2007/4/4
今年の桜はいつになく早く散ってしまいそうです。
今この時も花びらが強風に吹かれて雪のように乱舞しています。
この桜の花びらの散るさまを見ていると、いつも思い出す音楽があります。
道端に一本の菩提樹が立っていて
その木の下で、私は初めて安らかに眠った
花びらが私の上に降りそそぎ
私は今までの人生の仕打ちを全部忘れた
すべてが昔どおりに素晴らしいものに感じられた
すべてのものが、
感情も苦しみも、そして世界も、夢も
マーラーの歌曲集「さすらう若人の歌」の最終節です。
恋にやぶれた主人公は懊悩の中、行くあてもない旅に出ます。
疲れきった彼はやがて一本の菩提樹の下にからだを横たえ、
雪のように落ちてくる花びらの下で、ひと時の安らぎを得るのです。
この作品の録音にはどうしても除くことの出来ない名演があります。
若き日のフィッシャー・ディスカウと巨匠フルトヴェングラーの競演です。
この上なく瑞みずしい演奏で、聴く者をこの美しい世界に引き込みます。
フィッシャー・ディスカウの繊細さと共に、フルトヴェングラーという詩人の魅力を存分に味わうことの出来る名盤であり、この美しい季節におすすめの一枚です。
[DATA]
マーラー作曲「さすらう若人の歌」
Br)ディートリヒ・フィッシャー=ディスカウ
Cond)ウィルヘルム・フルトヴェングラー
Orch)フィルハーモニア管弦楽団
東芝EMI:TOCE-59089
録音:1952年
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