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2011/6/26

神保町の鮨屋・鶴八の話  日記

神保町に鶴八という鮨屋がある。先代の諸岡幸夫親方は名人といわれたが、1997年12月で引退し弟子に暖簾を譲った。先代の頃は週に何度か通っていたが、今は年に何回か行けばいい方だ。先代が握った鮨は、姿が美しく、食べて美味しい絶品だった。師岡親方とのエピソードは数多い。

師岡親方は映画が好きで時々ハリウッドに行っていた。僕が映画の話題で手持ちのTime誌のオードリー・ヘップバーンの記事を見せると、「辞書なしで英語が読めるんだ」と感心され、連れが大受けしていた。親方の年代は英語が苦手な人が多いので率直な感想だったと思う。

師岡親方の持ち味は江戸っ子の軽妙洒脱な語り口とお客とのやりとりだった。初めて店に行ったのは僕が30代前半の頃で、最初は親方の前で緊張したが、すぐに馴染んだ。常連との丁々発止のやりとりは先代ならではで、今でも当時を懐かしく思う人は多いはずだ。

鶴八の先代はお客に対してもハッキリモノを言う方で、「今日のお薦めは?」と聞こうものなら、「うちのはみんなお薦めだ」との答えが返ってくる。だから、常連はこんな質問はしない。みんな自分の好みで注文するが、時々親方が勝手に出してくることがある。これはよほど自信があるネタだ。この場合、食べて感想を述べるまで「どうだ」といわんばかりに僕の顔を見ている。大体僕の感想に満足していただいたが、ツボを外すとどんな反応があったかと思うとぞっとする。これは一種のテストなんだな。

ところで、1987年に放映されたNHKドラマ『イキのいい奴』は師岡親方の著書「神田鶴八鮨ばなし」が原作で小林薫さんが主人公役だった。こうした縁で師岡親方が引退する直前の月、1997年12月には、お店で小林薫さんに3度会った。いずれも僕の隣の席だったが、随分義理堅い人だと思った。鶴八では僕は常温の酒を飲んでいたが、小林さんと何度か盃を交換したことがある。余談だが、音楽家姉妹で古い友達のNY在住のA子さんの姉上N子さんと一緒に最後の親方のお鮨を食べに行きました(A子さんが東京にいれば当然一緒に行きましたが)。その際にN子さんが小林さんにサインをもらった。僕はちょっとサインをもらうのは気が引けたが、遠慮せずにサインをもらえばよかったかな。N子さんはまだサインを持っているのだろうか。

鮨屋の鶴八のことを書いているのに先代の師岡親方のことばかりでお寿司のことを書いていなかった。僕はまず鮪の3点セット、赤身、中トロ、大トロをつまみでいただく。次いで、ミル貝、鮑、赤貝等の貝類、白身の魚をつまむ。そして鮪、鰺、コハダ、穴子等を握り、鉄火巻、干瓢巻で締める。お腹に余裕があれば、干瓢巻の前にカッパ巻をいただくが、鶴八のカッパ巻は細い胡瓜を丸ごと巻いたものでこれも絶品。そして、鉄火巻も他の店よりも太めで赤身と中トロを混ぜていて僕は大好きだ(下の写真のような感じです)。

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僕が鶴八で初めて鮨ネタとして食べるようになったのは、さより、鯒(こち)、鱸(すずき)などだ。さよりはお吸い物しか食べたことがなかったが、つまみやお鮨でこんなに美味とは思わなかった。鰺もそうだが、鶴八では塩水にくぐらせて提供するので、独特の旨みが出る。このおまじないで鰺が大好きになった。

現鶴八店主の田島親方は師岡親方の3番目の弟子で江戸前の味を継承している。なお2番弟子は新橋鶴八で、そして新橋の弟子で師岡親方の孫弟子にあたるのが新橋の「しみづ」だ。田島親方は先代時代にはなかった海老のおぼろを提供するようになった。諸岡親方とのような丁々発止のやりとりは期待できないが、時々鶴八の鮨を無性に食べたくなる。こうしてtwするのも、すでに足は鶴八に向いているのかも^^

(本稿は6月25日の深夜にTwitterに投稿した文章に加筆したものです。)
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タグ: 鶴八 師岡幸夫



2011/12/2  11:00

投稿者:asktaka

ingo-uncleさん、コメント有難うございます。間違いをご指摘していただき有難うございました。早速訂正いたします。

私も最近行っていないですが、暗いのはよくありませんね。今度訪問する機会があれば観察してみます。

2011/11/6  10:22

投稿者:ingo-uncle

神保町鶴八の先代親方のコメント、おもしろく拝見。小生もその昔、あの個性の強い親方のもとにおいしいお鮨を食べにずいぶん通いました。
 文中、間違いと思われる名前がありましたので、訂正まで。
「諸岡」ではなく「師岡」さんです。新橋の店は「しみづ」です。
なお、田島親方の提供しているのは、「そぼろ」ではなく「おぼろ」です。両者はまったく別物...細かいことでごめんなさい。
 今は、もっぱら新橋鶴八と、たまに「しみづ」に行っています。
 田島さんの方はまれになってしまいましたが、行くといつも感じるのは、店内の暗いことですね。雰囲気ではなく、灯が事実暗いのです。かつては感じなかったことですが。では。

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