気づけば在米8年目。見習い人類学者ハマンダの 郷に入れば郷に従うアメリカ留学日記
2009/11/15
今週もありました。ミルク先生とのOne-on-Oneセッション。
前回のセッションで与えられた宿題。
「ハマンダがニシンに興味があるのはわかった。じゃあ、ニシンについての研究をするための5つのテーマを書いてこい」
テーマ…すか?
ニシンについての何について知りたいか。
それを知るために、どんなセオリー/アプローチを使うか。
なぜそのセオリー/アプローチを使うか。
そのセオリー/アプローチを使って、どんなリサーチクエスチョンを作るか。
知りたいこといっぱいやから。けど、その知りたいことを研究するためにどんなセオリーが…とか難しい。
ミルク先生「おー、ちゃんと5つそろえてきたね」
ハマンダ「はい。結構時間かかりました。」
ミ「じゃ、この5つから1つ選んで」
ハ「えっ?」
ミ「1つ。一番興味があるやつ」
あの… 時間書けてテーマ5つにしぼって、そのためのセオリーとかも考えたんですけど…。
ハ「あ…あの、No.2と3と4が結構いいかな、と…」
ミ「No! Pick ONE.」
資源問題からみるニシンと漁業にも興味があるし
数の子とお歳暮からみる日本の贈答文化も気になるし
スローフードとしてのニシン料理にも興味があるし、
全部ひっくるめて、ザ・ニシン研究家になるてのはだめでしょうか?
ミ「じゃあ これはどうだい
ハマンダが博士課程を終えて就職先を探す時、環境人類学者として自分を売り込みたいか
それとも社会/経済人類学者、それとも食文化研究を専門とする文化人類学者か。
君は何のスペシャリストになりたい?」
ハ「…。環境…。」
ミルク先生「Good。じゃあNo4に決定。」
ハ「決定…すか」
ミ「うん。決定。そしておめでとう」
ハ「え?」
ミ「たった今、君の博士論文のトピックが決まったよ。」
ハ「…。決まったんですか?」
ミ「うん。決まった。」
ハ「まぢホンキすか?」
ミ「うん。だから、もう食文化についてのリーディングは辞めよう」
えっ!? このOne-on-Oneセッションのお題はフード&カルチャーなんですが!?
そんなことは全く気にせず、もしくは気にしていても言及せず、来週の宿題を告げるミルク先生。
唖然としているうちに決まったハマンダの博士論文のトピック。そしてなんとなく進路も。
セッションが終わってから思ったんです。
ミルク先生は一応専門は経済人類学と食文化なんです。資源問題は、ハマンダが出した5のテーマの中で一番ミルク先生が専門としないエリア。
それでも、まずやりたいこと5つ書いてこい。
決めれなかったら、その次のステップを考えろ
そして決める。
決定!といったのはミルク先生やけど、実は全て俺なんですよね。アイデアを出したのも最終的に決めたのも。
忙しすぎて、頭よくて、少しついていけない部分があるけど、やっぱいい人でいい先生です。ミスターミルク。
ミ「じゃ 続きはまた来週。」
ハ「はい。ありがとうございます」
ミ「あ 忘れてた。はい、これ」
ミルク先生がくれたもの。
柿1つ。
なぜ? なぜ柿?
分析力がまだ足らないハマンダです。

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2009/11/7
どうも。ご無沙汰です。
先週までは締め切りの連続であっぷあっぷでした。
とりあえず乗りこえ、後は結果待ち、プラス期末リサーチペーパー課題に向けてまっしぐら。
先週のある日のこと、アドバイザーのミルク教授からメールが。
お題には「Ehon」、とある。
「ハマンダに渡したいもんあるから、俺がいる時にオフィスにきて」、とのメッセージ。
なんや、ミルク先生。どっかで絵本もらったんかいな。
わざわざメールしてくるぐらいの絵本って何やろう。
俺の研究になんらかの関係のあるもの?
もしくは、ミルク先生の研究に関係があって、訳してくれって頼まれる系?
木曜日に時間があったから、ミルク先生のオフィスに軽くswing by.
机の上にある本の塔ナンバー5のてっぺんにあるクリアフォルダーを取り、ハマンダに渡してくれた。
「瓜生氏 日本國盡 北海道4」
うりゅうし にほん…こく…じん…
なんじゃ こりゃ。ごっつ古い本やがな!
「北海道」と題名にあるから、少なくとも日本史の中に「北海道」が誕生した1869年以降の出版物のはず。
最後のページみたら、明治5年とある。1872年発行。137年前かいな!
文体は古いが、なんとか読める。少し図もある。
北海道の地図がある。千島も入っている。
アイヌについての記述も。
「この地にもとより住ひぬる土人は「アイノ」と名を呼びて、ただ山猟と漁を業とし知て、そのほかは一文不通・無知混沌。男女ひとしく被髪にて、木の皮・獣の皮を以て五体を包み衣服とす。女は顔に刺青し胸に鏡を掛けたるは、縄を結べる古の質素の風を見るごとし。」
ほうほう。アイヌが「もとより住ひぬる土人」、つまり先住民として記載されてますな。
軽く目を通してみると、なんか北海道地理概論って感じでしょうか。
北海道内の、町は生活についてかるーく書いている。
けど厚岸は牡蠣が有名で、牡蠣島がある、とかおもしろいことも書いてる。
ミルク先生「どう? 面白そう?」
ハマンダ「はい! これごっつ興味深いすよ。」
ミルク先生「あぁ、そらよかった。何書いてるかわからんから、俺にとっては無用なんだよね。だからそれはハマンダのものだ」
ハマンダ「まぢすか! ありやーす!」
しかし気になる。
ハマンダ「つか、ミルク先生。こんなもんどこで見つけてきたんですか?」
ミルク先生「いや、俺Ebayでよく掘り出しもん探して買うんだよ。10j以下やったから買った」
なに買ってんねん!
意味もわからず買ったんですか!?
もしかして、イーベイでのこの本は絵本として売られてたんですか!?
それとも、
「ホッカイドウ」とサーチをかけて、俺のためになんか探してくれたんすか?
もしそうなら、ありがたい話です。
実はミルク先生は、南米ベリーズが専門でスタートなんですが、いろんなことに興味がありまして。
なんか浮世絵集めてる、とか言ってたし。
古い絵本なら、興味ある女性画があるかな、と思って買ったのでしょうかね。
つかさ、なんでアメリカのイーベイで、こんな日本のでっかい図書館にあるべきものが売られてんだ?
もしかして、誰か図書館から盗んだものイーベイで売ってるんちゃうの!?
ま、ともかく、おもしろいもんもらった。
古い紙やなぁ。手袋して読んだほうがええんやろか。素手やったら手の脂がついてしまう。
管理つか、どこに置いとこかな。
古書管理に詳しい方、アドバイスください。

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2009/10/16
今週は、ハマンダの教える日本語クラスの中間試験でした。
水曜日は筆記試験。今日は口頭試験。
試験てのは、学生がどれだけ授業で学んだことを身につけているかをチェックするだけじゃないんすよね。
学生の努力にもよりますが、教師ハマンダがどれだけちゃんと教えてるか、というチェックでもある。
と思うんです。
二ヶ月たらずで、もう結構カバーしました。
日本語という難しい言語を一生懸命勉強する学生を尊敬します。
しかし。よくあるミス
その一は、動詞の間違い
筆記試験にて、一日の習慣を書くという問題。
「ごじにとしょかんでしんぶんをたべます。」
→新聞 食べたらあかん!
「うちでえいがをのみます。」→のんだらあかん。
んで、
「きっさてんでコーヒーをみます。」って、見るだけかい!
「の」が抜けるだけでえらい意味が変わるもんだ。
「八時にレストランでハンバーガーをします。」
ようわからんが勝手にせぇ!
しかし、「おちゃをする」はオーケーなんですよね。
日本語は不思議。
関西だと、「ちゃをしばく」はいいけど、コーヒーはしばかない。ビールもしばかない。
関西弁の不思議。
よくあるミス そのニは「を」「に」「は」「へ」「で」シリーズ。
「さんじにざっしでとしょかんをよみます」→言いたいことはわかるけどね。
口頭試験で、これでひたすら間違った学生。
学生が先生(ハマンダ)に質問をするというパート。
学生「ハマンダせんせいはひるごはんをたべますか?」
ハマンダ「はい、たいていたべます。けど、ときどきたべません。」
学生「um... ハマンダせんせいは、としょかんをたべますか?」
ハマンダ「… ...。いいえ、としょかんではたべません。」
学生「レストランをたべますか?」
ハマンダ「… ...。いいえ、レストランではたべません。たいてい、うちでたべます」
とんでもないことを言ってるんですけど、「で」と「を」を間違ってるだけなんですよね。
あとは文法的には間違いちゃうねんけど、文化的に微妙なもの。
ハマンダ「じゃあ、わたしにしつもんしてください」
女子大生「ハマンダせんせいのでんわばんごうはなんですか?」
いきなり おい!
答えに迷うが、別に文法間違ってないし、ふつうに答える
ハマンダ「812の369の8931です。」
すると間をあけずに、
女子学生「そうですか、わたしの電話番号はxxxのxxxのxxxxです。」
いきなり先生の電話番号を聞くのは、失礼。
しかし、失礼というのが理由で点をひくべきか?
んで普通に教えちゃったハマンダせんせい
ついにエロ教授への道 はじめの第一歩
んな感じで。
さて、筆記試験の採点は来週月曜日までに。
口頭試験は金曜日までに。
その一方で、
ハマンダの課題は月曜日にひとつ、火曜日にひとつ。
月曜日は、またあるぞ 30分弱のプレセンテーション。
グローバリゼーションについて。
木曜日にはミルク先生との[読み会」。
それまでに本一冊読破して、その本について議論する準備をする。
できないけど。する。
んで金曜日にはハマンダが受ける中間試験。
再来週月曜にまた課題がひとつ。
火曜日に、研究レポートの計画表締め切り。
そして金曜が、ワイハ学会の発表論文の締め切り。
今週、来週、再来週が今学期一番忙しいかも。
ま それなら それで、終わった時のことを考えりゃいいか!

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2009/10/13
ご存知の人も多いですが、ハマンダはニシンについて研究しています。
ニシンという魚の骨格やらではなく、ニシンという資源と人間社会の関係です。
数の子はいつから高級品なったの、とか。
ニシンという資源へのアクセスへという観点で権利についての歴史的な話とか。
資源を復活のための運動とか。まぁ、ニシンについてのいろんなことに興味があります。
今学期は、実は資源管理と政策というトピックの授業をとりたいと思ってたんです。
結局、ミルク先生からとれと言われたクラスと時間がかぶっていたからとれませんでした。
ま、また時間があったときに取ればいいか、と思ってんです。
そのクラスを教える教授は、資源財産管理の研究で有名な学者ですが、授業も手を抜かず、大学院生の世話もちゃんと見ると評判の先生。
教授の名前は、Elinor Ostrom。エリノア・オストロム
月曜日に発表された、ノーベル経済学賞の受賞者です。
すげー!
こんな身近にノーベルな方が!
つか、授業とってたらさー
この歴史的瞬間を共有できたのに!
なんか、ごっつくやしいぞ。
しかも、今度オストロムの授業取る、っていっても、「あぁ ノーベル賞とったから、近づこうってことか」
とか思われたら嫌やん!
オストロム先生はマグロの資源管理の研究もしたんだよ!
俺はニシンだ!
「共有地の悲劇」(the Tragedy of the Commons)、というコンセプトがあります。
ある牧草地をみんなで使っていたとする。
一人がそこの牧草をいっぱい自分の牛に食わせる。そしたら、他の人の分の牧草が減る。
だから、我れ先にと牧草を取り合う。
自己中ばっかの結末は、共有財産(資源)の枯渇。
内容をだいぶはしょってますが、まぁそういう内容です。だったと思う。
このような資源枯渇の悲劇を避けるには、政府などの介入が重要である。
権威をもった機関が共有資源の管理をすることによって資源枯渇は免れる。
もしくは、共有してるからダメなんだ。個人所有化してしまったらいい、というアイデアもあります。
まぁ このふたつのアイデアの結果が今の地球ですわ。
市場にまかせるというか、市場中心に回ってるようなもんな資源管理。
オストロム教授は研究を積み重ねて、
資源管理は、地元の人たちがちゃんと約束を作ってみんなで守ってやれば、現在でもしっかり管理ができる、できているケースがある、ということを証明したんです。
実地調査に基づく大事な発見。
文化人類学が社会に貢献できることを示してくれた。
ノーベル経済学賞をとった始めての女性。オストロム教授。
受賞は朝7時に国際電話で知らされたとか。
インタビューやらがいっぱい入る中、普段通り授業を行い、multicentrityについて話し、学生が提出していた宿題にもしっかりコメントをつけて返却していた、とか。
いろんな意味で希望を与えてくれてありがとうございますです。

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