タミフルが効かない!? 今冬、要注意
インフルエンザ治療薬のタミフルが効かないインフルエンザウイルスが、昨シーズン、欧米やアフリカなどで高い確率で見つかっていたことが国立感染症研究所の調査で分かった。率は低いが日本国内でも鳥取など10県で確認された。一方、米疾病対策センター(CDC)は、今冬に米国内で流行が始まったインフルエンザが耐性ウイルスであるとして注意喚起。タミフルを大量に使う日本でも今冬、同様の流行が起きる可能性が懸念され、警戒が必要になりそうだ。
タミフルは通常のインフルエンザ治療の柱であるとともに、新型インフルエンザにも有効である可能性が高いとして日本政府が2800万人分の備蓄を進めている。しかし、タミフルに耐性を持つウイルスが増えると、通常のインフルエンザが猛威をふるう可能性があるほか、政府の新型インフルエンザ対策も見直しを迫られることになる。
感染研によると、昨シーズン、タミフルに耐性を持っていたのはいずれも「Aソ連型」のウイルス。昨年11月ごろから、北欧で見つかり、世界の幅広い地域に広がった。南アフリカでは調べた225株のすべてで耐性を確認。オーストラリアで59株中47株(80%)のウイルスがタミフルに耐性を持っていた。
日本でも全国76カ所の地方衛生研究所の協力で1734株を調べたところ、10県で計45株(2・6%)の耐性ウイルスが見つかった。鳥取県は突出して多く、調べた68株で22株(32・4%)の耐性が確認。兵庫、神奈川、岐阜、長野、栃木、愛知、山形、島根、岡山の各県でも確認された。
耐性ウイルスは過去の確認例があるが、いずれもタミフルの大量使用で、ウイルスがタミフルに対して耐性を得たために発生したと考えられていた。しかし、今回のケースでは、治療薬としてタミフルを使っていないとされる発展途上国からも耐性ウイルスが出現しており、タミフル大量使用が原因ではなく、ウイルス自身が突然変異を起こしたとみられている。
感染研インフルエンザウイルス室の小田切孝人室長は「治療薬はタミフル以外にもリレンザがあり、すぐに心配するような状況ではない」としているが、監視を強化する考えだ。
一方、CDCは今冬、ウイルス50試料のうち、49(98%)で耐性を確認。米国内のインフルエンザの主流が19日、耐性ウイルスであるとして医師らに注意を促した。CDCは、このウイルス型の広がり具合は不透明としているが、他国に「飛び火」する可能性も否定できない。厚労省は「日本ですぐにどうこうなる状況ではないが、今冬の耐性ウイルスの発生状況をモニタリングしていく必要がある」としている。
■タミフルとリレンザ
タミフルはA型、B型インフルエンザウイルスの増殖を抑える治療薬。日本では平成13年2月に販売開始。発症から48時間以内に服用すれば、高熱が下がり、回復が早まる効果がある。発生が懸念される新型インフルエンザ対策の一環として、国家備蓄が進んでいる。リレンザは、飲み薬のタミフルと違って、専用の器具を使って吸入する薬剤。ウイルスの主要な増殖部分の気道に到達し、ウイルスを阻止し、タミフルと同様にA、B型に効果がある。タミフル耐性のウイルスが出てきたときの2番手として、期待されている。
MSN産経ニュース 2008.12.20
初めてタミフル耐性が確認されたのが、2004-05年のシーズンのことを調べた2006年でした。
04〜05年に神奈川県内の4医療機関を受診したインフルエンザウイルスB型の患者422人を調べた。その結果、タミフルの治療を受けていない患者6人(1・4%)で、耐性を示す遺伝子変異を見つけた。3人は街の中で感染し、残り3人は家族から感染した可能性が高いという。
これまでは耐性が出ても、ほとんど感染しないとみられていた。ただ、こうした患者も通常の治療で回復し、経過も順調だった。
asahi.com(朝日新聞)2006年04月21日
それをまとめて論文として発表されたのが2007年です。
インフルエンザ治療薬タミフルに対する耐性を獲得したインフルエンザウイルスが、人から人に感染した可能性のあることを、河岡義裕・東大医科学研究所教授と菅谷憲夫・けいゆう病院小児科部長らのグループが初めて確認、4日付の米医師会雑誌に発表した。
(2007年4月4日11時58分 読売新聞)
2008年の初めにはタミフル耐性ウイルスが増加してきていることが報告されています。
今シーズンのインフルエンザで、スイスのロシュ社が製造する治療薬「タミフル」の効かない耐性ウイルスが欧州で急増している。ノルウェーなど北欧を中心に、高頻度で耐性が検出された。日本に入ってきた場合、最も一般的な治療薬であるタミフルを投与しても効果が期待できないため、専門家は危機感を強めている。
今年は日本を含め、世界的にAソ連型(H1N1型)のインフルエンザが流行している。欧州の国際的な感染症の動向監視ネットワーク「ユーロサーベイランス」によると、ノルウェーではAソ連型ウイルスの70%に耐性が確認。ほかにもポルトガル(33%)、フィンランド(29%)、フランス(17%)など幅広い国々で、耐性ウイルスが高頻度で検出された。
[2008年2月3日/日本経済新聞 朝刊]
そして今回の報告。
タミフルが効かないとなると、リレンザがあるわけですが、タミフルがのみ薬に対して、リレンザが吸入薬ということで若干使いづらいでしょうかねえ。
新型インフルエンザに対して、パンデミック(爆発的感染)を想定して備蓄されてますが、それが本当に意味があることなのかと、やや疑問です。
さて・・・
タミフル、リレンザの次のインフルエンザ治療薬として、現在、第一三共が1回のみの吸入だけで効果があるインフルエンザ治療剤が治験中(現在第V相)だそうです。
1回のみの投与で楽そうです。
[第一三共]ニュースリリース
しかしながら・・・
ウイルスがでる→それに対する薬ができる→その薬の耐性ウイルスがでてくる→違う薬をつくる→その薬に対する耐性ウイルスがでてくる・・・
のくり返しになるのが怖いです。
第3世代セフェムを乱用してしまってMRSAが蔓延してしまうような感じがしなくもありません・・・
やはり全世界のタミフル使用量のほとんどが日本だという事実が非常に怖いような気がしてます。
【関係ページ】
2006/4/21「タミフル耐性ウイルス、人への感染を初めて確認」
2007/4/5「タミフル耐性ウイルス、人から人に感染か」
2007/6/3「タミフル大量使用は危険!」
2008/2/4「タミフル耐性インフルエンザ急増」
2008/2/28「タミフル耐性インフルエンザ感染」