2006/11/28
「オネゲル "クリスマス・カンタータ"」
クラシック

早いもので、もうクリスマスの声を聞く頃となりました。
キリスト教と無縁の日本人にとっても、この行事はすっかり暮れの催しとして定着してしまいました。
思えばこれほど「音楽」と深く結びついた行事も少ないと思います。
古今東西にこの日に因んだ数多くの名曲が存在しており、これからの時期、ここぞとばかり街中に溢れます。
中にはありきたりのクリスマスソングに少し食傷気味の方もおられるかもしれません。
一度、今まで聞いたことのないクリスマス音楽というものに耳を傾けてみては如何でしょうか?
オネゲル作曲「クリスマス・カンタータ」(1953)
これが今日お奨めしたい曲です。
アルテュール・オネゲル(1892-1955)はドビュッシーやラヴェルに続く、フランス近代音楽の作曲家です。
機関車をテーマにした「パシフィック2・3・1」や、「ラグビー」のような面白い曲があり、いずれも力作であり、人気もあります。
「クリスマス・カンタータ」はオネゲルの最後の作品、いわば白鳥の歌です。作曲家の白鳥の歌なるもの、極めつけの名曲であることが多く、この曲もその例に漏れず傑作中の傑作です。
「クリスマス・カンタータ」といってもバッハの宗教曲(例えば「クリスマス・オラトリオ」)のように長大な曲ではありません。わずか20数分、聞き終えるために苦痛を味わうこともないはずです。
曲は旧約聖書の詩篇「深き淵より」から始まります。
自らの罪の重さに耐えかねる人類の苦悩と絶望を描きます。
やがて清らかな少年合唱、そしてテノール独唱で福音(救いの知らせ)が告げられます。
救世主(メシア)キリストの降誕です。
曲は重苦しさから開放され、明るく清澄な楽想に変わります。
賛美歌「エッサイの根より」を中心に、どこかで聴いたことのある懐かしい賛美歌、ノエルが幾重にも折り重なりながら歌い継がれます。オネゲルの対位法の見事さが光ります。
やがて誰ひとり知らぬ人のない「聖しこの夜」が聞こえてきます。
いくつものノエルが絡みつきながら、曲は「聖しこの夜」で感動のピークを迎えるのです。
ここからコーダに至る音楽を聴いて、熱い涙を流さない人はいないでしょう。
ところで、この曲を聴くのは、いつも一年を振り返る頃。
今年もいろいろな出来事が起こり、いろいろな仕事をし、いろいろな失敗をした。
たくさんの課題も残してしまった、、、
私はベストを尽くしたろうか?
これで良かったのだろうか?
私同様、今年一年の自分に悔いを残してしまった方もおられることでしょう。
しかし、来年があります。
来年は、やりましょう。
来年こそ良い年になるかも知れないのですから・・・
[DATA]
オネゲル「パシフィック2・3・1(管弦楽曲集)」
マルティノン指揮、フランス国立放送局管弦楽団・合唱団
東芝EMI TOCE-9826(TOCE-13289)
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