患者同意書:48人から得ずに抗がん剤の臨床試験 神戸
神戸市立医療センター中央市民病院(同市中央区)の外科医長ら医師2人が、乳がん患者48人に対し、同意書を得ずに、通常とは異なる方法で抗がん剤を使う臨床試験を行っていたことが分かった。重い副作用などの事故はないというが、厚生労働省の倫理規定に反しており、市は医師を処分する方針。
市によると、外科医長と元医長(既に退職)の2人は04年2月、乳がん患者の手術前に4種類の抗がん剤を投与する「術前化学療法」で、標準的方法とは順番を変えて投与し効果を見る臨床試験を開始。05年10月までの間に医長は30人、元医長は19人に実施した。
厚労省の指針で、臨床試験に際しては患者に危険性などを説明し、文書で同意を得る必要がある。2人は病院の管理部長会に提出した実施計画書でも、患者から文書で同意を得ると説明していたが、元医長が患者1人から同意書を得ていただけだった。
毎日新聞 2007年7月27日
タイトルの「患者同意書:48人から得ずに」という表現が日本語的ではない気がします。
とにかく、臨床試験を行うという同意書を患者さんから取得せずに実施したということですね。
記事中「抗がん剤投与の順番を変えて」とのことなので、具体的にはどの抗がん剤の組み合わせか特定できませんが、抗がん剤自体は承認済みの医療用医薬品だと推測されます。
ですから、未承認の薬を投与する「治験」とは違います。
治験では同意書なしで実施することは考えられません。
人体実験と言われないように、十分に説明して納得していただいて参加してもらうためです。
抗がん剤投与の順番を変えること自体は、たぶんいろいろな病院で実施されていることだと思います。
それを正式に臨床試験で実施するということは、なんとなく大学の医局がからんでいるような気がします・・・考えすぎでしょうか?
いままでの投与法とは違うものを承認してもらうため?
もしくはいままでの投与法と比べて新しい投与法の方が治療成績がいいという学会報告のため??
でしょうか。
抗がん剤投与に関しては、必ずしも添付文書通りの使われ方がされないこともあります。
抗がん剤を使う際には、抗がん剤をこのような手順で使うという計画書(レジメン)を提出してもらって、その計画書が妥当なものであるかどうかを判断した後に(組織的に判断するのがいいと思われますので、適切な委員会で審議する必要があるでしょう)、患者さんに投与するごとにでてくる注射せんやオーダーを薬剤部でチェックするというのが一般的かと思います。
昔、1週間に1度投与すべき抗がん剤を連日投与してしまい、患者を死亡させてしまったという事件がありました。ですから、抗がん剤に関してはそのように複数人でチェックできるシステムが必要です。