2006/7/23
今日はギターの音楽について書きたいと思っています。
ギターのルーツは、バロック音楽で使われたリュートと思われがちですが、じつは少し異なるビウエラというスペインの楽器だそうです。
やがてビウエラは進化を遂げながら、スペインの民族楽器ギターとして普及します。
19世紀、ロマン派の巨大な管弦楽曲隆盛の頃は、音量の小さなこの楽器は隅に追いやられ、酒場の音楽で使われる楽器くらいの認識で捉えられてしまいます。
(フランシスコ・タレガのように黙々と佳作を書き残した音楽家もいたのですが)
19世紀末、そして20世紀に入り、近代音楽の幕が開けられると、時代はようやくギターに目を向けるようになりました。
何といってもスペインの名手セゴヴィアの功績が大きかったのです。名だたる作曲家たちがこぞってセゴヴィアのためにギターの名曲を書きました。
今日ご紹介するブラジルの大作曲家エイトル・ヴィラ=ロボス(1887-1959)もその一人でした。
ヴィラ=ロボスに関しては「ブラジル風バッハ」という管弦楽や声楽を用いた大作をご存知の方もおられると思います。
もしも誰かがギター音楽に真正面から向かってみたいというのでしたら、
一度この人の音楽をお聴き頂きたいと思います。
ヴィラ=ロボス作曲
「ギターのための5つの前奏曲集(1940)」、そして
「ギターのための12の練習曲集(1928)」
この2つの曲集は、一枚のCDの中に同時に収められることが多いです。
ギター音楽史上、ヴィラ=ロボスの功績は否定できないものがあります。
ギターの豊かなソノリティを最大限に引き出した作曲家ではないでしょうか。
ギターという小さな楽器から信じられないような音量が出てきます。
これは作曲の才能、技術のみならず、楽器の特質について熟知していなければ出来なかったことだと思います。
メロディを低音弦で取り、同時に中高音の和音が伴奏を付ける「前奏曲第一番」は特に有名です。右手親指がまるでチェロのように量感豊かに、メランコリックなメロディを奏でます。
「前奏曲第三番」は、敬愛するバッハへのオード。
バロック風の模続進行する和声の中に、恍惚としたラテン的響きを盛り込んだ独特の音楽に魅せられない人はいないでしょう。
「12の練習曲」は2つの部分に大別できると思います。
前半はギターの技術練習を目的とした曲が配置され、後半は、音楽表現の練習のために高い芸術性を持つ大曲が配置されています。
「練習曲第11番」は、まさにこれらの曲集を代表する名作。
ギター音楽史上最高の名曲と呼ぶ人もいます。
ここにおいては、ギターはもはや音量の乏しい、脆弱な楽器ではありません。
堂々たる音量、豊かな響き、そしてこの上なくデリケートな表現力を持つ素晴らしい楽器へと昇華されているのです。
これらの曲集はギターに関心をお持ちのすべての人に、
否むしろギターという楽器を余りご存知ない方々にこそお聴き頂きたい名作の数々です。
ギターの持つ表現力と魅力を再確認されることでしょう。
[DATA]
Guit)イエペス
ヴィラ=ロボス「12の練習曲/5つの前奏曲」
(MG-2356)
※格調高いイエペス盤は残念ながら現在廃盤とのこと。
優れた邦人演奏家の盤で入手可能です。
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