博士の名言が頭に浮かびます。
「少年よ、大志を抱け」
原文は"Boys, Be Ambitious"
誰が訳したかしりませんが、ambitiousを「大志」と訳するとは渋いですな。
しかし、クラーク博士が本当に言いたかったことが、「大志を抱け」かどうかは僕はわかりません。
開拓史時代ですよ?
言い換えると、開拓や開発の名の下にアイヌの土地が「法的」に奪われて、アイヌモシリが内地植民地化されていくまっただ中。
クラークというアメリカ人が、和人に言った言葉 ambitious
もしかするとambitiousは、実はもっとストレートに「野望」という意味だったのかもしれません。
なんてことを思いながら、クリンギットの人のありがたいお言葉を訳しています。
この言葉はハマンダのものではなく、クリンギットのもの。
その言葉が伝える知識もハマンダのものではなくクリンギットのもの。
ハマンダはあくまでメッセンジャーボーイです。
言霊を失わずに訳すのは無理なんでしょうか?

3
2009/6/25
どうもどうも。お久しぶりです。
ただ今 北海道(調査)旅行3週目突入のハマンダです。
予定は未定のまま、人を訪ね、その人のご親切とご好意に甘えて人を紹介してもらい、その紹介してもらった人の元へと移動する、という、「明日のことは明日のハマンダしか知らない」という旅行を続けております。
とにもかくにも、多くの方のご協力に感謝です。
そしてごちそうさまです。
親切な方々が、お話の後に食事や飲みに連れてってくださる。
貧乏学生兼学者の卵としてはありがたいのですが、飲みに行ったら頂きます。
酔っぱらう。結果、その夜全く資料をまとめられない。結果資料が生の状態で貯まる。
さらに、ややこしいのが、前回のブログで書いた図書館の仕事。
シカゴにいかなくても、500j諦めても、やっぱり共同研究者ですので、ほったらかしにはできません。
ということで、先週から留萌という場所に滞在していたのですが、一段落着いたのでネット接続がある場所に移動することにしました。
留萌ではいろいろ思い出ができましたが、心に響いたのは、とある地元小学生女子からのため息とともに発せられた一言。
「いいねぇ おじさんはノンキで」。
あぁ 俺はやっぱりもうおじさん。そして小学生から見ておれはノンキなのか。
それとも日本での生活はそんなにペースが早いのか…。
とにもかくにも、移動手段として予定していた自転車は、天候はもとよりトラブルと野宿の可能性があり、地元民に熊がでるかもしれんから一人で野宿は危険だ、ということでボツ。
電車も予算的にボツ。ということで、バスで移動することにしました。
朝一、一日一便の留萌から札幌行きに特急バス。
途中で降りて、浜益をいう昔ニシンがなまら獲れた漁村に行ってしまったハマンダ。いや 浜益の郷土資料館にいきたかったから。
しかし、そこから途方にくれる。
バスは明日の朝までない。
いかん。途方にくれる時間はない!
諦めて浜益で一番安い民宿を見つけて籠って資料整理をするか、なんとかして札幌に辿り着き、司書学君からのメールをゲットするか。
考えること15分。
浜益の小さな地元スーパーで、黒のマジックペン購入。おばちゃんに頼み、外に捨ててある段ボールゲット。
旅が始まって3週間、ちょうど刺激に飢えてきてたとこだ。
やるぜ ヒッチハイク。
ペンを持ち、さっそくサイン作成にとりかかる
札…
さつ…
あれ。あれ…
ポロって漢字どうやったけ!?
ヒッチハイクのサインやからさ、大きく書くやん?
正しくキレイに書かんとあかんやん! ごまかしがきかんのよ!
と、自分の漢字力に改めてへこみながら、ガイドブックをカンニングして札幌方面と漢字書く。
で、ヒッチハイクスタート。
来る車に、とびきりの笑顔でサインを見せるが全然ダメ。
気づいたら、隣の村まで走破。
次の村まではもう数`。しかしその次の村は20`先。
次の村まで頑張って、だめやったら諦めてそこに泊まろう。
て、次の村に民宿ある保証はありませんが。しかし荷物を担いでもう20`はきつい。
また夜なにもできない。
そんな日に限ってお日様が出てくる。おちーあちー
笑顔でサインみせてもなぁ バックパックで汗だくでちとロン毛の国籍不詳者を乗せてくれる人はおらず。
ということで、村到着。
どうすっかなぁ 民宿ちゃんとあるなぁ。いや20`歩くかー
なんて思っていたら、道路の向かいに交番が。
そして交番前に、なんとも不思議なナンバープレートをつけた車が止まる。
つかさ、ヒッチハイクって日本では合法なん? おえー おえー なんか危機なんちゃうんかい?
運転手と目が合う。
えーと、
目でメッセージを送る。
心なしか「ボクハアヤシイモノデハアリマセーン」、と片言日本語でメッセージを送っているハマンダ。
米在住9年恐るべし。
運転手が車から降りる。
な なぁに おら 悪いことなんもしてねーださ
と思いなあがらもドキドキ。気持ち目を逸らして、歩き続ける。
運転手こっち見ている。やっぱり目があった。
「札幌行くの? 乗せてってあげるよ」
キター!
ありがとーございます!
この場をおかりして、もう一度お礼いわせてください! あんがとーす!!
ということで、ヒッチハイク成功。
この親切な兄さんのお陰で、札幌に2時過ぎに到着。
ルルモッペ先生のアドバイスを受け、人生初カプセルホテルにゴー。
快適ですなぁ。
ネットあり! マンガ&雑誌&新聞もあり! エロビデはあるが予算的に無理!
そしてやっぱり届いていた史書学君からのメール。
アンケート調査データが40ページ。
そしてインタービュー90ページ。
これ読んで、何かアイデアというかパターンを見つける。
何かアイデアを見つけて、史書学君に送らないといけない。
近くの吉野家と松屋にいく以外は、カプセルホテルに引きこもり。
相変わらずフロントのにいちゃんねいちゃんに、なぜかカタカナ調の日本語を話すハマンダ。
俺はいったいなんだ?
知らない人と話すときなぜか日本語が片言になり、漢字が書けない、ノンキなおじさんか?

8
2009/5/26
来週の今頃はもう日本か。全然準備ができてないハマンダです。
おい ハマンダ お前 帰国するのになんで連絡よこさないんだ このハゲ!
と思っている人も多いと思います。
しかし今回は、研究帰国なのであんまり時間がないんですよね。
単なる一時帰国というわけではないので、会える時間と可能性も少ないからあえて連絡してません。
すんまそん。
ホンマは日本に二ヶ月もいるのなんて8年ぶりなんですけどね。
なんかやること多いなぁ。学期終了からだらけてるのが一番の理由やけど。
実はね、ちょっと賞をもらってしまいまして。
去年ハマンダは、大学院生助手として図書館で働いてたんです。
それなり新しいことを学べておもしろかったんですが、もっと自分のキャリアに直接的にスキルアップできる何かをしたいと思いまして。
で、図書館ユーザーのエスノグラフィー(民族誌学)というものを提案したんです。
「英語でインタービューをする」という経験がほとんどゼロに等しいんです。
このアイデアが通れば、いい練習ができるな、ということからスタートしました。
ボスが気に入り、同僚と一緒にアイデアを集め、実現することに。
同僚ってのは史書学専攻なんです。
アメリカ図書館協会(American Library Association)というものがあるらしく、なんかそれに「新しいアイデアとアプローチ」コンテストというものありまして、同僚が応募したんです。対象は大学院生のみだったし。
じゃあ なんか最終的に賞といいましょうか、ともかく「おめでとうございます」のメールが届きました。
7月12日にシカゴである、全米図書館学会で発表することになりました。
招待なので、500jの旅費も支給されると。
いぇーい シカゴ行ったことないぜー!
500jあったら、二人でけっこうええとこ泊まれるぜー!
んでもって、履歴書に書くことふえたぜぃ!
なんて思いたいんですがね。
7月12日。ハマンダは北海道で自転車こいで調査旅行中です。シカゴ行けない。
さらに大きな問題。
応募する時は、研究計画書を提出するだけやったんです。
で、選ばれたと。
問題は、肝心の研究は全然進んでいないということ!!
今 まだインタビューをしている状態でして。
目標20人インタビューが、今で4人! 今週さらに二人インタービューしても6人!
目標80人参加だったオンラインアンケートは28人! 全然足らん!
で、ハマンダは来週から北海道!
同僚の史書学君、まだはっきりと言ってこないが思っていることはわかる
「おぇ ハマンダ、お前もしかして全部ほったらかしてトンズラするつもりちゃうやろなぁ!?」
そんなつもりはないんですけどね。いや ある(爆)
研究旅行の準備とかいろいろしたいし。
他にもずっとやりかけのもととかをもうちょっと進めたいし
んで、大学院助手の契約は今月頭で切れてるから、働いてもお金もらえないんです。
史書学君は、夏も図書館で働いてるからちゃんと給料もらってこの研究ができるんです。
「インタービュー経験」は積みたい。
けどインタービュー一回約30分、文字上げ集中してなんとか3、4時間。
そっから分析。分析の基盤となる理論的なものの理解のためのリーディング。
で、とりあえず発表用の原稿書き上げ。
結論。時間ない。
史書学君ごめん。500j全部使っていいから、ね。ごめん。

3
2009/5/24
実際 新型インフルエンザにかかって苦しんでいる人がいるのに、大事じゃないというようなブログを書くのもどうかな、と思いながら書いた昨日のブログ。
一方で、アメリカのとあるバイオロジスト(兼投資アドバイザー?)は、自分のブログで「さぁ 豚インフルエンザでどうやってお金を稼ぐか。私のことを資本家のブタ(金の亡者)と呼びたければ呼べばいい。全く気にしないさ」、だとさ。
「三ヶ月以内のワクチンを開発する薬品会社が買いだ」ということを書いていました。
http://www.fool.com/investing/general/2009/04/27/a-capitalist-pigs-view-of-swine-flu.aspx
CAFOという用語があります。 Concentrated Animal Feeding Operationsの略語です。
家畜を狭いところに集めて餌を与えるという、動物の権利や命よりも資本家の利益を重視した「酪農工場」のことです。
CAFOについてのこんな映画みつけました。
題名は「Meatrix(ミートリックス)」
やけに某人気映画のタイトルに似ていますが、まぁ ミートリックスもよくできています。
パートI http://www.themeatrix.com/intl/japanese/
パートII http://www.themeatrix2.com/japanese/subtitled/
パートII1/2 http://www.moremeatrix.com/japan/subtitled/
狂牛病から鳥インフルエンザから豚インフルエンザ。
資本家のブタ。
いろんなものが繋がっているんですよね。グローバライゼーション。
集団でするべきもの、できるものは感染対策のマスクだけではなくてですね。
消費者のパワーを見せつけることです。

1
1 2 3 4 5 | 《前のページ |
次のページ》